3/8 2005掲載

シャドウボックス  Shadow Box 
 
シャドウボックスとは、3Dピクチャー、立体アートなどと呼ばれることもありますが、いずれも数枚の同じ絵を
用意しカッターでいろんなパーツに切り取って、間にシリコンの接着剤をはさみながら重ねていき、立体感を
持った絵に仕上げるもの。準備する道具は、よく切れる先の細いカッター、シリコンの接着剤、鉛筆、竹串
などです。
 
 
 
アメリカの駐在員夫人がよく習うお稽古事として、シャドウボックスを知っていました。
そして私もやってみることに。たまたま知り合った友人が(ご主人はアメリカ人)自宅でシャドウボックスを教えて
いたのでお仲間にいれていただいたのです。
先生のYumiさんはお菓子やパン作りの達人で、週一回、約2時間半のレッスン中にいつもお手製のものを
ご馳走してくれるという、夢のようなお稽古でした。
ボストンの郊外レキシントンの冬は長く、ゴルフ場も11月中旬頃から3月末まではお休みになるほどです。
そんな寒くて長い冬の間、暖かいお部屋の中でおしゃべりを楽しみながらのシャドウのお稽古、懐かしいわ。
 
このお教室では、最初の作品にピーター・ラビットのカードを選ぶ人が多く、私もそれに倣って下記の絵柄を
選びました。カードは普通にグリーティングカードとして売られているものを5枚準備します。
 
♪カッターいぃっぽんっ 片手にもぉって  ひたすらひたすら 切っていく。
ひと息でシュッと切らないと輪郭がきたなくなるので、おもいっきりよくカットする。切り口の毛羽立ったところは
表から裏へ6Bの鉛筆の先で押し込む。こうすることによって輪郭もはっきりしてきます。
 
ピーターの身体は3枚重ねます。それに顔や耳のパーツ、ジャケットの前身ごろ、手、袖、ボタン・・・・と重ねて
いきます。そのとき、顔や腕などの丸みを帯びたところは、竹串で形作っていくのです。
まわりの葉っぱも竹串で動きをつけます。耳にも切込みをいれて動きをだしたり。
 
おしゃべりしているうちに、あらら・・・どうしましょう? ピーターのおひげを一部切り落としてしまいました。
こういう失敗した部分は、目立たぬように後ろに配置します。
靴も片方だけえらく毛羽立って補修しても綺麗にならない・・・・・まるで片方だけお古の靴を履いてるみたい。
 
全部重ね終わったら、スプレー(名称は知りません)を少しずつ、十数回に分けてかけコーティングします。
これでツヤが出て、立体感もより感じるようになります。
このピーター・ラビットは絵の部分が17cm×12cmです。皆さん木の額をお使いでしたが、このピーターには
銀色も合うかも・・・とこんな額装にしてみました。
 
 
 
 
 
さて、二作目です。小さい作品のほうが早くできるかしら、と 「ピアノの少女」 を選んだのに、
たいへんだったよ〜
 
下記のものが全てのパーツではありませんが、ざっとこんなふうに切り取っていきます。
カードは5枚使用で、出来上がりの絵の部分は11.5cm×6cm。
鍵盤の黒鍵部分をひとつひとつ切ってね!っと云われたときは、どえりゃーショックでしたわ。
黒鍵の長さは僅か2,3oです。
椅子に座っている少女のお尻の部分に丸みをつけるとき・・・丸くし過ぎちゃって中年オバサンの
お尻のようになってしまいやり直したり、まぁいろいろと人知れぬ苦労がありました。(涙)
 
 
 
出来上がったら厚紙で作った額で覆い
 
それをまた更に額装します。
 
 
 
横から見るとこんなふうです。 実際はこの三分の一以下のサイズ。
 
 
さぁ、ふたつの小作品のあとは、いよいよお馴染みのアントン・ペック!
オランダの画家アントン・ペック(ピック)の絵は、シャドウボックスの題材としてポピュラーなようです。
じんろくパパに、いつ帰国や転勤の辞令が出るかも判らず、兎に角大好きなローテンブルクを作りたい。
っと始めました。中の絵の部分のサイズ 22cm×15cm。
 
この風景はローテンブルクの中でも、とても有名。 v.kさまの「ドイツをみてみました」2004.12/22掲載
5枚目の写真がこの絵です。但し、右の噴水は今はないかも・・・?
 
 
一番下(バック)になる紙から、切り取っても差し支えない部分をカットしていきます。
このあたりで作業は停滞。日本に一時帰国したりしているうちに時は過ぎ・・・・・
ある日、じんろくパパが 「春に帰国になりそうだよ。」
それを聞いた私の第一声 「シャドウが間に合わないよ〜〜」 引越しのことよりも何よりもシャドウに
頭がいってしまった私は余程の脳天気か、引越しの達人か・・・??? 判断はご自由に!
今までのペースでやっていたら、ぜった――いに出来上がらない。幸いなことに先生が友だちなので
先生の作品を貸してくれて・・・でも他にも同じ作品に取り掛かっている生徒さんがいたので、毎回
こそっと持って帰り、次のレッスンのときは早めに行って・・・自宅で突貫工事にかかりました。
 
 
写真は撮ったり撮り忘れたりで、系統だって解らないかもしれませんが、まぁ参考までに。
右のパーツを真ん中の絵に重ねます。
 
 
 
 
 
 
完成です。バンザ―イ!!!
 
 
上から見たところ。 接着剤分の隙間が紙の間にできています。
 
所々に隙間を作るために、発砲スチロールを小さく切ったものを挟んでいます。
 
 
額に入れた完成作品! 素晴らしい!
 
横から見たところ。
 
石畳の石もひとつずつ貼っています。紳士のコートも肩には丸みをつけたり裾に動きをだしたり。
もちろんボタンも切り抜いて丸みをつけて貼り付けます。一番だいへんだったのは右の建物、店先に
下がっているお店のマーク。丸い輪には2mm四方ほどの小さな切抜きを貼っていっています。
時計台の時計の針にも神経使いました。もうどこに苦心したのか、枚挙にいとまがないほどです。
それだけに出来上がったときの感慨もひとしおですよ。スプレーでコーティングし額装すると、また一段
と映えて、もう惚れ惚れです。今でも毎日眺めては・・・はぁ〜よくやったなぁと、思わずあの有森裕子
の言葉を自分にかけてやりたくなります。
 
以前拝見した、はなママさん制作のデコパージュのお花も素敵でしたね。綺麗なお花のカードを見かける
度に思い出しますよ。
 
このレポートを書いているうちに、また作ってみたいなぁという思いが湧いてきましたが、飽きっぽい私は
きっとひとりだと完成させられないかもしれません。Yumiさんの楽しいレッスンだったからこそ出来た気が
しています。Yumiさん、ありがとう! 

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