11/20 2001掲載
by Yoko
11月第4木曜日は”サンクスギビングデイ”(感謝祭) 今年は11月22日。
日本のお盆やお正月のようなものなのでしょうか。水曜日の午後ともなると故郷へ向かう
車でハイウェイは混雑し始め、食料品店ではレジに長蛇の列が。
サンクスギビングデイには「七面鳥」を焼いて、家族で食卓を囲むそうで、ひと月も前から
七面鳥がお肉のコーナーにお出ましになります。早めに買って冷凍しておくようです。
そもそも「感謝祭」とは、いつ頃から始まったどういう行事なのでしょうか・・・・・
1620年、宗教的弾圧を逃れ自由を求めて新天地へ船出した清教徒たちが、初めて入植
に成功したのがボストン西南、車で約40分にあるプリマスでした。
このときの清教徒の一団はPilgrim Fathers
ピルグリム・ファーザーズ(巡礼の始祖)と呼
ばれ、彼らが大西洋を航海してきた船がメイフラワー2世号です。
上の写真が1957年に再現されたそのメイフラワー2世号。全長約33m、幅約8mのこの
船に乗組員27人、102人の清教徒(航海中に2人の赤ちゃん誕生)が乗ってきたとは・・・
中は狭いんですよ。動物も連れ、中で煮炊きもし、洗濯もできず、劣悪な環境によくぞ耐え
66日間もの航海を!
メイフラワー2世号でやってきたピルグリム・ファーザーズが、初めてプリマスの地に足を降ろ
したときの踏み石がプリマス・ロックと言われており、こんな標識が道路沿いにありました。
「ほんまかいな?」
1620年12月21日のプリマス入港以来、この地でのピルグリム・ファーザーズの生活が
始まりました。しかし、入植者たちを待っていたのは過酷な冬の寒さと食料不足。約半数の
入植者が死亡。その入植者たちに救いの手を差し伸べたのがネイティブアメリカン・ワンパ
ノアグ族。穀物や野菜の栽培を教えられた入植者たちは、秋には充分な収穫を得ることが
できました。その収穫をネイティブアメリカンを招待し共に祝ったのが感謝祭の始まりです。
このときネイティブアメリカンが七面鳥を持ってきてくれたので、感謝祭では七面鳥を食べる
ようになったそう。
プリマスには、1627年当時のピルグリム・ファーザーズの村・生活を再現したプリマス・
プランテーションがあります。では、そのビレッジをちょっと訪れてみましょうか・・・・・
プリマスの綴り、ここではPlimouthですが、地名の場合はPlymouthと異なります。
村の入り口です。奥の建物は集会場として使われていました。
集会場の2階。海・陸からの攻撃に備え大砲が設置されていましたが、幸い使われることは
なかったそう。
海の向こうは祖国イングランド。ここから遥か彼方を眺め、懐かしい思いに駈られることが
あったかもしれませんね。
この村には13の人家と倉庫などがあります。
こちらは”Standish”さん御夫妻。彼らは17世紀の服装をし、当時の英語を話します。
例えば、「こんにちは」は”GoodDay” 半年もの間トレーニングを受けたスタッフの人たち
で、この村の住人になりきっています。パンフレットにはどのお宅にどんな方が住んでいる
のか書かれていて興味深いですよ。
大工道具も、もちろん当時の物を再現して使用。建築方法も勿論当時のまま。
お天気のよい日にはお布団を干します。
祖国の花、バラ。花びらを乾燥させてポプリも作ります。
家屋の中。吊るしてあるのがドライフラワーなのか、乾燥ハーブにするものなのか・・・
尋ねてみればよかったかな。
ほとんどワンルームですね。
小麦粉を布でふるっているMrs.Allerton
お裁縫をしていらっしゃるのですが、彼女の前の分厚い本が気になります。
いつの時代の本・・・?彼女の私物・・・?
”ハァ〜ア―イ!”
”グッデイ!”
先ほど大工仕事をしていた方。材料を取りに行くところ。
それでは、ピルグリム・ファーザーズの村を後にして”Eel River Nature Walk”を通り
ネイティブアメリカン・ハバモックさんの住居跡へと向かいましょう。
木をくり抜きカヌーを作っているところ。後ろに見えるのは漁の道具か・・・
お肉を焼いています。
薪や毛皮
この時代は清教徒とネイティブアメリカンが共存し、助け合って生活していたというのに
一体いつからそうでなくなってしまったのでしょうか。
感謝祭を終えた日曜日は、ふるさとから戻る人々で交通機関が一番混む日とか・・・
日本もアメリカも飽食の国ですが、収穫に感謝する心を忘れないようにしたいものですね。
では最後に、感謝祭の主役・七面鳥をご覧下さい。
大きいもので3,000円ちょっとでしょうか。七面鳥だけでなくガチョウや雉もありました。
これはベジタリアン用の冷凍食品です。外側は豆腐とグルテンで出来ていて、中には米・野菜
が詰まっている七面鳥もどき!丸い容器には上からかけるソースが入っています。
「まずそう!」と夫がひと言。ここまでして、食卓に七面鳥さまを並べなければならないとは・・・
七面鳥をオーブンで焼く時の必須品。消費大国なので何でも使い捨て!
七面鳥の詰め物・焼き方・グレイビーソースの味と、それぞれの家庭の「おふくろの味」が
あるのでしょうね。
在米生活の長いWoodmanさまのお宅では、七面鳥料理をなさいますか?
この一大イベントが終われば、もう町は編集長のお好きなクリスマス一色となります。
もうすぐ、もうすぐですからね―!
以上