now(2000)              &           then(1966)

和尚の料理講座
このホ−ムペ−ジ、禅語やら小話やら何かと蘊蓄を傾けるのが流行りのようで、、、。
黙って読んでるばかりではむっつり×××の謗りを被りかねない。
まぁ、×××なのは否めませんがネ、、、。
実は、お経読むより包丁握っている方が好きなんですよ、私。
で、いっちょうお料理の噺でも、、、と。

と云うことで、勝手に始めた料理講座。たまにはこんな事やっています

12/18 2001

料理講座、随分ご無沙汰しましたが、今回は、中華風白菜鍋、その名もピェンロー。

5/15 2001

花 ヴァリエーション2種

 紫蘭 「鉢植えの紫蘭の花〜♪」ってのがありましたネェ 

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白の紫蘭{白花紫蘭} いずれにしても自己矛盾な名前

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すいかずら{忍冬}白い花が咲いて、黄色になるのがオリジナル

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黄花すいかずら  こちらは、初めから濃い黄色

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おまけに、柚子の花。これも果実が小さい変種です。

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4/4 2001

<森田君を囲んで>はここからenter

11/16 2000

あんまり個人的に過ぎるかとも思いますが、、、。

九重小旅行の皆さん、存分にたのしまれたようでうらめしい、いやうらやましい、、。
居残り組としましては、負けてはならじというわけでもありませんが、
たまたま買出しに出かけて見つけた大肉塊で残念バーベキューを楽しみました。

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輸入の冷凍物ではありますが、このショートリブのブロックが¥3000ですから良い買い物。
これに塩をすり込みの香辛料擦込みのでしばらくなじませてから炭火にかけます。

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安い肉でも炭火で焼くとなぜか美味しくなるのです。

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焼き上がる頃には2割方縮むのです。

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どうです!美味そうでしょう?!

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まあ、物が冷凍物だけにもう一度焙って食べましたが、
下手なタレはなくても塩味だけで楽しめました。

7/17 2000

ご無沙汰しました、料理講座第八段です。
今回は、「うぐいす豆腐」
早く言えば、胡麻豆腐の枝豆版です。
檀家の方から枝豆を沢山いただいたので、思い立ってみました。
塩茹でビールのつまみがほとんど、他には炒め物や和え物のいろどり位、
というのが枝豆の普通の利用法だと思いますが、少し手を加えると目先が変わって、
趣のある一品になります。

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ながし固める容器の大きさで量がかわりますので、
参考までに、我が家のやつは15×13.5×4.5センチ。
一般的なステンレスの卵豆腐器という物で、液体が5カップ入ります。
これで、9人分くらいが目安。
必要量は、上記の容器で作る場合です。
枝豆が剥いた状態で1カップ。葛が半カップ強。水が5カップ弱。

枝豆は、剥いて薄皮もとります。ビールのつまみの残りでもよろしいのですが、
充分柔らかい方がよいので、固めだったら、レンジでチンします。
これを、すり鉢で丹念につぶします。少し水をさすと擂り潰しやすいのですが、
この分も全体の水の量の一部分と考えて下さい。
つまり、この時半カップの水をさしたら、後で4カップ半の水で溶くと言うこと。
なめらかになったら、葛と水をあわせて溶きます。
口当たりが気になるなら、裏ごししますが、家庭の惣菜ならしなくてかまわない。

これまでの工程が大変と云えば大変なのだけど、フードプロセッサかミキサーを
つかえば、楽に手早くできます。豆と少しの水で荒つぶししておき、
あと半分位の水と葛を入れてスムーズになるまで廻します。
これが、5分もあれば出来るのだから、楽なもの。使わない手はないです。

全体が入る片手鍋と、その鍋より大きな鍋をもう一つ用意します。
焦げ付きやすいので、湯煎にしようと云うわけです。
小さいほうは片手鍋でなくてもよいのですが、熱くて持ちにくいのです。

片手鍋を入れてもあふれない程度の湯を大鍋に沸かします。
沸騰したら、やや火勢をひかえて片手鍋を入れます。
あらかじめ、片手鍋も弱火で暖めておくと早く料理できます。
湯煎しながら、しゃもじかへらでかき混ぜます。
気長にかき混ぜていると、鍋底や鍋肌にやや透明感のあるものがへばりついてきます。
これをこさぎ落とす感じでまだ混ぜます。
全体が透明感をましてのり状になったら、火から下ろしてさらに混ぜます。
全体が均一になったら用意の容器にながしいれます。
荒熱がとれたら、冷蔵庫へ移して固めますが、
その前に、表面に少し水を張るかラップを密着します。
こうすると堅い被膜ができないのです。

