6/27 2003掲載


第2部 「キャメロットとは?アーサー王物語とは?」 By リワキーノ

 

多くの人たちが入れ替わり立ち代り訪れて小春パパ&ママご夫妻のもてなしを受ける小春

庵はまるでHPの迎賓館みたいだな、とかねがね思っておりましたが、それをホームページ

とセットにして‘キャメロット’のようだ、とたとえた姉の言葉に、如何にも!と私は膝を打ちた

くなりました。

キャメロットという語をご存知ないかたも多くいるかも知れず、私は画像だけでなく、アーサ

ー王物語についての大雑把な説明も付記したいと思います。

 

アーサー王物語はドイツの「ニーベルンゲンの歌」(ワーグナーの超大作楽劇「ニーベルン

グの指輪」の原型となる叙事詩)、フランスの「ローランの歌」(シャルルマニュー伝説)と並

び称されるヨーロッパ三大伝説の一つです。

舞台は5世紀のブリテン(現イギリス)。大陸からアングル人、サクソン人などのいわゆるゲ

ルマン系民族が大量に侵入してきてブリテンを蹂躙する中、ブリテン人(ケルト系)の王とし

て彼らを追い出し、ブリテンの地を安定と繁栄に導いたといわれる伝説上の王とその配下

の騎士たちの物語です。欧米では「アーサー王と円卓の騎士たち」というタイトルで知られ

ています。

 

キャメロットはその王国の都の名なのですが、姉や私などのアーサー王物語ファンは王と

円卓の騎士たちが集う華やかでファンタジーに溢れた宮廷のことをイメージすることが多い

ようです。

名誉と信義と勇武を重んじる騎士たちと洗練された優雅なる貴婦人たちの集まるキャメロッ

トでの宴会では、いつも集う人たちの冒険談や不思議な体験談が語られ、それ無くしては

宴会は始められなかったのです。

その様々なエピソードがこのアーサー王物語の骨子となっております。

 

アーサー王の持つ宝剣エクスカリバーの名は映画のタイトルにもなりましたからご存知の

方も多いと思いますし、ワーグナーの楽劇で有名な「トリスタンとイゾルデ」の悲恋の物語

や「パルジファル」の聖杯探求の物語もアーサー王伝説に由来しします。

欧米の文芸作品ではこのアーサー王伝説のエピソードを踏まえた上での機知とウエットに

富んだ会話がなされる場面をよく見かけます。

色々なサイトがありますが初めての人にお勧めの簡潔に説明しているものが無く、下記の

が無難かな、というところです。

http://www.asahi-net.or.jp/~NW6E-MTMR/arthur/arthur.htm

 

‘わが心のキャメロット’とは、我が姉のこのHPと小春庵へ寄せる思いと願いが推察される

ような言葉です。

物語のキャメロットは地上から姿を消してしまいますが、この現実の‘我らのキャメロット’は

いつまでも存在し、盛んであることを願ってやみません。私たち姉弟の切なる願いです。

 

「アーサー王物語の情景」

 

以下に紹介する画像はほとんどが海外のサイトから集めたものです。

これからこの物語を読まれる方々のために、ストーリーの結果が判るような説明は避け、思

わせぶりなコメントのみにさせてもらいました。

 

1

ティンタジェルの城から不義の子アーサーを秘密裏にアヴァロンの妖精の国に連れ去る良き

魔法使いマーりン。

私は少年時代からずっとこのティンタジェルの名は覚えておりました。

コッツウオルズさんから教えてもらったサイトで荒涼としたこの城の写真を見つけたときは感

動したなぁ・・・

 

2

石に刺さる刀を抜いたものがブリテンの王となるという天啓に見事応える少年のアーサー

 

3、4

湖の妖精姫から宝剣エクスカリバーを授かるアーサー王

 

5

アーサー王と王妃グゥイネヴィア

アーサー王物語の中で最も人気の高い女性です。

 

6

湖の妖精を溺愛してしまう良き魔法使いマーリン。

マーリンといったらモーゼかペテロみたいに厳格で生真面目な賢人なのです。

思慮深く、典型的な賢人のこの長老が小娘に夢中になって失敗をしでかすのですからこの伝

説の奥深さを感じさせられます。

 

7

行きがかり上、女性を斬殺しなければならなくなった悲運の騎士バリン

世の中には何をやってもうまく行かない不運な人がいますが、このバリンほど不運な人間も

いないでしょう。

 

8

バリンとバラン兄弟の悲劇的死

「あなたは何故ご自分の盾を使われなかったのですか!それだったらあなたと判ったでしょう

に!ああ、何という悲運なお方!」と叫ぶ貴婦人。

 

9

王を救うために醜女のラグネル姫を娶るガウェイン卿。卿の高潔な行いはやがて奇跡を・・・

 

「ガウェイン卿は姫に近づきました。顔は青ざめ、目は苦悩でくもっていました。しかし、ガウェ

イン卿は姫の目の奥にひそむ、深い苦悩を見てとりました。そして、ガウェイン卿が身をかが

めて、姫の唇に口づけすると、胸が悪くなるような姫の顔のみにくさが、うすらいで、それほど

ひどくなくなりました」

 

