8/11 2004掲載
「宝川温泉雑記」 by 渡辺耕士
「青春18きっぷ」を利用して水上(群馬県)の奥にある
「宝川温泉」に行ってきました。このきっぷをご存知の
方も多いと思いますが、「日帰り安上がり旅行派」には
最高のすぐれもので、普通列車だったら一日乗り放題。
新幹線と違い予約なしで大体座って旅行が楽しめます。
新聞記事でこの温泉を知り、家内と出かけた次第です。
山間の一軒宿で、せせらぎの音もなつかしい「正統派
温泉」でした。露天風呂が川をはさんで3箇所あり、どの
お風呂も肌に柔らかくゆっくり楽しむことが出来ました。
そのひとつのお風呂の名前が「子宝の湯」。結構若い
カップルが多く「日本人口少子化」問題の解決に役立つ
ことを願いました。家内も温泉着を着て一緒にはいり
ましたが・・・多分もう日本の人口増加には役に立てないでしょう。
温泉は良かったのですが、「虻が大発生しております」の
注意書き通り見事にやられました。それも助けた虻に・・・
ゆったりとお湯につかっていると、目の前の水面を虻が
必死にばたついています。なんとなく「蜘蛛の糸」を思い
出して義侠心を出したのが失敗でした。手ですくって岩の上
に移してやると、10秒くらい羽根を擦って乾かしていましたが、
やがてびゅんと空高く飛んで行ってしまいました。普通ならここで
「命のお礼の挨拶」があってしかるべきですが、残念ながら
なんのサインもありません。虻の世界には「仁義」という言葉
がないのでしょう。
昼のビールおつまみコースが終わり、二度目のお湯を楽しみに
露天風呂に下りていきました。
今度は「不動明王」像近くの浅い風呂につかり、ついうとうとと
まぶたを閉じていたところ、「痛ッ」と思った瞬間には外に
出していた足首を見事に刺されてしまいました。
この野郎とお湯をぶっかけましたが、見事にかわされ逆に顔の
方に攻撃を仕掛けてきます。
その瞬間、憎っくき虻が先ほど命を助けた虻だと気がつきました。
額にある天下御免の向こう傷、先ほどの虻に間違いない・・・
と思います(自信はありませんが・・・)
小生怒り心頭です。恩を仇で返すとはなんたること。
かの蒋介石総統は敗戦後の中国在留日本国民に対し、
「怨に恩で報いよ」と大号令を発し我が先輩方の命を救った
というのに。(実は、小生の母、兄もこの政策のおかげで上海
から無事長崎に帰国できました)
もうこうなったら、「男と男の勝負だ!かかってこい」とお湯を手で
すくい待ち構えましたが、こちらの戦闘意欲に恐れをなしたのか、
「ブーン」と一呼吸おいて飛び去ってしまいました。
後に残るは、腫れた足首と周りの人の失笑だけでした。
戦いすんで日が暮れて・・・いくさとは空しさだけが残るもののようです。
では又・・・
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