3/15 2002掲載
by 森脇久雄
六甲山西部縦走
3月9日の土曜日、あまりにも良いお天気だったので、一日家の中で確定申告の作業
をしている私に家内が言います。
「明日も快晴だって。ねえ、登山に行こうよ」
このところ山から遠ざかっていて気分がムズムズしていた私は家内の誘いに
「ええい!確定申告ぐらい何とかなるさ、行っちゃえ!」
ということになり、来月に奥駈を控えていることから訓練も兼ねて西六甲の縦走に行
くことに決めました。
10日は朝5時半起床、朝食もとらずに20分後には家内と二人して家を出ます。
香里園駅前のコンビニで弁当・おやつ・飲み物類を求め、6時16分の急行に乗りま
す。
後はインターネット検索で調べたとおりの乗り換え順路に従って行けば8時ころには
西六甲縦走路の登山口駅に着くはずです。
京橋でJRに乗り換え、梅田で阪急神戸線の特急に乗り込んで席に座ったと思ったら
家内はすぐさま眠りにつき、熟睡モード。
電車が三宮を過ぎ終点新開地駅に着いたのは午前7時25分。
ここから神戸電鉄の有馬温泉行き電車を17分待つ間に構内の立ち食い蕎麦屋で月見
蕎麦と稲荷寿司を注文して朝食代わりといたします。
手打ち庵さんや編集長の手になるものと比べるのもおろかな蕎麦ですが、薄味だった
のでそこそこ抵抗無く食べられました。
写真1
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電車はガラすきもいいところで一車両に平均2人ぐらいしか乗っていません。
山間部を登り気味に上がって行き、義経の鵯越で有名な鵯越駅を過ぎたら無人駅菊水
山駅に到着。
菊水山は六甲山系の中で一番西端に位置する名のついたピークです。
写真2
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鉄道横の人家も何も無い川沿いの道に沿っていくとやがて登山路となります。
ここから菊水山までの直登は結構急坂の連続で楽ではありません。雲一つ無い快晴の
なかの日当たりの良い斜面の登りですからたちまち汗が出てきます。
写真3
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40分の登りの後、菊水山(450m)頂上へ。
東の方角に鍋蓋山(手前)、摩耶山(向こう側)の縦走路の山々が見えます。
一応、摩耶山までは行く予定です。
写真4
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頂上を後にして尾根をゆるく下っていくとすぐに左手に住宅街が展開します。
六甲山系の奥に広がる神戸市北区鈴蘭台の広大なニュータウンの南端になります。
写真5
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正面には鍋蓋山があり、その右側は深く谷に落ち込んでいて左側の住宅街とは好対照
をなしています。2軒の大きな邸宅は急峻な崖っぷちに建っており、真ん中に突き出
ている岩場はかなり下の方からせりあがってきております。
写真6
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菊水山と鍋蓋山の間は谷で深く断ち切られており、急坂をどんどん下りていってやが
て住宅地を仰ぎ見るような低いところまで降ります。
写真7、8
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降りきったところで鉄の吊り橋を渡ります。
下は国道428(有馬街道)が走ってます。
写真9
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鍋蓋山の登りは最初、暗い樹林の中のジグザグ登りですが、やがて岩場もある明るい
尾根道となります。
写真10
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菊水山を振り返って見ると、右側の鈴蘭台住宅地がいかに高いところにあるかが判り
ます。
写真11、12
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鍋蓋山の急坂を登りきるとしばらく緩やかな尾根道が続き頂上に着きますがピークと
いう感じではありません。人っ子一人無く、六甲山東部に比べると登山客の少ないこ
と、まるで大峯のような静寂さであり、雰囲気です。
写真13
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鍋蓋山の緩やかな尾根を歩いて100mほど下ると大竜寺というお寺に到着します。
近くまでドライブウエイが来ているので登山者以外の参拝客も結構いてここはにぎわ
っておりました。
写真14
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水子供養の地蔵群です。
写真15
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毎日登山壱萬回塔です。
どこからどこまで登っての記録なのか、1万回とは何を意味するのか不明です。
一人でやったら274年もかかるのを塔に名が刻み込まれている33人が同時に始め
て8年ちょっとで達成したということの記念なのでしょうか。
写真16
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山門のところで西六甲ドライブウエイに接します。
