11/8 2001掲載
秋の大峯・大普賢岳近辺
週間天気予報が快晴を予告していた10月31日、仕事の予約をとらずに前日まで待
ち、快晴が間違いなく確定した30日夕方の時点で大峯行きを決めました。
今年、紅葉の大峯を見るのはこれが最後のチャンスと思ったからです。
朝5時半起床、6時には寝屋川を出発。早朝なのにいつもと違って意外と信号に引っ
かかり、3時間後の9時に大峯和佐又山に到着。
@ 和佐又山キャンプ場
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標高1200メートルのところにある和佐又山ゲレンデです。
冬にはスキー場となります。リフトは無く、滑り降りたら人力で上まで登らなければ
なりません。
栃の大木はかなり葉っぱを落としておりました。
A樹林帯に入る
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和佐又山から大普賢岳への登山コースはブナ、ヒメシャラの広葉樹林帯あり、ツガ、
モミ、トウヒ、シラベ等の亜高山針葉樹林帯あり、断崖絶壁の岩場あり、ハシゴ場あ
り、やせ尾根あり、など大峯の様々な風景を集約した言わばエッセンスのようなコー
スです。
Bブナとヒメシャラの尾根
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和佐又山から日本岳にかけてはなだらかなプロムナード尾根が続きます。
Cヒメシャラ
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ヒメシャラは触るととても冷たく、歩いて火照った頬をすり寄せるととても気持ち良
いです。このヒメシャラはまだら模様になっていますが、樹肌は季節によって変化し、
ピカピカ光るようなだいだい色一色になっているときは何とも言えぬ色っぽさがあり
ます。
サルスベリとも言われているようですが、学術名のサルスベリは別の樹木のようです。
D、E大嵒
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嵒とは見慣れない字でしょう?
音は‘がん’訓は‘くら’と読みます。
巨大な大岩、崖岩という意味のようで、大峯にはこのような嵒が随所に見受けられます。
山腹をこの嵒で断ち切られて登ることも降りることもできない、ということが大峯で
道に迷ったときにしばしばあります。
この大嵒は大峯でも有名な行場、笙ノ窟そば近くにある鷲の嵒です。オーバーハング
している所の底部は六畳間くらいの広さがあります。
F奥駈尾根
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笙の窟近辺から樹林越しに奥駈尾根が見えます。
G石ノ鼻からの展望
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小普賢岳手前の展望台です。
鼻とは山腹にまるで鼻が付いたように飛び出ている岩場のことを言います。
左手の黒いピークが日本岳、そのすぐ向こうのピークが和佐又山です。
H谷間の紅葉
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石ノ鼻の北側は絶壁となっていて谷底まで見渡せます。谷の広葉はまだ十分に綺麗です。
I小普賢岳から見る大普賢岳北側の絶壁
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I_2 I_3 遭難碑
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小普賢岳から大普賢岳にかけての厳しい登り下りは冬場では大変危険なところで、何
人かの遭難者を出したところです。
J大普賢岳頂上からの眺め
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左側が女人大峯と言われる稲村ヶ岳、右側が女人禁制の山上ヶ岳です。
K孫普賢
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大普賢岳で奥駈道に合流し、ここから伯母谷覗きを目指して北へ向かいます。
大普賢岳北側の中腹にある孫普賢と言われる岩峰です。
聖母マリアが祈っているようにも見え、私はマリア像と呼んでおります。
L山腹の道
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このあたりは切り立ったやせ尾根の上にあるのですが、樹林の中を歩いている限り、
そのようなことは全然感じられません。
奥駈尾根上の紅葉はほとんど終わっていました。
M行場
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大普賢岳からグーンと下降してきたところの行場です。
この辺りはいかにも原生林のような雰囲気を漂わせるところです。
NO伯母谷覗き
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今回の目的地、伯母谷覗きに到着しました。
覗き、というのは眺望の素晴らしい断崖絶壁の所を言い、行場で有名な山上ヶ岳の西
の覗き、東の覗きをはじめ、他にも孔雀覗き、水太覗きというところがあります。
向こう側の山は大普賢岳です。
人っ子一人いないこの岩場の上で昼食を取り、ゴロッと横になっているのは最高に気
分がいいです。
普通だったら絶対にタバコを吸いたくなるはずなのに、なぜか全然吸いたいと思いま
せんでした。
P反照
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伯母谷覗きで30分ほど休憩した後、一路、和佐又山ヒュッテに向かって戻って行き
ました。
笙ノ窟近辺まで戻ってくると午後の日差しが樹林を美しく彩ってくれます。久しぶり
に一人で大峯の樹林帯の中を歩きましたが、忘れていたような山への感動が蘇るよう
でした。
Q和佐又山のすすき
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午後3時に和佐又山ゲレンデに戻ってきました。
R和佐又ヒュッテ
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この辺りの村の廃屋小学校を解体してその資材で作った山小屋です。
お風呂もあり、寝具も頻繁に虫干しされていて寝心地よく、料理も美味しく、実に快
適な一夜を約束してくれます。
大峯に入り浸るようになってから18年間、何十回となく泊まった私にとって別荘の
ような所です。
S岩本夫妻
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山小屋のオーナー夫妻です。
夫妻そろって意気に感じるお人柄であり、私の大峯に対する思いに大変共感してくれ、
いつも大歓迎してくれます。客の少ないときなどは深夜までお喋りに熱中してしまう
ことがあるくらいお話好きな夫妻です。
主人が還暦を迎えた時点で山を下りるつもりだったのに、大勢の登山者達から懇願さ
れてやむを得ず、そのまま山小屋の主人を続けており、今年68歳になられたとか。
奥様がすぐにコーヒを入れてくれ、「ま、ゆっくりしていきなさいよ」と主人も勧める
のですが、月末の渋滞を警戒して30分ほどで和佐又山を後にしました。