不思議な玉手箱Ⅱルワンダ編・その13  by もりぞのとしこ

2月20日
ルワンダ滞在も余すところ2日となった。午前中は旅行の整理をしてすごす。

午後、夫人に散歩に誘われて、丘の谷間を横切って向かいの丘に行き、小さなホテルの
カフェで一休みした。バンドのライトミュージックとプールサイドのさざめき、庭には
クジャクが放し飼いされていた。

2月21日
キガリ郊外で、一人の日本人女性が始めたフェアトレードの工房に連れて行ってもらう。

その女性Aさんはルワンダに滞在中に、ストリートチルドレンに水牛の角を削ってアクセ
サリーにすることを教えた。
そして仕事の任期を終えて日本に帰ってから、彼らが作ったものを買い取って売るとい
うプロジェクトを立ち上げたのだ。

工房の作品 バングルとイアリングなど

基礎の全くない少年たちには、牛の角を削る作業はとても難しいことだったらしい。サ
イズや形を整えること、アクセサリーとして見栄えのいいものにすることなど経験と技
術が必要だった。腕のある人を招いて訓練した結果、今では、すてきなペンダントやイ
アリング、バングルが作れるようになった。
雇用、会計、品質管理など日本からの遠隔操作ではさまざまな問題点があるようだが、
ルワンダ滞在の日本人女性たちが協力しているようだ。
これからもフェアトレードとしてうまくいってほしいと思った。

次に、刺繍をほどこしたテーブルセンターや、テーブルナプキンなどを作る、ジェノサ
イド犠牲者の女性だけで運営している工房を訪ねた。
ロータリークラブが、この工房の自立を支援している。


中庭を囲んだ各部屋で2,3人の女の人が、裁断をしたり、図柄を布にトレースしたり、
刺繍をしたりしている。細かい刺繍がとてもきれいで魅せられてしまった。私は麻のナ
プキンに、ゾウやゴリラやインパラを刺繍してあるのを10枚ほど買った。美しいので、
きっと使うには勇気がいるだろう。

2月21日
いよいよ明日は帰国だ。日記の整理や荷造りに追われた。今夜はホテル・ミル・コリン
でご夫妻とディナーをしてルワンダ最後の夜を飾るつもり。

2月22日
ご夫妻に別れを告げ、KLM便、アムステルダム行きに搭乗する。

ルワンダよ、さようなら。
人々はこれから先、いろいろな思いを乗り超えていけるだろうか。いや、乗り超えなく
てはならないのだ。一つの国として在るかぎりは。
今後、どのように成長していくのだろう。
私が再び訪れることはないかもしれないが、この国を忘れないで見続けていこうという
思いを持ちながら飛行機のタラップを上った。

不思議な玉手箱Ⅱ ルワンダ編 おわり