12/15 2003掲載

眠っていたオルガンの話
 
                    川島道子
我が家の隣は息子が事務所がわりに使って
いますが、部屋の隅に大きな古いオルガンが
ありました。
前の借主が不要になり置いて出られたので、その
部屋は納戸がわりに使われていました。
この部屋を人に貸すことになったので、この
オルガンを
処分しなければならなくなりました。
ただこれだけ大きくて重い物であることと、玄関が
狭いのでどうやって運び出すかが問題でした。
17年前どうして運びこんだのか、誰も覚えて
いませんでした。
そこで息子たちが解体して運び出そうと言う事
になりました。廃棄処分をする前に、希望者が
あればと、あまり期待しないで探していましたら
年配の牧師さんが見にこられ、現在ストップ付きの
オルガンは特注の物しか作られていないので
是非欲しいと言うことでした。
その牧師さんが業者に頼む前にまず自分たちで
運び出すことをやって見たいということで、翌日
友人の教会関係者の方たち4人で来られました。
オルガンはかなり値打ちのある物で、修理して
表面をきれいにしたら100万円位するだろうと言う
お話でした。そして運び出すのは専門家でないと
無理だと言うことになりました。
そのオルガンに詳しい方が試しに「清しこの夜」
や「諸人こぞりて」等の賛美歌を弾かれましたが、
火の気のない薄暗い部屋に響いたその柔らかくて
素朴な音色は、予想もしなかったほど美しく、
昔同居していた時に義妹が弾いていた音のこと
等も思い出され、胸が震える程の感動を受け
ました。いったんは廃棄処分になるところ、再び
オルガンとしてどこかの教会で蘇り、その美しい
音色で多くの人々の胸に灯をともすのではと想像
しますと、処分しなくて本当に良かったと思いました。
牧師さんはきちんと修理して教会に納まった時は
聞きにお出でくださいと言って帰られました。
二日後業者が来て2階からクレーンでつり降ろし
無事運び出すことができました。
あの音色いつか聞きに行きたいと思っています。
 
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