インドへの旅立ち・No.6 もりぞのとしこ(文・イラスト)
1月29日
インドが共和国となった日を記念して行われたパレードから
3日後の今日は、「ビーティング・リトゥリート」という催し
が行われた。いうならば一連の記念式典の閉会式であろうか。
夕刻5時、場所は官庁関係の建物(ラジパット通りを挟んで
南側と北側にあるのでノース・ブロック、サウス・ブロックと
呼ばれている)や大統領官邸が、緩やかな勾配の坂上に並ぶ
ラジパット通り。わたしたちの席の右手には、大統領始め政府
のVIPが並び座っているのが見える。ノース・ブロックとサ
ウス・ブロックの、シンメトリーを成したモスク風建物のそれ
ぞれの張り出し部分には、ラクダの騎兵隊が中央に向き合い、
一列に7、8頭ずつ並んで微動だにしない。暮れなずむ夕空に
映えるラクダのシルエットは、さながら砂漠の城の守護兵の如
く、ロマンを漂わせて見る人をうっとりとさせた。
3団の鼓笛隊がそれぞれの由緒ある衣装に身を包み、大統領
と観客の前で軽快に合奏を披露した。鼓笛隊が退場したあと、
騎兵隊の退場、続いてラクダ舞台の退場。これは、つまり一国
の長である大統領への忠誠と尊敬を表す儀式なのだろう。
そろそろ宵のとばりが下り始めた頃、3発の空砲が響く。そ
して、暗い空に炸裂する何発もの打ち上げ花火。やっと静寂が
訪れた時、官邸、官公庁、議事堂などの建物を縁どった何万個
とう電球が一斉に灯され、闇の中に輝く、光のモスクの街が
一瞬にして出現したようだ。わたしたちは波乱万丈のインドの
歴史に想いを馳せながら、しばらくそこを立ち去れないでいた。
2月3日
*シーク教徒のターバンの中は、なんと団子ヘアーだった。髪、
髭をいっさい切らないことが戒律の一つなのだ。ターバンは薄
い木綿の長い一枚の布で巻き上げていく。インド人というとタ
ーバンの人を想像するが、実は、インド人の大多数はターバン
をつけないヒンドゥー教徒だ。
インドの宗教 ヒンドゥー教・・・・82.6 % イスラム教・・・・・11.4 キリスト教・・・・・ 2.4 シーク教・・・・・・ 2.0 仏教・・・・・・・・ 0.7 ジャイナ教・・・・・ 0.4 |
*インドの弁当箱・・・アルマイトまたはステンレス製の2、
3段重ねの丸い入れ物。上部に止め金が付いていてカレーなど
がこぼれないようになっている。取っ手に鍵の付いたものもあ
る。
*インドの挨拶・・・「ナマステ。」と言って両手を顎のあた
りで合わせる。
*行商人のいろいろ・・・ヴィレッジの一軒一軒を訪ねて、様
々な行商人がやって来る。
カシミール地方のカーペット売り、
ナッツ売り
椅子、かご売り、
皮革製品のテイラー
密輸の酒売り、
麺類売り、
野菜売りなど
(続く)