このドライブウエイは六甲山尾根を走って東六甲ドライブウエイに繋がり、西宮市や
宝塚市まで延びてます。六甲山登山の尾根歩きのときにしばしば遭遇する道路で、私
はこれが嫌さに長い年月、六甲山に寄り付かなかったのです。
写真17
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舗装道路歩きでは下から登ってくる阪急交通社が募集した団体登山の群れとすれ違い、
その人数の多さに圧倒されました。
途切れることなく次から次へと登って来、20分ほど降りた市ヶ原の手洗い所のとこ
ろでもまだ後続が絶えなかったのです。交通社の人に尋ねたところ500人の人数だと
のこと。
写真18、19
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市ヶ原の休憩地です。広い流れがあり、簡易な飲食店ときれいなトイレがあります。
ここで昼食を取りますが、用意してきた缶ビールは肌寒かったことと、あまり汗をか
かなかったので飲みませんでした。
写真20、21
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11時35分、市ヶ原を出発して摩耶山に向けて出発。
多くの登山者は布引谷沿いに登っていくようで摩耶山方面の急登の道は人が少なく、
すぐに静寂のなかに浸ることができました。
写真22
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隣の尾根に布引ハーブ園の洋館が見えます。六甲山ではこんな建物を山中のあちこち
で見かけます。
写真23、24
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なだらかな尾根を軽くアップダウンしながら徐々に摩耶山に近づいていきます。
写真25
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後ろの無名ピークを乗り越えて岩場を上がるともう摩耶山(698m)の広い頂上の端
っこです。
巨大なアンテナや鉄塔が建ち並ぶ中の広い道を歩くこと数分にして山頂展望台広場に
到着。
写真26
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さすがにここからの展望は素晴らしかったです。下界は東灘区の市街地です。
写真27
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六甲山東部の方角です。遠くの山腹に点在する白いものはみな建物です。
ここ摩耶山山頂からロープウエイとケーブルを乗り継いで下に降りられるのですが、
二人だと\2.500もかかるのでケチって徒歩で下山することにしました。何しろ奥駈修
行の訓練も兼ねている山行なのですから。
写真28
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展望台広場から縦走路は「オテル・ド・摩耶」の前を通って延びていきます。
以前は国民宿舎摩耶ロッジとして親しまれていた施設ですが、震災以降閉鎖していた
のが昨年夏に「オテル・ド・摩耶」として新装開店しました。
季節によっても値段は違うようですが、一泊二食付で¥10.000〜¥12.000とお手ごろ。
結婚記念日なんかに車でやってきて昼は尾根上の散策、夜はディナーで神戸の夜景を
楽しむというのもいいかな、とふと思いました。
写真29
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摩耶山天上寺
7世紀に開山されたそうで弘法大師が釈尊の母、摩耶婦人を祭ったことから摩耶山の
名がついたとのこと。
写真30
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インドから贈られた摩耶婦人菩薩像(インタ−ネットで入手した画像)
写真31
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六甲牧場の神戸チーズ館です。これを写真に撮っているとき地図をドライブウエイ下
の斜面に落としてしまいました。
幸い降りられるところがあり、斜面もそう傾斜がきつくなかったので無事回収するこ
とができ、Vサイン。
写真32
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杣谷峠からドライブウエイを離れ、長峰山尾根を伝って下山していきます。
写真33
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長峰山尾根は最初のうち、アップダウンの連続で一向に高度が下がらず、これは先の
方でかなり急激な下りになるのではないか、と下りが苦手な家内のことが心配になっ
てきたのですが、しっかりした登山路が続いてくれたおかげで家内もあまり困ること
なく市街地に降り立つことができました。
写真34
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娘の母校である神戸松蔭女子学院のそばを通って阪急六甲駅に着いたのは午後の4時
でした。
7時間半の歩行はさすがに疲れましたが、家内と久しぶりに長距離歩いた満足感は格
別のものがありました。
阪急六甲駅の喫茶店で飲んだコーヒーの美味しかったこと。