1時間もすれば、爽やかなうす緑のうぐいす豆腐の出来上がりです。
濡らした包丁で切り分けて皿にとり、山葵か生姜を溶いた醤油で食しますと、
ほんのりと豆の香りと甘さが口中に広がるのであります。

「何とか豆腐」という、葛で固めた食べ物色々ありますが、
すり鉢でやると手間でしたが、このように器械を使えば、簡単です。
水、葛、食材の比率さえ間違えなければ、失敗はないでしょう。
胡麻豆腐の場合で、水10,胡麻1,葛1と憶えておきます。
案外アバウトでも大丈夫で、今回は枝豆で胡麻のようなコクがないので、
倍量にしておきました。
あとは丹念に気長にかき混ぜるのがこつ。

第七段 筍料理の巻
5/6 2000

 筍料理です。言わせていただけば、素材の善し悪しがもろに出るの、
その最たるものがこの筍だろうと思います。
よいよい会の皆様に御披露するのは、京都は「物集女」の産。
関西の方なら御存知だろうが、小倉の合馬に勝るとも劣らない筍の名産地。
私めの京都時代の、ま言わばパトロンみたいな方が毎年送って下さるのです。
エグ味が少なく、柔らかく、香りがよい、と三拍子そろった逸品です。
 
 泥を洗い落とし、頭を斜めに切り落とし、身に傷がつかぬようそっと縦に切り目を入れ、
大鍋にたっぷりの水と糠をはり、沸騰したら中火にして3〜40分。
アクがきついのは唐辛子を入れたりしますが、ここのは無くても大丈夫。
火を落としてそのまま醒まします。これが、我が家の定法。

 さて、いよいよ料理にかかりますが、
今回は昨二日の柴田お姉さん誕生の夕べに供した品のレシピを。
先ず、一番底の部分の堅いところを使って筍ご飯希至子風(うちの奥方です)
 
 筍は、厚さ1ミリ程度に刻みます。大きさは10ミリ×20ミリ位、
さほど気にする必要はないけども、大きすぎればもそもそするし、
おにぎりにすると筍だけがはがれやすいので注意。
5合のご飯に2カップ位の刻んだ筍を、だしやら醤油やら酒やら味醂やらで煮ておきます。
後で述べるように別の味もつきますから、やや薄味で煮汁も残しておきます。
5センチ幅の出し昆布を2枚ばかりいれて飯をたき、厚いうちにさっきの筍と、
それからこれがこのご飯のポイントですが、「山椒ちりめん」を混ぜるのです。
いわゆるちりめんじゃこの佃煮ですが、我が家の定番は京都「しののめ」のそれ。
京都植物園の北側、北山通りを西へ、賀茂川を渡って歩いて五分位。間口一間の
小さな店ですが、知る人ぞ知る店で此処のを食べたら、もう駄目。他のは食べられません。
京都で近くに行ったら寄る価値はあります。(075−491−9359)
今回は握り飯にしたので、小さくちぎった木の芽を飾ってみました。
 
