5/7 2003掲載
ムー和尚
頑是無い子供のように好奇心満々の魔女りんの要望に応えて
「石庭の筋付け」の様子を公開します。
しばしば「よくこんなに真直ぐに、しかも等間隔に筋が付けられますね」とか、
「石の周りの縁取りの筋は、後から付けるにしてもどうして足跡が無いんですか」等と
尋ねられます。
皆さん、先ず全体を綺麗に掃きならし、云わば白紙のカンバスの状態にしてから、
筋を付けているとおそらく想像しておられるのでしょう。
「そりゃぁ修業をつんで、無念無想の心境でやらんと曲がるのだよ」
などと煙にまいたりしておりますが、さて実態は?
雑草を取り、落ち葉を掃いてこれから筋を付け直そうか、というところ。
踏み荒らした状態なのが判るかな?
ちなみに、砂利粒の大きさはこの程度
こういう道具を使います
幅が70センチ程、ステンレスの特注品で結構重い。
軽いとしっかり筋がつかないのです。
おおかたの予想に反して掃きならしてからではなく、いきなり筋付けにかかります。
では、何故足跡がなくなるのか?
その秘密は?これ
なぁーんだ!でしょう?
画面でお解りとおもうが、犬走りの縁石にそって、今まで筋だったところを
道具(トンボ)の裏側で平面(ベタ)にしているところです。
つまり、筋がないところは、筋を消した跡なのです。
無筋の筋をつける、なんぞと云うと禅臭いかな?
次は、今消しているところの左側に筋をつけます。当然、画面の足跡は消えます。
縁石の角のところで、筋とベタを切り替えます。
これを繰り返すと
こうなる。
こうやって、後ろ歩きしながら庭全面を70センチ幅で走査しているわけです。
終わるまでに1キロほど歩くことになりましょうか? 昔の塩田の風景みたいですね。
ただ、一定の速度でトンボを引いていかないと、段差がついたりしますので、
そこが難しいと云うか、気を使う。
一目瞭然、左が新しい筋ですが、結構曲がっていますネ。
でも、仕上がると、ホラ
不思議なことに気にならない。
総体の印象でとらえると、細部の欠点が隠れてしまう。よくある事じゃありませんか。
さて、もう一つの疑問、庭石の周りの縁取りはどうやってつけるのか?
上の写真で、手前からベタ、筋、ベタ、筋と付けていく途中で、石にあたるとそこは飛ばしておいて、
石のむこうから、また筋なりベタなりをつけてゆきます。
そして、下の写真のように、石の両側の筋ベタが、トンボの幅以上になったところで
ぐるりと一周り。右の写真では一周りした後、外のベタのところから及び腰で継ぎ目を消しています。
はいこのとおり
では、何故ベタのところに足跡が残らないのか?
答えは簡単。足跡はつかないのです。
そりゃぁ、どかどか歩いたり、踵のある履物で歩けばつきますが、
平底の履物でそーっと歩けば、ほとんどつきません。
もう一つ、ベタのところに前の筋がうっすら見えていますが、
2日もすれば解らなくなるのです。