4/8 2005掲載

こちらも昨日今日の暖かさで、桜も見頃になりました。
今日の駄文あまり面白い話ではありませんが・・・渡辺耕士
 
 
「爽やかなお店・爽やかでないお店」
 
店を出る時(離れる時)爽やかさが残る店というのは、実に
気持ちの良いものです。
最近では、マニュアル通りの笑顔の店も目立ちますが、やは
り心の底からの笑顔で「ありがとうございました」と送られると
とても嬉しいものです。この前出張で羽田空港に行ったとき
のことです。ばたばたと駆けつけたものですから喉が乾き、京
浜急行の地下のホーム売店でペットボトルと週刊誌一冊と
千円札無言で一緒に出した所、「ありがとうございます。
一緒の袋に入れてよろしいでしょうか」と実に晴れ晴れとした
大きな声が返ってきました。顔を見ると60過ぎの婦人販売
員です。その笑顔もまた素晴らしいもので、こっちまで思わず
引き込まれて笑顔が出てしまいました。一本参りました。
こちらがお客顔でぶっきらぼうな態度で接しているにもかかわらず、
こちらを包み込む笑顔での応対です。「一緒でいいです。しかし
あなたの笑顔素晴らしいですね、いつもそうなんですか」と思わず
声を掛けました。「はい、こうして歳をとっても仕事をさせてもらって
毎日とても楽しいんです。ありがとうございました」との返事が返っ
てきました。
たったそれだけの会話ですが実に印象深く残っています。
「野球はイチロー、買い物は京浜急行羽田駅地下ホーム売店」
で決まりです。
 
 この話と反対で、爽やかでなかったお店も紹介します。あまり
愉快な話ではない事をお許しください。横浜北部ではわりと有
名なチェーン店のラーメン屋でのことです。土曜日の午後、ゴル
フの練習も終わり小腹も空いてきたのでくだんのラーメン屋に入
り、ビールとラーメンを注文しました。しかしなんだかいつもと雰囲
気が違います。注文を受ける若い店員(多分アルバイト)がなん
だか緊張していることがわかります。ゆっくりビールを飲んでいると
原因が分かりました。新しく赴任してきた店長らしき人がことある
ごとに若い店員達を「教育」しているのです。「そういうやり方では
ダメだよ。これを持ってお客さんの所にいくときは、こういう風に・・・」
「片付けのときは、先に・・・すると30秒節約できるだろう・・・よく
考えて仕事をしろよ」、同じ教育でも心根が暖かいと聞いていても
不快ではありませんが、上から被せる言い方はこちらまで面白くあ
りません。ラーメンを運んできた店員に、小さな声で「新しい店長
さん?」と聞くと、うなずきながら「キビシイ方なんです」とうんざりした
ような声が返ってきました。
ラーメンを食べている間中、店長の「お客さんに満足してもらうためには
こうすれば・・・」の「CS(顧客満足)教育」の叱声が聞こえてきます。
とうとう小生も堪忍袋の緒が切れました。レジでお金を払うとき、そ
の店長を呼び出し「あんたいい加減にしろよ。おれたちお客はラー
メンを食べにだけ来たんじゃないいんだよ。楽しい時間を過ごすため
に店に入ったんだ。どんなにラーメンがうまかろうとあんたの声でそれが
台無しだ。店員教育は奥でやってくれ。」
 店長は仏頂面ながらも「申し訳ありませんでした」と答えてその場は
それで収まりましたが、よく考えたら何の解決にもなっていません。私
はただ自分の鬱憤を晴らすためだけに啖呵を切っただけで、その店
長がその後態度を変えるとは思えません。もしかしたらもっと陰湿な
「奥の教育」が始まるのかも知れません。小生が笑顔で「新しい店で
大変だね、おいしかったよ。だけど店員に言う時は・・・」と相手の立
場に立って言えばまた違った展開になったと思います。会社の新人
教育ではいつも「まず相手の立場でモノを考えなさい」と30年言い
続けている自分が恥ずかしい。
いつまで経っても瞬間湯沸かし器(家内曰く)の小生、成長があり
ません。

では又・・・

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