奈良の旅 第三編
5/30 2001
聖林寺
多武峰の山麓に在る小さなお寺です。
有名な国宝十一面観音像を拝観できるのですから、高い石段のなんのその、
汗をしたたらせて登りきりました。
本堂に上がると、
「あれれ???」巨大な,丸いお顔の石のお地蔵さんが,鎮座ましましています。こ
れはご本尊様の子安延命地蔵菩薩でした。出産を控えた姪のために安産を祈り、素朴
な犬のお守りお土産に入手。
目指す十一面観音は、さらに,渡廊下をのぼりつめた宝物殿にいらっしゃいました。
1体のみ、
ガラスのケース越しですが、近々と拝見できました。御住職が「扉をお閉めくださ
い」とおっしゃいます。
扉を閉めるとガラスの反射がなくなり、くっきりとお姿が浮かびあがりました。
その気高さ、力強さ、優美さに酔いしれて、一同しーんとなってしまいました。
年配の御住職も熱の篭った、丁寧な解説で,誇らしさがありありです。
夢をみたような気持ちで宝物殿を出ると、卯の花が今を盛りと咲いていました。
遠く三輪山、大和平野が見わたせます。
さくはなの とわに にほへる みほとけを
まもりて ひとの おいにけるかも (会津 八一)
奈良の旅 第二編
5/28 2001
信貴山
新緑が燃え立つ生駒山から信貴山へぬけるドライブは大阪奈良を一望して快適そのも
のでした。
目指すは信貴山縁起絵巻で知られる朝護孫子寺。
赤い橋を渡ると遥か山頂に樹木に囲まれた赤い本殿が見え隠れしています。
石灯籠がずらりと並んだ参道をぬけると,舞台作りの本堂があらわれました。
本堂の下には長野の善光寺のように真っ暗闇の戒壇巡りが待ちうけておりました。
本殿下の闇の中を手探りで回って、格子戸にかかる錠前に触れて、一つだけ願い事を
すると、願いが叶うのです。
こんな時はいつも何故か私が先頭になります。日常では真の闇を経験することはほと
んどないので結構恐いもんです。
「りんりんさん錠前がありました。」と声をかけると、「願い事はひとつだけよ。欲
張ったらダメよ。」と闇のなかからりんりんさんの声が響きます。
私の願い事? それは秘密。
本堂の横ではお財布に入れていたらお金に不自由しない《融通さん》と言うお守りが
売られていて大人気。りんりんさんったら、ひとりで5ヶも買っていましたよ。帰り
道お財布を点検していた,りんりんさん,1ヶ分お金を渡してなかったと,慌てて支
払いにもどったら、りんりんさんの心がけに感激したおばあさんが,お金を受け取ろ
うとしなかったんですよ。りんりんさんって正直モノ
現実派の私はそんなに沢山買ったらおこずかいが減るので買いませんでした。(これ
単なる吝嗇?)
信貴山縁起絵巻は裏の宝物殿に複製が展示してありました。今日(5月26日)NH
K教育でちょうどやっていましたよね。いきいきとして,アニメとか映画の感じでし
た。天皇の病気を治すため遣わされた《剣の護法童子》ーつむじ風を起こして大車輪
で走りまわってたーを見たら、編集長を思い出してしまいました。
奈良の旅まだまだ続きます。
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5/25 2001
皆さんの反響が大きかったので、奈良の旅西大寺編をお届けいたします。
西大寺
天平神護元年創建、当時は東大寺に並ぶ大伽藍を誇っていたものの、度重なる火災や
戦火で衰退。しかし鎌倉時代半ばになって叡尊により真言律宗の根本道場として伽藍
を整備された。叡尊は戒律に厳しく、般若湯などもってのほかと、御もてなしはすべ
てお茶でおこなわれました。
また 、社会福祉の精神から、当時薬として珍重されていた、お茶を一般庶民にも振
舞ったところから春秋の大茶盛りの行事がはじまったそうです。以上御住職のお話で
した。
案内してくださった先生が御住職と懇意にしていらっしゃるとかで、特別に大茶盛り
を体験させていただきました。
お道具は全て巨大,茶せんは驚くほど軽かったのですが、お茶碗は,5キロから10
キロの重さで,介添えなしには飲めないということをあとで知りました。
喉も乾いていたし、とても美味しいお薄でしたので、日頃鍛えた腕力で,恥ずかしな
がらあっという間に飲み干しちゃいました。隣でびっくりしているのは紫雲庵の松村
さんです。TVでご覧になった方もいらっしゃるとおもいますが,大抵のかたは両脇
の人が御茶碗を支えてのまれました。
私、力はあっても心根は優しいほうですので、恐がらないでくださね。
Yukiko
Shibata
yukicom@d1.dion.ne.jp