10/23 2002掲載

haruさん

<アクエリアスの航海 〜Sunrise Sunset〜 壱岐>

 

 福岡のヨットマンが最初に目指すのが壱岐です。

壱岐には船が変わり寄港する港が変わっても何度も何度も行き、いろんな思い出がありますが、
思い出が増えるたびに年月は過ぎていくものですね。

これは、今度、ニュージーランドから帰国して法政大学に入学した航平くんの幼いころの話です。

子供が成長する陰には親の努力があるものですねぇ。

でも、父親って、努力する割りには報いられないものなんです。
 

♪♪ 奮闘努力のかいもなく 今日も涙の 今日も涙の雨が降る 雨が降る・・・・

 

ああ、男はつらいよ。

 航平くんがまだ小さかったころ、たしか小学校1年生か2年生のとき小作人さん、小春パパ、はるさんたちが一緒に
小春パパのラサ・サヤンで五月の連休に壱岐クルージングに行ったことがあります。


左より 拓也・谷口・航平・大分の小作人・みやこ・小春パパ

綺麗な砂浜に近い、小さな漁港にヨットを泊めました。民家が何軒かまばらにあるような小さな街の港です。
民宿に泊まり、夕方は、海に沈む太陽などを眺めて楽しく過ごしていました。

このころ、航平くんは喘息気味でしたが、夕食のあと、夜中にひどい喘息を起こして大騒ぎになりました。

“ゼイゼイ、ゼイゼイ”と息も絶え絶えに咳き込みます。

我々は、ビックリして心配しました。

民宿の大広間に10人くらい、男も女も雑魚寝だったのですが、みんな起きて女性が航平くんの背中をさすってやったり
していました。子供の咳き込む様子にビックリした小作人さんは民宿の車を借りて、薬を求めて夜の闇のなかへ飛び出
していきました。離島の夜は早くて深い、こんな時間に薬局が開いているはずはありません。
それに目当ての薬があるかどうかも・・・

あとで聞くと、島中の薬局を起こして
「喘息の薬、ありませんか?息子が死にそうなんです。」と、そりゃ、聞くも涙語るも涙の物語、われわれも思わず貰い泣き。

これぞ、子供を守る父親の理想像!

我々は小作人さんが薬を買って戻ってくるのを待っているあいだ、小春パパさんがたまたま持ってきていたテレビゲームを
航平くんに与えました。このころ、小春パパと航平くんはテレビゲームのライバル関係にあって、同じゲームを行い、電話で

“どのステージまでクリアしたか・・・。どっちがさきにかけつくか。”を競い合っていました。
オンライン・ゲームなど考えられない時代でした。

小学生とマジで競争して一喜一憂している小春パパに僕は感動すら覚えていました。

もともと、小作人さん一家はテレビゲームの導入が早くて、父親、母親、航平くんが一台のゲーム機で家庭内覇権を競って
いました。反射神経に優れている航平くん、一日中、練習に励むことが出来る母親に比べると父親は覇権争いから、早々と
脱落するのは当然です。これで父親はキレました。

「誰のおかげでゲームができるんだ!!子供は仕方ない。しかし、俺が働いている間に妻が練習することは許さん!
練習時間が同じでないと不公平じゃないか!!」と怒り狂って家庭内での昼間の練習を禁じました。

家庭内紛争が起こったのは当然です。

テレビゲームを手にした航平くんは、もう、すっかりゲームに夢中になって、いつのまにか喘息のことなんかケロリと忘れて
一心不乱にゲームにはまっていました。

2時間くらい経ったでしょうか、ゲームが佳境に達しているとき、やっと小作人さんが戻ってきました。

薬を持ってガラリとふすまを開けるなり叫びました。「航平−ぃ、薬を買ってきたぞ〜ぉ。」

小作人さんとしては、子供がゼイゼイ言いながら

「おとうさ〜〜ん〜、ありがとう。僕のためにお薬、買ってきてくれて・・・クスン」

くらい想像していたのに違いありません。なにせ、深夜、車を借りて見知らぬ島中を走り回ったのですから。

ところが航平くんは見向きもしない。ゲームにはまっている。喘息なんかとっくにどこかに行っている。

小作人さんは、もう一度、大きく叫びました「航平−ぃ、薬を買ってきたぞ〜ぉ。」

航平くんはまたもや、まったく無視。

ゲームにはまっている。もう、セキなんかしていないのだから薬は関係ない。

ここで、やっと小作人さんも事態が飲み込めたようでした。

「こら〜あ、航平−ぃ、薬を飲まんか〜〜あ。」いやがる息子の口をこじ開けて、無理に薬を飲ませていました。

われわれは家庭内暴力を目の当たりにしましたが、この場合、父親にも一理あると小作人さんに同情をもって見つめていました。
父親の愛を見た一夜でした。

翌朝、昨夜の努力を思い、みんなですがすがしい日の出を迎えました。

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陽は昇り、陽は沈み
月日は経ち
子供達は成長していく
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Sunrise,Sunset   (屋根の上のバイオリン弾き)より

 

Is this the little girl I carried

Is this the little boy at play

I don’t remember growing older

When did they

When did she get to be

 A beauty

When did he grow to be so tall

Wasn’t it yesterday

When they were small

Sunrise,Sunset

Sunrise,Sunset

Swiftly flow the days

Seedlings turn overnight

To sunflowers

Blossoming even as we gaze

Sunrise,Sunset

Sunrise,Sunset

Swiftly fly the years

One season following

Another

Laden with happiness

And tears

What words of wisdom

Can I give them

How can I help

to ease their way

Now they must learn

From one another

Day by day

They look so natural

Together

Just like two

newlyweds should be

Is there a canopy in store

For me

Sunrise,Sunset

Sunrise,Sunset

Swiftly fly the years

One season following

Another

Laden with happiness

And tears