 その上の少し歯ごたえのある、下半分で
つけ焼き
 普通煮物にする部分です。下の方で一節、上の方で一節半位の厚みで輪切りにして、
あとはお好みの大きさに切り分けます。
ま、四つ割りが妥当なところ。ダイナミックに丸のままも面白いかも、、。
漬け汁は、濃い口醤油2、酒1、味醂1程度。甘くも辛くもお好みに。
筍自体があまり味を吸わないものだけに30分位漬けておいてから、
うっすら焦げ目がつく位に焼きます。これにも木の芽を添えて供します。
口に入れるとまず鮮烈な木の芽の香りとつけ汁の味が、噛むと香りたっぷりな筍の
おつゆがほとばしる、てな具合になると上出来でしょう。
今回は、時間があったので、出汁も加えて少し煮てみましたが、
その分香りがとんだようで、いらぬことをしたと反省。
 柔らかい上半身で、
筍サラダ希至子スペッシャル(作者を表示しておかんと後が怖いデス)
 若竹煮にしたりする柔らかいところを、縦半分に切り2ミリ程度にスライスして
両手に1盛りと半分。サラダ菜を2玉。近年はやりのハーブのレモンバーム、
爽やかなくせのない香りで料理をひきたてますから、少々多くてもかまいません。
彩りに今回はラディッシュのスライスを使いました。
お好みで、この頃よく目にするカラフルなピーマンを使うのも手ではありますが、
独特なにおいが好き好きですので、、、、。
生のホタテの貝柱(今回は12個位使いました、やや贅沢)1個を4〜5枚にスライスして、
市販のフレンチドレッシングにオレンジを絞った液ででマリネ。
スモークサーモンはスライスしたものを買ってきてそのまま飾ったほうが見栄えがするようです。
ドレッシングは先にも言った市販のもの1本に、オレンジを2個位絞り込み、
かくし味程度にワサビを混ぜました。これも市販のチューブ入りで充分です。
水洗いして適当にちぎりよく水切りをしたサラダ菜の半分を器に敷き詰め
(器は我が家の場合、湯布院で見つけてきた白木の盆を愛用しております、これちょっと自慢)、
他のそれぞれも半量を散らし、またサラダ菜をかぶせて、残りの食材も見た目よく飾ります。
大きな冷蔵庫があればラップをして冷たくしておいてからテーブルへ持ち出したほうがより美味しいです。
 最後に皮の柔らかいところ、姫皮で
・姫皮と海老の雲丹和え
 てっぺんの周りの柔らかい内皮。くずれやすいでのそっと扱います。
幅1センチ弱長さ3センチ程度、長いほうを天地においたら縦に縞が入るように切りました。
海老はボイルしたものを買ってきて、用心も兼ねて臭み抜きに酒を振ってしばらくおいた後
熱湯にくぐらせて1尾を4つ位にそぎ切りにしておきます。
和えごろもは、冷蔵庫ひっかきまわして有り合わせ、奥方のアドバイスも容れ、
瓶詰めの雲丹、マヨネーズ、キューピーのクリームソース、かくし味にピエトロの辛味ソース。
これらを適当な塩梅に練り混ぜてでっちあげ。
和え物は、食べる直前に和えて供するのがポイントです。
ま、残り物利用の割には好評で結構でした。

 以上、九州辺りではもう旬をすぎた筍ですが、関東辺りでは今からでしょう。
定番の、若竹煮、直かつお等に飽いたらためしてみて下さい。

第六段は (2000年4月)

平成12年4月15,16日 九重長者原進藤商店保養地
参加者 大津、柴田由紀子、進藤静生、渡辺章

夕食
・分葱と紋甲烏賊の酢味噌和え
・シザースサラダ
 サラダ菜2,ホワイトマッシュルーム1パック(6個)、ラディッシュ5個、
 オイルサーディン1缶、半熟卵1、レモン汁半個分、オリーブオイル適量
 ニンニク1片分をすりおろし
 サラダ菜は水洗いしてしっかり水気を取ります。
マッシュルームは、常識ですが、薄切りにして暫くレモン汁を絞り込んだ
水に漬けておくのは、酸化して黒くなるのを防ぐため。
かざりにラディッシュを散らしましたが、本当はレモンバームが欲しかったのです。
このサラダはあまりゴテゴテと具沢山にせずにシンプルなのが身上。
ソースの方は、半熟よりやや固め、黄身の外側が固まった程度の卵、
おろしニンニク、それにオイルサーディンを混ぜつぶします。
我が家では、これを手っ取り早く既製のレモン風味のドレッシングでのばして
おりますが、これも入手できずレモン汁とオリーブオイルで心ならずも本格的
に仕上げました。と言ってもサーディンを使ったのがそもそも便法で、
本来はアンチョビでするものです。あれは刻むのが手間だし、塩味がきついので、
代用のこのレシピを案出した我が奥方に感謝、感謝。
ともあれ、シンプルながらもコクとうま味があります。お試しあれ。

