<妻への感謝状> 10/22 2002掲載  by リワキーノ

昨日、息子夫婦と3人で手打ち庵さん宅に向う車の中での会話です。
リワ「教雄と雅子ちゃん、あなたたちの結婚式を終えた今、私が一番感謝している人は
   誰だと思う?」
教雄「お母さんだろう?」
リワ「そう。私はね、お母さん(家内のこと)があんなにあっさりと教雄に対して子離れす
   るとは予測もしなかったよ」
教雄「僕も!」
雅子「え?どういう意味ですか?」
リワ「普通、母親というものは息子が結婚するときは非常に複雑な気持ちになりやすい
   と聞いていたので、まだ、雅子ちゃんと知り合う前に教雄の結婚のことを考えたとき
   、この世で一番大事な存在と思って一生懸命育ててきた家内はさぞかし辛く思い、
   ひどく落ち込むのではと心配したこともあったのだよ」
教雄「僕もそのことが心配だった」
リワ「そうだろう?いかにお母さんがお前のことをかけがえの無いこの世で一番大切な
   存在と思っていることはお前が一番知っているはず」
 
そう言って私は雅子さんにいかに家内が教雄のことを大切にしてきたかを話したのです。
 
教雄を妊娠してからは、とにかく健やかな子供を生もうと食事にも栄養のバランスに心を
配り、一生懸命量も食べて張り切って頑張ったのに、2600グラムという未熟児一歩手前
の教雄が生まれたとき、悔し泣きした家内。
共働きの主婦なのに添加物とか白砂糖や人工調味料類を一切使わずに、甘さも野菜を
油で煮て取った汁でつけていた家内。
保育所に子供を預ける多くの母親たちが仕事の帰りに喫茶店でお喋りをした後に迎えに
行ったりしていたのに、いつも学校が終わるとどこも寄り道をせずに真っ先に教雄を迎え
に行った母。
それでいて保健教諭としての仕事の手抜きは一切しなかった家内。
裕美子が生まれてからは裕美子をおんぶし、幼い教雄の手を引いてあの保育所の坂を
登り降りし、スーパーで買い物した重い荷物を持って手もちぎれそうな思いをしながら帰っ
てきた家内。
小学校に入学したとき、イトーキの高級勉強机を買ったのに、その前で毎日あくびばかり
して勉強をしないのを見て、教雄にはそういった進学の夢は抱かない方がいいよ、と言っ
た私の言葉に内心は辛い思いをしただろうに、一切、教雄にあたることをしなかった家内。
中学時代から急に勉強するようになってめきめき成績をあげ、通っていた名門塾でもA判
定をもらって自信を持って受験した関学高等部に落ち、滑り止めに受けたもう一つの私学
も信じがたいことに落ちたときは二次募集のある私学に願書をもらいに行くため、泣きな
がら自転車を走らせて香里園駅に向った家内。(そのときの家内のこと今、思い出しても
涙が出そうです)
一浪しながらも志望した慶応大学に入れなかった教雄がすべり止めに受けた関学の通知
が届く日、大雪で交通が混乱した中を寝屋川中央郵便局に電話して関学からの通知の封
筒が届いていることを確認すると、雪道で危ないから、と止める教雄の制止を振り切って合
格通知を取りに出かけていった家内。
このとき、福岡で危篤状態だった母に付き添っていた私に家内が教雄の合格したことを知
らせてくれたことで意識の無い母の耳元で「お母さん、教雄が大学に合格しましたよ」と伝
えることができ、母の右目から一筋の涙が流れるのを見ることができたのです。これが私
の生きた母との最後の別れだったのでことの外、思い出に残ってます。
私の山関係の仲間たちの泊りがけの忘年会に教雄を連れて行って酒乱の男にからまれて
茶碗を投げつけらたことを知って、激しく身体を震わせて怯え、そんな会合に連れて行った
私に、二度と教雄をそんな人たちの間に連れて行かないで!と非難した家内。
教雄が就職し、社宅で一人住まいをするようになってからは4年間、毎週、土曜日か日曜日
は教雄のところに行ってふとん干し、掃除洗濯、ときには夕食の用意をし、いつも健康に気
を遣いつづけた母親。
仕事が超多忙で一ヶ月に一回くらいしか実家には戻ってこないので、たまに泊りがけで帰っ
てきたときは、私や裕美子と教雄が談笑しているのを聞きながら最良の料理つくりに専念す
るのにいつしか鼻歌を歌っている家内。
 
リワ「こんな家内だから、最初、雅子ちゃんとの話が急激に発展していったとき、家内がネッ
   クになるのでは、と私は心配したのだけれどそれはまったくの杞憂だったわけなんだ。
   淋しくないのか?と尋ねると教雄のことを任せることができる人が現われたのに何で淋
   しく思わなければならないの?と逆に聞き返されたくらいでね。家内は親としての使命を
   無事やり終えたという充足感と安堵感があるとも言ったのだよ」
教雄「ふーん、お母さんはそんなことまで言ったの?」
リワ「そう。息子の健康と幸せのみを願い、それさえかなえば自分のことはどうでも良いという
   お母さんの思い、これが本当の母親の愛情だと思わないか?」
教雄「思う」
雅子「思います」
リワ「そんなお母さんをお父さんは深く尊敬し、こうして教雄が雅子ちゃんという素晴らしい女性
   と結婚できたのもすべてお母さんのおかげと感謝しているのだよ」


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