「江口君の来阪」 2001年2月28日

2月23日、高校時代の同窓生、江口君が広島出張の帰路、大阪に寄ってくれました。

かねてから江口君の話を聞かせたかった私の友人3人を誘って三裕の館で集まること
にしたところへ同じ同窓生の炭谷君も参加してくれることになりました。
三裕の館が初めてであり、どこかとろくさいところのある京都のMさんと阪急「南
方」駅で待ち合わせ、三裕の館に行きますと、入口近くのカウンター席で江口君が一
人パソコンを相手にキーボードを打ち続けております。
「あれ?テーブルを予約しているのに」と言うと、「いや、新幹線の中でバッテリー
の充電が無くなってしまって、今ここでやり残した仕事を片づけているところなん
だ。僕はまだここに来ていないと思って友人達と会を始めてくれ」と答えます。そし
て奥の方を見るとWさん、Yさんがテーブルについていて「ハーイ!」と手をあげて
いるではないですか。
私とMさんもテーブルにつき、「あなたたち、江口君と挨拶したの?」と聞くと、
「うん、挨拶はしたけれど、それだけ」とWさんが言います。
そうだろうな、あんなに難しい顔をしてパソコンを見つめていたらそれ以上声をかけ
にくかっただろうな、と私も納得しました。
「それじゃ、江口君には悪いけれど、我々だけで始めるとするか」とビールを注文
し、さあ、乾杯とグラスをあげたところに「こっちにも一杯持ってくるくらいの気遣
いをしろよ」と江口君の声がかかります。

まだ、ここに来ていないはずだったのでは、と私は意地悪く思いましたが、すぐにM
さんがビールと料理の一部を皿に盛って江口君のところに持っていき、グラスに注ぎ
ます。


YさんとMさんは20日前のコミック談義の時以来二度目の出会いでしたが、同じ京
都のしかも比較的近いところに住んでいることもあってあの時にすっかり仲良くなっ
ていたので女性3人の話はすぐににぎわい、私の口挟む余地がないくらいでした。
WさんがYさんに貸している大部のコミックのことを聞きつけたMさんが、私も貸し
て下さい、とWさんに頼み、自転車で取りにいきます、と言います。
恋人との結婚のために今一生懸命貯金に励んでいる彼女は節約のために仕事の通勤な
ど京都市内の移動はすべて自転車を利用するのです。
本もコミックも大好きな子なのですが、本は図書館で借りられるけれど彼女らが好む
マニアックなコミックは図書館には置いておらず、Wさんの大部のコミックが借りら
れるのは大変嬉しい話しだったようです。
なかなか仕事が終わらない江口君の方をチラッと見やって、「江口さんってどんなお
仕事なの?」とWさんが聞くので、「仕事の内容は詳しく知らないけれど、日本塗料
という会社に勤務している」と答えると「中国塗料!」とすかさず、江口君の声が飛
んできます。
一生懸命仕事をしながら、キッチリとそば耳は利かせているようでした。
やがて時間が6時半になったころ、炭谷君がやってきました。


仕事に没頭している江口君への挨拶は後回しにしてもらい、Wさんの隣の席に座るよ
うに勧めますと、仲の良い奥様に気兼ねしてか、「いや、僕はここでいい」と離れた
席に腰掛けるのです。
馬鹿なことを言うものじゃない、と無理矢理Wさんのそばに座らせると、ひどくもじ
もじしてやんの。(純情なんだから)
しかし、そこは誰に対しても気さくに接するWさんの話術にすぐさま引き込まれ、映
画音楽の話し等を取り交わしているうちにすっかりリラックスしてきました。
しばらく5人だけで歓談しているうちに、やっと江口君が仕事を終えて宴席に加わっ
てきました。
三裕の館に着いてから約1時間後のことでした。(バッテリーの充電には十分気を付
けましょう)
そこで初めて全員で写真撮影。

初めまして、と江口君と炭谷君が名刺交換するのを見て、「えっ、お二人は初対面な
んですか!」とWさんがビックリします。
江口君は前々回の宝塚オタクの女性達を前にしたときに比べて語りぶりは控えめで、
宝塚にそれほど関心の無い人達の前ではやはり気を遣っているのでしょう。
それでも、集まった一人一人が自己紹介するなか、Mさんが「森脇さんとは私が高校
生のときに知り合いまして・・・」と言うと、すかさず「それは3年ほど前のこと
?」と女性に対する世辞だけはキッチリと忘れません。
それでも「この前、東京でルートヴィッヒを観てきたけれど、あれはイマイチだった
ね」と宝塚歌劇の話しも一応はしました。
レビューも江口君に言わせるとワンパターン化していて眠たくなってきたとのこと。
いやはや、今回のルートヴィッヒはすこぶる不評のようでした。(私は良かったと
思っているのに・・・)
隣に座ったMさんが経済的に厳しい状況下で好きな本もCDも買えないことを知った
江口君が、「溜まった本やCDを家内が早く処分しろ、と迫るので、君、譲り受けて
くれないか?」と言うので、Mさんは顔を輝かせて「本当ですか!いいのですか?」
と大喜びでした。

江口君、広島、ニューヨークと出張の続く慌ただしいなか、早速Mさんにそれらを
送ってくれたそうで本当に有り難う!父親のいない彼女と私は父娘の杯を交わしてお
り、今後は貴兄も彼女の伯父さん的存在になってくれることを願っております。
その後も結構話は賑わっておりましたが、私は何か世話役のほうに気持ちが行き過
ぎ、どんな話が交わされたのかはあまり記憶に無いのです。(江口君とWさんの都合
で9時にお開きにする予定だったので、結構、積極的にお酒も飲んだし、アルコール
もだいぶ回っていたのでしょう)
やがてお開きの時間が来ました。
店の前で御堂筋線に乗る炭谷君、Wさんと阪急線に乗る江口君、Yさん、Mさんと別
れます。私も御堂筋線なのですが、江口君を送りたいから、と阪急線勢に加わりまし
た。
南方駅の宝塚方面改札口に入った江口君は一回だけ我々の方を振り向き手を振った
後、プラットフォームの人混みの中へと消えていきました。そこで、私は二人の美女
に言いました。
「ねえ、最終電車までにはまだかなり時間があるでしょう?明日は土曜日だし、勿体
ないと思わない?」
「思いま〜す」と二人は笑って答えてくれます。
「二人だったら四条烏丸からタクシーで帰っても安いですよねえ?Yさん」と珍しく
景気のいいことをMさんが言います。
「それじゃ、もう一杯飲みに行きましょう」と、私らは駅近くの安居酒屋に入ってい
きました。これが私が江口君を見送った本当の理由でした。

ただ、その居酒屋で彼女らと喋ったことはほとんど覚えておらず、彼女らを駅で見
送ったこと、私が乗り過ごして八幡市まで行き、最終の電車で香里園に着いたことだ
けはよく覚えております。
今日の宴によってまた一つ輪の広がりができたことに私は大いに満足しながら帰宅い
たしました。