3/9 2004掲載

by 渡辺耕士 

「ホンカン詐欺」が掲載されていましたが、小生のは「ねずみ講」の話です。
少し重い話で申し訳ありません。
 

先週の土曜日、小生としては初めての経験であるが「詐欺の現場」を目撃した。
 昼過ぎ、都内の寿司屋(回転寿司ではないが、高級店ではないといった店)に
一人で入ろうとしたところ、入り口近くのボックス席にいた4人(男二人、女二人)が
一斉に小生を見上げる。
 それほどの敵意は感じられないが「あんた誰?」と言わんばかりのかなり異様な
視線である。
勿論知らない顔ばかりなので、かれらの視線を無視して、入り口近くのカウンター席
に座り、「寿司定食」を頼む。
 聞くともなしに聞こえてくる彼らの会話。
「申し込みは早いほうが有利ですよ。名簿順位が上だし・・・」「しっかりしたグループ
をつくったら大丈夫よ・・・、あなただって毎日食事のために野菜とか買い物するで
しょう。それとおんなじよ。健康はみんな興味を持っているから大丈夫よ」
 詐欺に遭おうとしている女性は50才くらいのスーツ姿。あとの3人は
一人目がきちんとした身なりのセールスマン風(年齢は55才くらい)。
二人目が薄いサングラスをかけた「中小企業二代目の放蕩息子」風で麻雀荘に
よくいるタイプ(年齢は50才くらい)。
三人目は安い飲み屋の仲居さん風(年齢は65才くらい)。
 この3人に共通しているのが、目つきの落ち着きのなさである。常に回りを窺い、
詐欺を仕掛けている女性を包み込んで「他の侵入を許さない」雰囲気を醸し
出している。
 小生が店に入ったときの異様な視線はまさにこれで、「まさか知人では
ないだろうな」という彼ら(詐欺グループ)の思いだったのである。
女性は「売れるんでしょうか・・・」「名簿順位は・・・」「予定の人数を
勧誘できなかったら・・・」という質問をしているが、この返事が実に見事である。
 仲居さん風「うまくいかない時だってあるけど、あとは本人のやる気よ」
二代目風「このシステムのいいところは途中でやめられることだよ、どうしても続か
なかったらすぐやめられるから安心だよ。友達だってやめた奴もいるけど、結局は今、
後悔してるよ、アッハハハ・・・」
セールスマン風「お客さんで損した人はほとんどもいません。当たり前でしょう。売れる
商品だし、二人に紹介するだけで20%ももらえるんですよ。ただ途中でやめた時に
手数料が少しかかるだけですよ」
 「大丈夫そうだからやってみようかな、駄目だったら途中でやめたらいいんだし」と
思わせるような実に見事な語り口であり連携プレーである。
 会話の途中に彼らは、よくトイレに行く。随分トイレにいくグループだと思っていたが
どうも違うようである。
一人がトイレに入ると残った二人はさりげなく「携帯」を取り出し目線を走らせる。
多分、携帯で「攻め方、引き方」を打ち合わせているのか、または別の所にいる
仲間と次の「出会いのシーン」を打ち合わせていると思われる。
 食事も終わったので寿司屋を出たが、多分あの女性は「入会」し、そしてお定まり
のコースを歩むのであろう。気の毒だがなんとも口出しのしようがない。
 
学んだ事
1,休みの日の昼下がりの寿司屋はおいしいが少し怖い味がする。
2,はさみとケータイは使いよう。
3,トイレが近い人間は要注意。
4,お金が絡む話は一人で聞かない。
 
皆さんのご参考になれば幸いです。
では又・・・
 
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