イワシの刺し身
 進藤君の提唱で、細ネギを添え焼海苔で巻いて、生姜醤油で。
・ささ身と伏見とうがらしの胡麻ドレッシングかけ
 ささ身は4片、伏見とうがらしは、所謂京野菜で小指位の太さで15センチ程の
細長く、柔らかく辛味のないもので煮ても焼いてもいけるやつです。1袋6本ほど
を使いました。先ず、ささ身。筋を取り、軽く塩を振って、酒をふりかけ5分ほどして
からラップをして電子レンジでチンしました。本来は酒蒸しするのでしょうし、その
覚悟もしていたのですが、設備の整ったキッチンで助かりました。伏見とうがらしは、
表面の2,3割に焦げ目がつく程度に焼きます。むしりほぐしたささ身と切ったとうが
らしを小鉢に盛り分けて、これも既製の胡麻ドレッシングをかけて出しました。彩りに、
木の芽、刻みミョウガ、ぼうふうなんかを添えればもっと良かったと反省。

・筍の舟盛り焼き
 テレビでどこかの店の料理の紹介を見て真似てみました。
皮付きのまま茹でた筍を縦半分に切り、底の1節を残して身を少し残してこそげ取り
これを船形の器に見立てます。片半分の身は1口大に切って醤油味でさっと煮ておきます。
これを船形の半身にもり煮汁も少しかけてグリルの上火であぶり焼きしました。
実は、2本用意していたのでもう1つは炭火で下からやいてみましたが、身が乾いてしまい
案配よくありませんでした。これにも、木の芽を添えるか、山椒味噌でやれば良かったと反省。
世に「出会いのもの」という言葉がありますが、筍と木の芽はまさに出会いのものの好一対な
のに仕入れを忘れた我が身の不明を恥じ入ります。ま、いずれにしてもチョトお遊びの1品。
おっと、こそげた身はちゃんと翌朝の味噌汁の実にしましたので、御心配なく。

 以上で、私の領分はおしまい。この合間に、進藤君調達の見事な霜降りのステーキ肉、
 ししゃもも、さすが苦労しておこした備長炭で焼いた甲斐があって舌がとろけそうでありました。
 ビールが車中の分は別にして約4リットル、日本酒は柴田さんの御親類の「国菊」の量り
 売りの酒、純米大吟醸「銀河鉄道」の凍り酒、両方で5合位。それに章君用の「いいちこ」、でした。

最後におにぎり各1個で口の宴は果て、のどの宴に移ったのでありました。

 明くれば、好天のきざしはありながらまだ晴れやらぬ九重の連山。
前に三俣、星生、硫黄山、右に牧の戸、後ろは黒岩の大パノラマを眺めながらの朝食は、
・蕨の煮物
・うるいの胡麻和え
 「うるい」という山菜、擬宝珠の若芽と思いますが、案ずるに苦味が少ないので、
 栽培種か遠からぬ親類か、と。茎にあるヌル味が身上。
・かますのひとしお
・白菜の漬物
・筍と京油揚の味噌汁
・白ご飯

 食後のコーヒーは、インスタントで辛抱するという皆のなだめを振り切って、
進藤君がわざわざ下の町まで買いに行ってくれたことも、特筆しておかねばなりますまい。

第五段は (1999年12月)

和尚の料理講座 鯛かぶらの段

いよいよ、と云うか、やっと、と云うか
冬らしくなってきたようです。
ってことはまた美味しい季節になったってことで、
まぁ、年中美味しいこと考えてんですけどね。
冬は野菜が美味しい、のです。
就中、蕪、かぶ、かぶら、です。
修業時代、托鉢の途中で上加茂の漬物やさんから
千枚漬けにする蕪の切れ端に塩をまぶしたのを、
ビニ−ル袋にもらい、歩いて小一時間。
道場に帰ったら丁度いいなれ頃で、
荒塩に引き出された蕪の瑞々しい甘さは
今思いだしても、口中が潤う想いです。
ちなみに、千枚漬け。鉋の親分みたいなのを
裏返してスライスするんですが、知ってました?
その売り物にならない切れ端を頂戴したわけです。
小蕪の浅漬け、サラダにしても美味しい。
故池波正太郎も、
「煮崩れるほど柔らかくなったかぶの味噌汁を
熱あつの飯にかけてかきこむ旨さはどうだ」
と称賛しております。
その蕪を寒に向かって脂ののってきた鯛と
一緒に炊いた一品。不味い筈がない。

