2/26 2004掲載

by   川島道子
 
先日蜷川幸雄演出の「タイタス・アンドロニカス」を
見たことで、子ども時代に読んでいたたシエクスピアの
数々の作品が蘇ってきました。
 
私の子ども時代は戦争中ということもあって楽しみは
読書だけで、戦争末期の病気休学の時は、父の蔵書を
片端から読み耽りました。その中で私に影響を与えたのは
坪内逍遥訳のシエクスピア全集全24巻でした。
この全集は縦15cm横11cmの小型で薄手ながら
装丁がしっかりしていて70年たった今も破損は
していません。
言葉は旧仮名使いで、文体が独特なので、内容に関心のある方は
ジュリアス・シーザーの下記のサイトをごらんになってください。
暗殺の場面は第三幕第一場です。
http://www.sm.rim.or.jp/~osawa/AGG/julius-caesar/julius-caesar-toc.html
 
父が亡くなった後蔵書を姉弟3人で分けましたが、
子ども時代から馴染んできたこの全集には
愛着があり、私の手元に置くことにしました。
内容については、漢字にルビが振ってあるので
読むには読みましたが、小学生の事ですから
理解できないところは挿絵などで想像しながら
楽しんでいました。
 
 
以上3枚は「タイタス・アンドロニカス」より
小学校時代は戦争と重なったために、娯楽らしい
ものはいっさいなく、唯一夢を与えてくれたのが
シエクスピアの作品でした。
 
2枚は「ベニスの商人」より
シエクスピアの作品には神話や伝説、フアンタジーと
数々の波乱万丈の物語がちりばめてあり、
子どもの夢を育む宝庫でした。
 
 
 
3枚は「ハムレット」より
坪内逍遥訳のシエクスピア全集は戯曲なので
それを理解する手引きになったのが、昭和2年
発行の「沙翁物語(さおうものがたり)でした。
沙翁とはシエクスピアのことです。
 
2枚は「ロミオとジュリエット」
19世紀初め、チャールズ、メリイのラム姉弟が
少年、少女向きにシエクスピアの作品の中
20篇を要約した「沙翁物語」は、それ自体が
優れた作品になっており、その手引きのお陰で
どれだけシエクスピアの作品を楽しめたか
はかりしれません。
 
 
3枚は「オセロ」
子ども心に当時印象に残ったのは、「ハムレット」
や「オセロ」等の代表作よりは、「真夏の夢」とか
「テンペスト」「冬ものがたり」などで、どちらかと
言えばフアンタジックな作品でした。
 
2枚は「リヤ王」
シエクスピアの作品は坪内逍遥訳のものばかりで
読んできたものですから、それ以外の訳には馴染めず
映画化された作品によって少しずつ抵抗がなくなり
ました。
「マクベス」
シエクスピアの作品は読む側の年齢と
ともに作品の理解が変化し、代表作が
映画化されることによって、セリフ劇として
楽しんでいましたが、先日の蜷川幸雄
の「タイタス・アンドロニカス」によって
本格的なシエクスピアの舞台を楽しむ
ことができました。
シエクスピアの作品の魅力は私にとっては
セリフの面白さに尽きるように思います。
 
               川島道子
 
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