7/27 2006掲載

よもやま話 Part2
 
慶州への旅 その二・・・・・k.Mitiko 
 
翌日は雨の中を六つの国宝と世界遺産に登録されている仏国寺に
むかいました。

仏国寺は慶州の吐含(トハム)山の中腹に751年ごろ
建立された寺院で、韓国を代表する寺院として知られて
います。私たちの背後に見えるのが娑婆世界から仏国に
入る青雲・白雲と七宝・蓮華の石橋2橋です。

向かって右側が国宝第23号に指定されている青雲橋・白雲橋。
左側が国宝第22号に指定されている蓮華橋・七宝橋です。
石の階段を橋に見立てています。

仏国寺本堂の大雄殿。本堂の前の左右に塔を建てるという様式は、
中国の唐時代の伽藍配置の形式で、7〜9世紀に新羅に入ってきました。
日本では薬師寺などがこの形式です。

国宝第20号に指定された多宝塔。新羅時代に造られた他の
石塔にくらべて、非常に斬新な姿をしていると言われて
います。四面に階段が設置され、塔下部は四本の柱で
支えられている珍しい塔の形状をしています。

国宝第21号の釈迦堂は新羅時代の三層塔。1966年の復元工事中、
塔中央部から世界最古の木版印刷物である『無垢浄光陀羅尼経』が
発見されました。仏国寺の木造建築部分は豊臣軍によって全て焼き払われ、
その後再建されたものです。しかしその基壇や礎石は創建当時のもので、
その配置や規模は変わっていないようです。多宝塔や釈迦堂などの
石造建築物も、創建当時のまま残っております。

石窟庵は仏国寺より更に奥に入った、高いところにあります。
創建は750〜780年頃ではないかと見られておりますが、ハッキリ
したことは解りません。歴史上長らく忘れ去られ、発見されたのは
1900年頃と言われております。

石窟庵は花崗岩を手入れし、それを積み上げてドームの形に
築いてから、その上に土を覆いかぶせ、まるで洞窟のように
見えるように建てられた石窟寺院です。

圧巻は高さ3.4mの釈迦如来坐像で、花崗岩を丸彫りした
仏教美術史上最高の傑作と言われています。温和な表情と
全体の調和は、まるで体温が感じられそうな存在感があり、
こんなに美しい石仏は初めて見ました。その感動は今も脳裏に
刻まれています。石窟庵は1995年、仏国寺ともに世界遺産に登録され、
韓国の国宝となっています。 仏国寺と石窟庵は、この二ヶ所を
見ずには新羅芸術、または韓国文化を論じる事は出来ないと
言われるほど昔から広く知られた素晴らしい文化財です。
最終日は釜山の顔とも言える龍頭山公園に行き、韓国第一の港湾都市
水産都市 の象徴である釜山港の街を見渡しながら散策しました。
銅像は釜山市を豊臣軍から守った李舜臣(イスンシン)将軍で、
現在も救国の英雄として韓国の人々の尊敬を集めています。

お土産を求めて韓国最大の魚市場であるチャガルチ市場を
訪ねました。海産物だけでなく衣類など何でもありの市場
ですが、豚の頭がずらりと並び、そのかたわらではその頭を
せっせと洗っているのには、驚いてしまいました。
最近になって豚の頭が何に使われるのかがわかりましたが、
そのときはカルチャーショックでした。
 
店頭で販売されている豚の頭や高速道路上での物売りには驚き
ましたが、慶州や釜山市の街中の表示がハングル文字一色で、
英語も漢字も無く、ここで迷い子になったらと一瞬不安を覚え
ました。それと仏国寺や石窟庵のほかもう一ヶ所お寺に行き
ましたが、墓地が見あたらなかったことは印象に残りました。
「冬のソナタ」をきっかけに韓国関係のドラマを見、資料を
読むうちに、私が「慶州の旅」で見聞した事実は、韓国の歴史や
社会のありようと関連することがわかりました。
 
参考資料
 
  慶州(キョンジュ)     宇進文化社(韓国ソウル)
  韓国の歴史         河出書房新社
  韓国・朝鮮Q&A       大月書店
 

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