まず、新鮮な蕪。包丁をいれたらパリッと
音がするくらい新鮮で持ち重りのするのが理想。
皮を剥いて食べやすい大きさに切り面取りも。
皮や切りくずと葉っぱを一緒に刻んで塩をして
唐芥子、昆布の切れ端なんかも入れて重石を
しておくと立派な漬物になります。
切った蕪は茹でますが、煮崩れやすいので
早めにとめておきます。
鯛は、鯛チリ用の切り身。
量は、鯛1に対して蕪2から3程度。
塩をして15分程おいて熱湯をさっとかけます。
すぐ冷水にとり、血合いなど汚いのを
丁寧に掃除しておきます。鍋に両方を入れ
吸い物よりやや濃いめ、所謂寄せ鍋の出し汁を張り、
一煮立ちしたら、火をほそめコトコトと10分位。
煮過ぎると鯛がパサパサになるのでご用心。
刻んだ柚子皮をたっぷり盛って供します。
可能ならば、一人分づつ小さい土鍋でやりたい。
蓋を取ったときに湯気と一緒にたちのぼる柚子の
薫りを楽しみたいからです。

ほたほたとやわらかく鯛の旨味がしみこんだ蕪を
口をハフハフさせながらいただくのであります。
ほっこりと美味しい鯛の肉身。
山海の滋養が溶け出したお露も忘れずにどうぞ。
相方には、辛口、ぬるめの燗がおすすめ。

かぶ、でも、かぶら、でもよいのだけれど、
この時だけは、「鯛かぶら」と呼びたい。

第四段は (1999年11月)

和尚の料理講座 清楽寺の開山忌料理より

この十八日は我が清楽寺の開山忌でありました。
開山忌、つまり当山の創建者の法事ということ。
ちなみに、山ってのは寺のこと、御存知でしょうが、、。
私めが婦人会の方々を指導して、例年禅寺のもてなし料理を
作るのでありますが、その内から数品をご紹介。

まず、飛龍頭。ひりょうず、と読みます。
京都では、『ひろうす』となまりますが、所謂がんもどき。
雁の肉のように美味い、とでもいうのが由来でしょうか。
それじゃあ、飛龍の頭はどうなんじゃ、って云われても、
みたことないので、わかりません。
絵では、大抵円く禿頭で描写してるので、それに見立てたものか?
ともあれ、まず豆腐を絞ります。
木綿豆腐を布巾できっちり包み、水が出てもよいように
バット等に入れその上にまな板をのせ、
さらに何か重しをします。
豆腐は崩れてもかまいません。
この間に、具をととのえましょう。
牛蒡と人参のささがき。きくらげの細切り。
以上の三品は薄く下味をしておきます。
銀杏は二つ三つに切り、黒胡麻を少し。
麻の実があればなおよし。
量は、豆腐1丁に対して、具全部で片手に山盛り程度。
あとは、山芋。ずるずるの長芋でなく、大和芋の方。
これも豆腐1丁に対して、20センチ位かな?
山芋をおろし、絞った豆腐、具を混ぜます。
芋に弱い人は炊事用の手袋は必携です。
これを、適当な大きさに丸めますが、
このとき手を油で濡らしておくと扱いやすいです。
一寸位のボ−ルでもよし、ハンバ−グ状でもよし、
中温の油でじっくり狐色になるまで揚げて、出来上がり。
禅寺では、二寸前後の円盤状のを
濃いめの吸い物程度の汁でひと煮立ち。
戻した椎茸を煮たもの、茹でたほうれん草を添え、
柚子皮をのせ、浅くて広い『平碗』で供します。
汁も二口、三口飲める位に張ります。
蓋を取るとプンと柚子の香がひきたちます。
寒い時期は、汁を葛引きにして溶き辛子を添えて。
焼いてアツアツを生姜醤油で頂いたり、
おでんの種にもよいものです。

