12/15 2005掲載

古伊万里の里を訪ねて
 
                      川島道子

恒例の妹夫婦との忘年会に呼子に行ってきました。
昨年は忘年会に行く途中に私が左腕骨折で目的地直前で
Uターンしてしまいました。呼子は福岡から近いので少し回り道をしました。
 
まず妹の希望の椿絵名品展を見に唐津市近代図書館に行きました。
私どものまわりにある椿は桜や梅とともに日本を代表する花で
古くは日本書紀や万葉集に歌われ、茶道や華道の世界でも
好まれ日本人に親しまれてきました。
 
  竹久夢二
美術の世界では鎌倉時代以降、工芸や絵画の題材として用いられ,
現在にいたるまで、主要なモチーフとして描かれ続けているようです。
 
前田青邨
横山大観、、小林古径、梅原龍三郎、尾形光琳ら日本画、洋画、
工芸の巨匠たちの逸品が57点が展示されていました。
 
   香月泰男
 
   村上華岳
 

妹と私が一目で素晴らしさと思ったのは横山大観の椿でここに紹介
できないのが残念です。題材を椿にした絵画展は珍しいのではないでしょうか。
 
次に行きましたのは私の念願だった伊万里鍋島藩秘窯の里、大川内山でした。
佐賀鍋島藩が1675年ごろ大川内山に御用窯を築き、技術の粋を集めて
朝廷や将軍家や諸大名への献上品「鍋島」を製作しました。その技術を外に
漏らさないように役所や関所を設けて陶工を厳重に管理していたそうです。
 
山水画のような奇岩に囲まれてた狭い谷間の石畳に34の窯元が軒を連ねています。
 
入り口には陶器の欄干がかかる橋が、独特の雰囲気をかもし出しています。
 
陶板でできた地図です。
 
坂道にそってお店が並びウインドーショッピングです。
焼き物を手にとりますと紙のように薄くて今にも割れそうな感じがしますが、
鍋島染付け独特の乳白色と藍の色合いと繊細な造りに魅了されました。
 
17、18世紀のヨーロッパの王侯の愛好品だった磁器は、長いこと中国から取り寄せて
いたそうですが、中国の明から清への王朝交代の混乱から磁器の買い付けができなくなり
その結果、伊万里焼のヨーロッパへの輸出が盛んになったそうです。
 
鍋島藩御用窯でつくられた焼き物を鍋島と呼び、その伝統を受け継いだのが
伊万里焼きというそうです。伊万里焼には色鍋島、鍋島染付け、鍋島青磁が
あるそうです。
 
江戸時代から明治にかけて、伊万里、有田地方の焼きものは伊万里港から
積み出され、その当時の焼き物を古伊万里と呼ぶそうです。
 
素晴らしい夕日を見ながら呼子に向かいます。
 
宿から暮れなずむ呼子の海が見渡せました。右側の仏像は海難事故の犠牲者の
冥福と海の安全を祈願して建てられたそうです。この夜は呼子ならではのいかの生き造りに
舌鼓をうちました。
 
昨日とは一変した冬の海です。吹雪の中帰福しました。呼子の周辺には唐津や
有田、伊万里、秀吉ゆかりの名護屋城祉など歴史や文化的施設があり、海の幸
にも恵まれていてそれに福岡からも近くなのでおでかけには格好の場所ではないかと
思います。今回も義弟のお陰でこの寒空のもとでも暖かく快適なドライブ旅行が
楽しめましたことを感謝しております。

TopPage