7/25 2002掲載
大峯・御手洗峡谷
by リワキーノ
編集長の湯布院レポを家内と一緒に見て、23日は仕事も無いし、我々もどこかに避
暑に行こうか、という話になりました。
そういう話になると我々がすぐ思い浮かべるのは大峯。
日帰りで無理なく行けるところとなると大峯北部。
家内が足のじん帯を痛めているので登山ができず、川沿いを散策しようと選んだ場
所は、弥山川に注ぎ込む支流の谷、御手洗峡でした。
家を出たのが9時半、ひどい渋滞は無かったですが、土日と比べるとやはり時間は
かかります。
博多、湯布院間は高速道路のおかげで今や90分で行けるところとなったそうですが
、大峯はきっちり3時間かかってしまいました。
大峯山中の山奥深くにある奈良県天川村川合に着き、ここから弥山川沿いの細い
道を走らせます。
弥山川は十津川(下流では熊野川)の源流です。
走ること10分にして御手洗峡の入り口に着きます。
車道からいきなりこの滑(なめ)滝の岩盤の上に降りれます。
沢登りをする登山家たちだったら地下足袋にワラジを履いてこのままこの沢を水に
浸かったり、岩場をへつったりして遡行していくのですが、
我々普通の観光客は橋や階段を利用して谷をさかのぼっていくのです。
この橋も以前は吊り橋だったのですが、このように吊り橋でも無い、アーチを組んで
いるわけでも無い奇妙な橋となっており、わずかな湾曲しかしていないこの橋がどう
してこの長さに渡って一本もの支えも無いのに持ちこたえているのか理解できず、
渡るのに気味悪さを感じました。
橋から下を見るとこのような険しい谷となっています。
大峯は標高で言えばたいした山系ではないのですが、深く険しく刻み込まれた峡谷
が多くあることで全国的に有名であり、多くの熟練した沢登りの猛者が大峯のハイ
グレードの谷に挑戦しにやってきます。
二つ目の橋を渡った家内が滑岩の上に降りていきます。左端のところでは、若いカ
ップルが寝転がっていちゃついておりました。私の個人的見解を言わせてもらえば
、このカップルのとり続けた姿態は大峯のこの風景にはマッチしていないように思い
ました。
二つ目の橋(吊り橋)から下を覗き込むといかにも涼しげな光景ですが、意外とこの
日の天川村は蒸し暑かったです。
家内はさらに上へ登って行きます。
帰りの下りが大丈夫かな、と私は多少不安に感じ出します。
階段から見る上流はこのように大岩が積み重なって谷を埋めております。
振り返ると今登ってきた谷が上から俯瞰されます。いちゃついているカップルの姿
は相変わらず私の趣味には合いませんでしたが、この谷の規模を表すのにちょうど
よい比較物のようであり、ま、いいか、と思いました。
輝くような陽光を浴びればこの水面ももっと鮮やかなエメラルド色に写ったことでしょう。
御手洗峡は大峯の典型的な峡谷の姿を登山もせずに見られる、という貴重なスポ
ットです。
秋の紅葉時には混雑しますので、土日は避けた方が良いです。
(道路は狭く、離合不可能なところが多いので曲がったカーブをバックするのに慣れ
ていない初心者マークの人は近づかない方がいいです)
御手洗峡から天川川合に引き返し、そこからさらに高いところ(標高820メートル)に
ある洞川(どろがわ)に向いました。
洞川は大峯の女人禁制の山・山上ヶ岳に最も近い登山口となる村で、役ノ行者の
弟子の後鬼が住み着いたという伝説があり、前鬼と同じく1300年の歴史を持つと言
われております。
古い時代から山上詣での行者たちがここに泊まり、ここから山上の蔵王堂に、ある
いは奥駈の修行にと出発していった代表的な修験道メッカの門前町なのです。
2キロにわたってこのような町並みが続き、一種独特の雰囲気があります。
遊郭のような構えの建物も多くあり、昔は修行を終えて下山した行者たちが精進落
とし、と称してこの洞川の宿で商売女を買ったのだよ、と家内に説明したら、それで
解った、何か異様な雰囲気を感じる町並みだなぁ、と思った、と家内は感想を述べ
ました。
「しかし、そんな精進落としをして何のための修行なの?」と家内はつぶやきもしました。
それに対して私はノーコメント。
昔遊郭だったに違いない宿屋に林間学校で来ている小学生たちがたむろしている
のを見ると何とも言えぬ奇妙な思いを抱かされます。
洞川を発って大阪に戻る途中、大峯山中の国道沿いにある丹生川上神社に寄って
みました。
いつもたたずまいが素敵な神社だな、と思いながらも寄らずに通過していた神社だ
ったのですが、神社に深い関心を寄せ、多くの神社を訪れているM.リエさんが素
晴らしい神社だった、強い霊感を受けた、と大変印象深く語っていたのに興味を抱
き、寄ったのでした。
神社の由来書を見ると白鳳4年(676年)に天武天皇によって建立となっており、そ
のとおりだったら相当古い神社であると言えるでしょう。
本殿前の庭から社務所の方向を見ます。
本殿です。
屋根の後ろに奥殿に続く回廊が写っているのが見えるでしょう。
横から見た回廊です。こういう様式は珍しいのではないでしょうか。
神木のケヤキです。
神社の職員が珍しい木なのです、と教えてくれた多羅葉の木。
帰宅して図鑑で調べたらモチノキ科の樹木で別名モンツキシバとか。
庭や寺院に多く植えられる、と記されているのでそんなに珍しくも無いのかも知れません。
ここを出てからは後はどこにも寄らず、一路寝屋川へ。
帰宅したのは午後7時過ぎでした。
往復6時間のドライブ、期待していたよりずっと暑かった避暑でしたが、疲れも感じ
ず、充実した一日だったように感じました。
しかし、いつかは私たちも由布院に行ってみたく思ってます。