6/29 2001 掲載分

「君よ知るや、南の国?」 いいよなー、日本語は・・・・・
Do you know the south country ? じゃ、話になんないって。

編集長(意外とロマンチスト)のいう述懐で思うのですが、
こういうのは、やはり文語体がいいですね。
昔の翻訳者たちは

@人生の苦楽を味わって
A映画とか音楽の内容とかを知り尽くして
Bなおかつ日本語の手練れで
C自分の仕事に自信とプライドがある

という人たちがいたので、こういう含蓄のある表題ができたのでしょうね。
原題に勝っていると思える邦題がたくさんありますね。

思いつくままに・・・

ジョン・フォードの「我が谷は緑なりき=How green was my valley 」
この映画は涙なしには見れない映画ですが邦題が絶対、いいと思います。

同じジョン・フォードの「荒野の決闘=My Darling Clementine」は、
ラスト・シーンの「私はクレメンタインという”名前”が好きです」という、
ヘンリー・フォンダのセリフまで考えるといい勝負だけど、
ちょっと目には邦題の勝ち。

風と共に去りぬ=Gone with the Wind」も勝ち(と思います)。

ヴィヴィアン・リーで「哀愁=Waterloo Bridge 」

僕が好きなナタリー・ウッドの
 「理由なき反抗=Rebel Without a Cause 」
(これは、当初”いわれなき反抗”と読ませていました)

草原の輝き=Splendor in grass」も。

原題も邦題も映画の内容も、ぶっ飛んで、高い水準をキープしているのが
マルクス・ブラザーズの
我輩はカモである=Duck Soup」。
この映画はとにかくハチャメチャ。

それにしても、昔の手練れは、どう頭を絞って

「Yesterday」(ビートルズ)とか
「The Sound of Silence」(S&G)とか
「Sailing」(ロッド・スチュアート)の邦題を
どのように、つけたのでしょうか。

まさか、「昨日」とか「音のない音」とか「帆走」とか
つけるのはプライドが許さなかったでしょうに。

春口