次は、揚げ昆布。
精進料理は、材料が淡泊なので、どうしても、
油で処理して旨さを引きだしたり、コクを増したり
することが多いのです。
ともあれ、出し昆布を揚げただけのものですが、
なかなかのものです。
お客用としては、両端の薄いところをとり、
中央部の肉厚の部分だけつかいます。
酢で表面をこすって塩抜きをします。
ついでに包丁等でガシガシとこそげておくと、
仕上がりが、虎斑になって趣きがでます。
形としては、単純な短冊、色紙形、
あるいは、切り目をたくさんいれて
ひきのばして七夕飾りのようにしたり
編んでみたりもします。
これを、パリパリに干しておきます。
湿気が残っていると、口の中でぐにゃっとして
面白くないのです。
油の温度は、やや高め。
処理した昆布を入れると、すぐに細かい泡がたって、
一呼吸おいて浮き上がり、ぐいっと広がります。
するめを焼くように反り返りますので、
ひっくり返してもう一度そらせ
ところどころに空気の膨らみがでて
焦げる寸前でとりだします。
ようく油をきってからいただきます。
パリパリかじってビ−ルのつまみによし、
小さく割って白飯にのせて茶漬けにも好適。

これまでのレシピでおきずきと思いますが、
精進料理は手間を食べるようなものなのです。
その究極のようなのを次にあげてみましょうか、、。
私共は『二の汁』と云いますが、
茶懐石で言う『箸洗い』、小吸い物ですなぁ。
まず、豆腐を賽の目に切ります。
ただし、大きくても1ミリ角。
小さければ小さい程、なお良い。
それから針生姜。お察しのとおりこれも
細く細く刻みます。長さは一寸程度。
焼き海苔も同じように繊切りに。
くどさ、とろみが出ないように
さっぱりと取った昆布出汁に、
感じるが感じないかくらいの塩味。
藍染めで言う、甕のぞきの感じで味つけ。
豆腐が小匙1くらいに、生姜、海苔をひとつまみ
お玉に一杯の出し汁が一人分。
崩れやすい豆腐を微細に刻んだ手練で眼をうならせ、
微妙なあじわいの出し汁に、焼き海苔の香が深みを増し、
最後に生姜を噛むと口内がツンと爽やかに引き締まります。

第三段は (1999年11月)

蓮餅の段

今回は蓮根の料理であります。前回の芋に続いてまた根菜なので、
ちと申し訳ないが、季節のもの故お許し下されぃ。

さて、蓮根。澱粉の多いモチモチしたのがよろしい。
此の辺りなら、糸島産より佐賀産がいいです。
糸島ものの主産地は周船寺辺りで底土が砂地なのに対して、
佐賀のはクリ−クの底がネットリした粘土だそうで、
その差の所為だそうです。

量としては、2人で1節という見当でしょうか。
皮を剥いたら生のまま擂り下ろします。
フ−ドプロセッサ−があれば簡単です。
おろしてみて水分が多いときは、ペ−パ−タオルを敷いた笊に入れて
しばらく置いておきます。
このままてもよいのだが、念の為つなぎに吉野葛を
一節につき小匙一ぱい程度混ぜましょうか。
隠し味程度に塩も混ぜておきます。
これをそのまま揚げれば、基本的には完成。
大きさは、始めてで心配なら、そう丁度チキンナゲット位でやってみましょう。
中温でじっくりと芯まで火が通り狐色になるまで。
あったかいうちに味塩など振りましていただくと
蓮根の香がありながら、もちもちとした触感で、チョイと乙です。

バリエ−ションとして、丸小餅くらいの大きさに作り、
さっと熱湯にくぐらせて油抜きし、吸い物の碗種にします。
彩りに紫蘇穂なんかを添えると、その香とあいまってこれまたグ−。
或は、砂糖、醤油、酒なんかで煮てもよし、
生地のうちに軽く味をつけておいて小さく揚げ、
酒肴や茶碗蒸しの具にもなります。

要は、蓮根バ−グなんですが、滋味とはこういうものか、てな味わいです。
私は、やったことはありませんが、
はんぺんの裏ごし、エソなどの白身魚のすり身、とりミンチなんかを
まぜてもいけるかもしれません。
むしろ、若い人にはこちらのほうが好まれるか?

