ブラインドタッチへの勧め

これからブラインドタッチを学ぼうとされておられる皆様へ

まず、紹介したい本は下記のものです。

「ワープロタイピング習得法・10日間でOK」(内藤 忍著・日本実業出版社)¥1.165

ブラインドタッチとはキーボードを見ずにタイピングすることで、これをマスターす
るとディスプレイだけに目を向けて漢字変換に集中できるので効率的であり、目の疲
労もやわらげ、しかも確実にタイピングが早くなります。
調子の良いときの私は、頭で文章が浮かんでいく速度そのままに指が自動的にキーを
うち続けているということもあり、キータイピングをするという苦痛をほとんど感じ
ずにA4判1枚分の文章なんかアッという間に書き続けることができるくらいなのです。
しかし、そんな技術がほんまに10日間で身につくのかいな、と皆さんは胡散臭く思
われるでしょう。いや、きっと思ってるに違いない!だいたい森脇は調子がいいからな、と。

思考と同じ速度で打てるようになるには10日間では無理ですが、少なくとも、この
本の著者が言うとおりにくそまじめに従ったら(ここが実に肝心なのですが)、筆書
きよりも早い速度で打てるようになることは保証いたします。
ブラインドタッチの本は他にもたくさん出ておりますが、そのほとんどが、日本語入
力の練習だったら「はきくまはきくま」とか、ローマ字入力だったら「FGHJ, F
GHJ」などの意味のない基礎文字打ちの連続を初心者に強い、しばらくやっている
とうんざりしてくる代物なのです。もっとも、この方法の方が上達した場合、ミスの
少ない確実なタイピングがものにできると思いますが、キーボードタイピング上級検
定試験でも狙わない限り、多少のミスタイプがあろうとも途中で投げ出すことなく早
く実用化できる内藤式の方が、忙しい一般社会人には格段に向いていると思うためこ
の本を強力に薦めるのです。
では、この内藤式の大きな特徴は何かと言いますと、著者の言うとおりに最初キー
ボードを見ずにまるで暗闇の中を恐る恐る手を出すような手探り状況(まさにこのよ
うな表現がピッタシです)でタイピングを練習しているうちに、著者が予言している
ように自分が確実にブラインドタッチの獲得に一歩一歩近づいていくのが実感できる
その適切な指導法が非常に効果的なことなのです。各段階、各段階で初心者が不安に
思う心理を的確に見通すかのようないろいろ励ますやり方はすごい人間洞察に満ち溢
れているのです。
そしてある程度キーボードを見ずにミス無しに打てるようになった時点でいきなり、
夏目漱石の「坊ちゃん」の冒頭の250文字を打たせる練習をさせるのです。もちろ
ん漢字変換も句読点、カタカナも原文の通りに打たせます。
最初は250字を打つのに20分から15分ほどかかります。そしてこの繰り返しを
何度もさせるのです。意味のない文を打つのと違って文豪の立派な日本語の文章をう
つのですから、苦痛ははるかに少ないのです。ところが繰り返すうちに徐々にスピー
ドが早まっていき、10日目には早い人なら5分以内、遅い人でも10分以内に打て
るようになります。これは筆書きと同じかあるいは早い速度になっているのです。
こうなってくると、もうどんな文書でもすぐに打てるようになるわけで、後は文章を
書く量の多さと、書く機会の間隔の狭さがタイピングの速さの個人差となって出てく
ることになる訳です。私の息子は4日間、娘は一週間で覚えまして、娘なんかピアノ
を弾けるからでしょうが、ある英語のテキストをコピーする時なんか、漢字変換の手
間がない英文ですから、テキストに目を向けたまま、もの凄いスピードでうち続ける
のです。これははたで見ているとすごい能力のように見えますよ。
つまり、文章を書くことが多い人は、ある程度の速さのブラインドタッチを身につけ
ると後は、文章を書くことによってどんどんスピードが早くなっていくのです。その
ある程度の速さを身につける最低ラインが10日間と思っていただければよいかと思います。
息子や娘は若いからと思わないで下さい。私の顧客で退職したある中学校校長は、い
ろいろ随筆や文芸作品を書かれる方なのですが、私の勧めに従われ、パソコンを購入
してたちまちこの技術を身につけられました。勿論その校長先生はピアノを弾けません。

ただ、この本でブラインドタッチをマスターするための一番大切なコツは、著者が何
度もくどく言っておりますが、著者の言うことを金科玉条のように守ってただひたす
ら書かれた指示通りに従うことなのです。私は、途中から著者の言いつけを守らずに
自分勝手に進めたため、後々ミスタイプが抜けきれない癖がついてしまったという苦
い経験があるのでこの点はことさらに強調いたします。
これからブラインドタッチを学ぼうとされる皆様はどうぞご参考にしてください。た
だ、目で見ながらのタイピングに熟練されている人は、最初のもたもたしたやり方
が辛抱できないらしく失敗する(つまり途中で止めてしまう)方が多いようです。

森脇久雄