不思議な玉手箱Ⅱルワンダ編・その12  by もりぞのとしこ

2月19日

熱帯雨林3日目。

午前9時、公園内のツーリスト・センターで昨日のガイドと待ち合わせ。車で、カヌピ
ーウォーキング(Canopy Walking)入り口まで行く。

入園の許可をとり、さあ出発というときになって、突然の豪雨と雷にみまわれた。やむ
なく小一時間ほど休憩所に入って待った。小降りになってから出発する。歩き始めてか
らも雨は片時も止むことなく降り続いて、顔も手もびしょ濡れになってしまった。おま
けにとても寒い。

カヌピーというので、木々が天蓋のようになっているのだろうと想像していたら、実は
鉄製のロープで吊り下げられた、幅50センチほどの長いつり橋のことだった。

高さ30~70メートルの天空に架けた3本のつり橋は、米国開発庁(USAID)により建設さ
れたものだ。木々の小枝にいるサルや鳥、蛇などの生態が目の高さで、よく観察できる
ように作られている。

残念ながら今日は激しい雨で動物たちはいない。

こんなところに、(しかも人知れず!)こういう鉄橋を架けてしまう、アメリカという
国の途方もないパワーに畏敬の念を感じた。

橋が揺れないように真ん中を通るよう指示されたので、ロープの部分を握りしめ、ゆっ
くりと足を運んでいった。


これがアメリカ製の空中の路

足元のロープと鉄板の間から見える奈落の谷は、白い靄がかかってはっきりとは見えず。
靄をつきやぶるように伸びた、丈の高いパラソルツリーの頭が見えるだけだ。

帰りはぬかるみで転んだり滑ったりで、雨に打たれながらのかなり辛いトレッキングだ
った。

雨林のなかで、細かい雨粒が樹木にあたる音や、深い谷間に吸い込まれるように降りこ
んでいくさまを実感した。太古から人知れず、こうして雨林は存続してきたのだろう。


雨が止んで靄がかかっている

ツーリスト・センタ-にたどり着いた時、昼食の時間はすでに過ぎていた。レストルー
ムで、ホテルから持参したサンドイッチなどを食べた。

2日間、ガイドをしてくれたクレバーさんにお礼を言って別れる。

キガリへの帰路は7時間ほどかかった。

国道はどこでも非常に交通量が多い。村が道に沿って点在し、歩く人や群がってワイワ
イと楽しそうにしゃべっている人たちがいる。

仕事を終え、夕食前のわずかな時間を楽しんでいるのだろうか。同じ道を戻っているの
だが、行きには気づかなかったいろいろな風景に気づく。ここでも段々畑にとうもろこ
しや野菜がびっしりと植えられている。

人々のさまざまな服装も珍しい。


通り過ぎた村の人々