30数年前に読んだこの物語(岩波少年文庫)を今回再読して改めて感動しました。ガウェイン

卿にまつわる物語は信義を重んじ、名誉を重んじるものが多く、我々男性の心を強く打ちます。

 

10

馬上試合に出場していく湖の騎士ラーンスロットに出会うなり一目ぼれしたシャーロットのエレ

イン姫は自分の赤い袖を身につけていくことを願い、それをラーンスロットは受け入れます。

 

11

馬上試合

 

12、13

ラーンスロット卿に恋焦がれながらも報われず、死んだ後に舟でキャメロットに流されていくエ

レイン姫。

近代の絵画や詩でもっとも人気のあるアーサー王伝説の中の題材だそうです。

赤毛のアンがこの真似をして危うく溺れ死ぬところだったのは同小説や映画を見た人はご存

知ですね?

 

14

叔父マルク王のためにアイルランドの美貌の王女イゾルデを妃としてもらいに行く使者となった

トリスタンは、イゾルデとは最初は仲のよい友達同士の間柄でした。

 

15

ところがコンウオールへの航海中、イゾルデの母であるアイルランド王妃がイゾルデとマルク王

のために作った愛の媚薬が入ったワインを誤って二人は飲んでしまい・・・

 

16

二人は深い恋に陥ってしまったのです。

あまりにも有名なトリスタンとイゾルデの悲恋の物語です。

 

17

キャメロット宮廷の円卓に、騎士たちの中の第一人者のものとして空席になっていた席に年若

い騎士が老人に導かれて行きました。

ラーンスロット卿とエレイン姫(シャーロットのエレインとは別人)の間に生まれた聖杯の騎士

ガラハッドです。

 

18、
19、20

幻の乙女たちに導かれ、選ばれし純潔の騎士ガラハッドはついに聖杯にめぐり合うことができ、

その聖杯から聖なる酒(キリストの血)を飲むことを果たすのです。ガラハッドはこの直後昇天

します。

しかし、完全無欠の騎士と言われたこのガラハッド卿、物語の中では全然存在感が感じられ

ません。完全無欠は面白くない・・・

 

21、22

聖杯の騎士と言われる騎士は他に二人います。

その1人、パルジファル。ワーグナーの楽劇「パルジファル」で有名です。

この人は完全無欠ではなく、愚直なくらい純朴なのと純情なのが多くの人の失笑と冷笑を買っ

たりします。我々東洋人だったら愛さずにはおれないけれど・・・

ガウェイン卿とラグネル姫の間にできた子だと言われております。

21はベル・エポック時代の写真みたいな雰囲気ですね。22はヘビメタみたい。

 

23

ガラハッドの父親のラーンスロット卿はただ一点を除けば息子に劣るところの無い最良の騎

士だったのですが、唯一の欠点がとにかく女性にもててもてて仕方無かったこと。王妃グゥ

イネヴィアとの許されざる恋に陥ったのがこの騎士が聖杯にめぐり合うことができなかった要

因でした。

だから面白く、特にフランス人に人気があります。元々フランス・ブルターニュの出身です。

 

24

毒殺の濡れ衣を着せられる王妃グウィネヴィア。王妃を失脚させようという陰謀が渦巻きます。

 

25

王妃を告訴する者と王妃を弁護する者との一騎打ちが行われることになりました。

フランスに行っていて不在のラーンスロット卿の代わりにボールス卿に代戦士になってくれる

よう懇願するグウィネヴィア

ボールス卿も聖杯の騎士の1人です。

 

26、27

王への裏切りを断じられて火炙りの刑になろうとしている王妃グウィネヴィアを救出するラーン

スロット卿。

 

28

邪悪な甥モルドレッドの謀反でアーサー王最後の戦いが起こり、モルドレッドと相討ちとなって

アーサー王は倒れます。

 

29、30

瀕死の王の命令で宝剣エクスカリバーを湖に返しに行く家来

 

31、32、
33

湖の妖精姫、アヴァロン島の姫、そしてアーサー王にことごとく歯向かった姉の妖女モルガー

ナ王妃の3人が死んでいくアーサー王を引き取り、アヴァロンの島へと連れ去っていきます。

このモルガーナ王妃は妖妃とも言われ複雑なキャラクターです。 

 

34

アーサー王の墓の側で後悔にくれる王妃グウィネヴィアとラーンスロット。

王妃は尼となり修道院に入ってしまいます。墓のそばで再会したラーンスロット卿も世捨て人

となり、後にグウィネヴィアが死んだのを聞くと一緒に修道士となったボールス卿と共に修道

院に行ってグウィネヴィアを埋葬し、それから二週間後に後を追うようにして病死します。

 

こうしてブリテン人の王国は瓦解し、アングロ人やサクソン人たちの非ケルト系民族がブリテン

の地を支配するようになっていくのです。

ケルト系の血を引く人が多いと言われるウエールズではアーサー王に寄せる敬慕は大変熱い

ものがあるようです。

このあたりのことはコッツウオルズ君だったらよくご存知なのではありませんか。

TopPage