第二段は (1999年10月)

小芋のとも和えの段
この時節、芋が美味しくなりました。山芋、薩摩芋、里芋。
なかでも、里芋がすきなのですョ、私は。
薄味でも、甘からい煮物でも、揚げてもよし。
おでんにこれが入ってないとチト寂しいのは、私だけかしらん?
小さいのを落ち子、或は衣(きぬ)かつぎとも云うのも
皆様ご案内のところでありましょう。

さて、今回はこの芋を和え衣にして小芋を食べようという、
小芋のとも和え、一名地獄和え。
材料の里芋は別に落ち子や小芋でなくてもよいのですが、
小さい方が一般に柔らかいようです。
量としては、普通に煮物にする場合の5割増し位。
皮を剥き、普通サイズのものなら一口大に切り、面取りして茹でます。
茹だったら、これに下味をつけます。
出し汁、酒、醤油、味醂等で、普通の煮物より少し薄味の煮汁を、
後で使うので、やや多めに調えて、芋をいれて火にかける。
沸騰したら中火にし、いくらか味がしみたら煮崩れないうちに
火を止めて鍋のままさまします。
煮物というものは、この冷めるときに味がジュワ−としみこむのですネ。
触れる位に冷めたら、半分を擂り鉢に取り出してつぶします。
隠し味程度に擂り胡麻、味噌を加え、煮汁であんばいしながら
マヨネ−ズ状態まですりのばすのです。
これに、残りの小芋をからめて出来上がり。
器に盛り、柚子皮のおろしたのをパラリと振れば、なお結構。
酒の肴にも好適な一品であります。

この一品の都度、『豆殻を以て豆を煮る』という噺を憶い出すのですが、
何に出ていたのかサッパリ思い出せない、誰か教えてくれぇ−。

芋ついでに、もう一品、今度は長芋。山芋のザクザクした奴。
ぬるぬるして面倒なら皮付のままでも良いのだけれど、
7、8ミリ厚さの輪切りにし、薄く油を引いたフライパンで
両面を色がつく程度に焼きます。
芯まで火が通らずまだザクっとした歯ごたえがあるうちに、
フライパンの長芋に生醤油をかけまわし芳しい香がついたところで、
皿に移し、揉み海苔を振りかけて出来上がり。
至極簡単ながら、これも肴にオツなものです。

呑ん兵衛坊主の余技ですから、どうしても肴風になります。
イモイモしいでしょうが、剃った頭に免じてお許しあれ。

第一段は (1999年10月)

隠元豆腐
隠元豆と同じく黄檗宗の開祖隠元禅師がお伝えになった料理
かどうかは知りまっせん。
私がいちおう修業という名の日々を送った大徳寺の道場では
そう呼んでおりました。
いかにも禅料理らしい簡素ですが懐かし味の一品です。

材料は 豆腐、醤油、食用油、葱、一味唐辛子。 これだけです。

博多では豆腐はサイコロ形ですが、京都では厚みを半分位にしてその分周りを
大きくしたような形、CDケ−スを5枚位重ねたようなと云えばお判りか?
僧堂(禅の道場)では、平釜にこれを一人一丁宛並べ入れ、ひたひたより
すこし少なめに生醤油を張り、新鮮な食用油を割合たっぷり入れます。
豆腐が油をかぶって、更にもう一息ってぇ感じですナ。
これをひたすらトロトロととろ火で炊くのであります。
決してゴトゴトさせてはいけません。スがたって堅くなっては不味いのです。
さぁ−、1時間もこうして温めておくともういいでしょう。
大きな飯杓子で崩れないようにそっと器に移します。
煮汁も適宜かけて、刻んだ白葱と一味唐辛子を薬味にします。
元来禅門では、『不許葷酒入山門』と云って葱類はだめなのですが、
麺類とこの料理の時は、葷の字は読まないことになっとるようです。
豆腐を大きいまま煮るので、表面にすこ−し醤油が染みただけですので、
生の醤油とただの油という味付けから想像するよりはサッパリしております。


以上、いたってシンプルな料理だけに素材の善し悪しがもろに出ます。
我が家ではアレンジして、豆腐は四つ切りにし、小さくなった分薄味にする為、
生醤油だけではなく酒やら出し汁やら適当に足しますが、
美味しい醤油があるのなら生醤油でやった方が良いと思います。
豆腐も少し柔らか目の方が具合がいいようです。
お判りと思いますが、植物蛋白と植物脂肪と云うヘルシ−な一品ですから、
グルメがすぎてドクタ−にストップをかけらそうなご同輩には好適?
壇家の同い年で単身赴任しているのに教えたら
気に入って良くやっているそうです。
簡単だが以外に美味しいので男の料理の一品に加えてみて下さい。

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武藤紹生(猷巌)(Muto Tsuguo(Yugan))
清楽寺
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