不思議な玉手箱Ⅱルワンダ編・その11  by もりぞのとしこ

(2月18日 午後)
ロッジのレストランで昼食をとる。
再び、公園オフィスで入園登録後、ゴム長靴を借りる。
服装は雨用のアノラック、ビニールのズボン、軍手、スティック、首にタオル、望遠鏡、
リュックといういでたちだ。
カミランゾヴ・マーシュ(沼地)まで、12キロの道のりだ。沼 地を目指してどんどん下
っていくので、雨上がりのすり鉢状の斜面は、泥状にぬかるんでいるところが多く滑りや
すい。

原種のラン

雨林の木々に囲まれた細い小道をぐるぐると傾斜しながら、1910メートルの低地まで下っ
ていくのである。行き着いた底にある沼地の面積は、13平方キロメートル。
パラソルツリー、ジャイアント・ロべリア、シダなどが巨大化して繁茂していて、『いま
、ここに恐竜がいてもちっとも不思議ではない』とタイムトラベルをしたような気分にな
った。生き物の存在を感じられない、荒涼としたこの場所には、ある種の物悲しい雰囲気
が漂っている。
残念なことに雨期ではないため、原種のランはあまり見られなかった。

この沼地にはかつてバッファローやゾウが生息していた。だが1999年に最後に生き残った
ゾウが死んでからというもの、動物の姿は見られなくなった。
公園内のウィンカ(Uwinka) ツーリスト・センターには、この最期のゾウの骨が展示さ
れている。そのそばには、密猟者がゾウを捕獲するために使ったと思われる鉄製の罠も展
示してある。このゾウが密猟者により殺されたかどうかは定かではないのだが、多くのゾ
ウは密猟者により殺されて、象牙を切り取られたのだった。


荒涼としたカミランゾヴ・マーシュ

帰りの上り坂ではかなり苦しかった。途中で何度か休み、息を整えたりしての帰還。かな
りハードな行程だったが、ひとまず無事(ヤッホー!!)。
氷河期から延々と受け継がれてきた植生である、野生のランやシダ、種々の大木を眺めな
がらガイドの説明を聞いて、太古の森の湿った空気を存分に味わった一日だった。トレッ
キングは往復で5時間くらいかかった。
今日もクタクタ。