4/30 2002掲載

by 森脇久雄

大峯・千年檜祠落慶法要(その1)

大峯尾根上の持経宿から徒歩10分ほどのところに千年檜といわれる巨木があります。

新宮山彦ぐるーぷのメンバーである伊勢市の清水達夫氏が1年かかりで彫った不動明王像

を安置する祠をここに作ったのでその落慶法要が4月27日に行われることになりました。

その落慶法要に間に合わせるため、私は前日から大峯入りすることにしたのですが、宿は

行仙宿山小屋に泊まることにしました。

妹分の田辺市のジャーナリスト、カツラさんを誘ったところ、太地町で仕事を終えたら駆

けつけます、多分、午後7時ころには浦向(行仙宿小屋に最寄の村落)に到着の予定、と

彼女は応じてくれたのです。

一人淋しく無人小屋で泊まるはずだったのが、妹分と一緒に酒盛りをできるとは、と私は

ルンルン気分で寝屋川市を午後3時に出発いたしました。

 

1.

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當麻町から見る二上山です。

 

2.

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吉野を過ぎて大峯山域に入るころには日も暮れてきました。

崖崩れの修復工事のために片道通行となり、信号が設けられています。

紀伊半島の山間部の国道ではよくこういうことが起きます。

 

4時間のドライブの後に奈良県吉野郡下北山村浦向の国道分岐に着いたのが午後7時。

カツラさんの車は見当たらず、しばらく待っていると携帯に電話がかかってきました。

「すみません、仕事が遅くなって今御浜町を出たところです」

御浜町といったら新宮市と熊野市の間の町、こりゃ1時間はかかるぞ、と思っていたら案

の定、彼女が到着したのは午後8時。

貧乏鍋以来の再開を喜んで握手するとすぐさま彼女の車を従えて行仙宿登山口までの山岳

ドライブウエイの道を走ります。

 

3.

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離合は難しい狭い道ですが、夜なのでヘッドライトの光で対向車の接近が判るのでさほど

気もつかわずに40キロ前後のスピードでくねくねした坂道を登っていき、尾根に出た直

後に枝道の舗装されていない林道に入っていって午後8時半、登山口に着きました。

 

4.

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階段を登っていくカツラさん。

ヘッドライトを忘れてきたそうで手に持った懐中電灯が唯一のたよりです。

 

5.

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杉林の坂道を登っていくうちにパラパラと雨が降り出しましたが、傘をさして私たちは意

気消沈するでもなく、あれこれと積もる話をペチャクチャと語りながら登っていきます。

「太地町での仕事、何だったと思います?女性の入浴シーンを撮るんですよ。観光パンフ

レットに使うのです。女性カメラマンがいいと言われて上司が気安く引き受けてくるもん

だから嫌になりますよ」

「ふーん、その写真は後日見せてもらえるのかしら?」

「アニキ、何を考えているの!」

途中で左右に別れる道があり、今までにこんな分岐無かったぞ、と思いながら行仙宿小屋

は東の方角になるからと東に向いている道に踏み込んでいったのですが、しばらく行くと

道は消えており、引き返すということになりました。

これが一人で真っ暗闇の中を右往左往するのなら相当心細い思いになったことでしょうが、

連れがいてくれるので全然不安感が起きません。

 

6.

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午後9時半、行仙宿小屋にたどり着きました。

雨は止みましたが霧が漂う中の行仙宿、何故か真の暗闇にならず、ボヤーっと明るさがあ

り、幻想的雰囲気でした。

 

7.

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行仙宿小屋の玄関です。

 

8.

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ザックを置くなり、「薪の火を点けるのは得意ですから」とカツラさんが薪の準備をしてく

れます。

 

9.

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薪の火が燃え出すと、私たち二人だけの宴が始まります。

カツラさんの名を意識して寝屋川から持参した伏見の銘酒「月の桂」、そしてカツラさんが

鯨の町・太地町で買い求めてきた鯨の肉、肝、腸、おばゆけなどの珍味を飲食しながら、

大峯のこと、熊野修験のこと、南方熊楠のこと、アルバトロスクラブのこと、イティハー

サのこと、果ては彼女の見合い話のこと、と様々な話題に話が飛びながら楽しい宴を続け

たのでした。

 

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そして、深夜の11時半、辻田さんが到着したのでした。

実は、彼が私の行仙宿小屋泊を知って急遽参加を言ってきたので私はカツラさんを誘った

のです。

品行方正なるリワキーノは女性と二人だけで無人小屋に泊まるようなそんな非常識なこと

はいたしません。ちょっと皆さんの気をもませたくて思わせぶりな記述をいたしました。

編集長曰くの、画像伝言板における「リワキーノのおとぼけ」の真相はこうだったのです。

皆さん、ホッとしました?それとも失望しました?

 

11.

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午前1時まで宴会をやった後、27日朝起きたのは午前7時。

パンと牛乳で朝食を済ませ、部屋の片づけをいたします。

 

12.

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小屋の壁に貼っている熊野修験団のポスターです。

ちょっぴり横尾忠則風のおどろおどろしさがあるでしょう?

左側の鉢巻をした行者姿がリワキーノです。

 

13.

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行仙宿行者堂です。

ここには役ノ行者と実利行者の仏像が安置され、物故した新宮山彦ぐるーぷにゆかりの行

者たちが祀られております。

 

14. 15.

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下山路

 

16.

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大峯の風景

 

17.

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昨夜、道を間違えた分岐

 

18.

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林道を走る辻田氏車(前方)、カツラさん車(後方)

運転しながらデジカメを構えるのはまずかったかな・・・

これから今日の落慶法要に参集する新宮山彦ぐるーぷの人たちと合流するため、集合場所

の白谷林道分岐まで行きます。

 

続く