6/12 2002掲載
前鬼
前鬼は、大峯修験道を開いたといわれる役ノ行者の従者の前鬼という鬼の子孫が五家に分か
れて千三百年にわたって住み続けたといわれる山里である。
山伏たちの利用する宿坊が並び建ち、大峯修験道の村として栄えたそうだが、明治時代にな
って修験道の衰退とともに急速にさびれていき、最後まで残った小仲坊の五鬼助義价氏の
死去により昭和59年から住む人もいなくなっている。
[前鬼の五家とは、役の行者の弟子義覚、義賢の夫婦の間に生まれた五人の子の子孫がそれ
ぞれ五鬼上・五鬼継・五鬼助・五鬼熊・五鬼童と名のって千二百年にわたって前鬼に住み続
けてきた五つの家のことで、「大峯山脈とその渓谷」(昭和八年刊)によると、明治以降も
残った五鬼助(六十代)と五鬼継(五十九代)のようにその血統が全然切れずに続いている
のは我が国の民間ではこの二家だけだそうである。
また同書に、前鬼五家は極端に血統を重んじて代々この五家の間で血族結婚を行なっ
てきて絶対に他と交わることがなかったと記されているが、千年以上もそんな血の濃
い血族結婚を続けてきてまともな血統が続くものだろうかといった疑念も感じる。
1小仲坊
2.小仲坊内部
3五鬼熊屋敷跡
4五鬼継屋敷跡
5五鬼上屋敷跡
6五鬼童屋敷跡