6/17 2002掲載
「私の石鎚山登山」
川島道子
6月1日高齢者トリオ(妹夫婦と私)で恒例の春の登山に
日本百名山の一つ四国の石鎚山に登ってきました。
石鎚山は西日本最高峰(1982m)の山であるとともに
山岳宗教の地として信仰登山の歴史も古く、7月1日の
山開きには1日だけの女人禁制となり全国から数万の
修験信者で賑わうようです。
車道から眺める石鎚山は頂上まで行けるのかと不安にな
るような荒々しい山容に強い印象を受けました。
石鎚スカイラインの終点土小屋(つちごや)から標高差
500mを登り始めます。左手に空に剣のようにつきだした
穂先が槍ケ岳のような、石鎚山の山頂を見ながらゆるやかな
尾根をハイキング気分で登って行きます。
高度が上がるにつれて小蝿のようなブトの大群に付きまとわれ
追っても追っても離れず危険な足元への注意とでエネルギー
が消耗し、前途多難な道行となりました。
ふと見上げると山頂部分の岸壁がそびえ立ち前方はるかに最大の
難所鎖場の小屋が見えて、内心がっくりでしたがここまで
来れば前進するしかなくブトと格闘しながら歩を進めました。
石鎚山の山頂にいたる急峻な岸壁には、3ケ所の鎖場があり
私たちの手に負えるものではなく岸壁の巻き道をたどって
登ることになりました。
3ケ所の鎖場には迂回路が整備されていますが、鉄はしご
にしても木道にしても半ば宙に浮いているようなもので
下を見ないように、足元に細心の注意をして鎖の手すりを
手繰り寄せながら必死に登って行きました。
途中何度も休憩しながらまわりの風景を見る余裕もなく
内心は恐怖心でいっぱいで疲れも加わりやけと居直りの心境
が笑顔になっているところです。(後ろが私)
やっとやっと頂上に着きました。(左は妹)
山頂は3ケ所に分かれ私たちのいる所は祭殿のある宗教上の山頂
弥山(みせん)で後方が最高峰の天狗岳(1982m)ですが現在は
危険なために入山禁止になっています。頂上からの360度の眺めは
もやがかかっていたため瀬戸内海までは見ることができませんでした。
天狗岳について深田久弥が「天空に乗り出す船を想起させる
はどのワイルド感を持っている」というように独特の山容で
北壁はロッククライミングの場として賑わっているようです。
7月1日の山開きには白装束の修験者が全国から参集し
石鎚山は信仰の山として一段と賑わうことでしょう。
余談ですがブトの大群にかまれた顔全体が翌日から腫れ上がり
やっと見つけた皮膚科で処置していただきことなきをえました。
川島道子