10/23 2002掲載

from 松本一喜

ハナのお話 Part2

ハナが我が家に来たのは、99年11月です。
嫁さんが、知り合いが問題のある犬の里親探しをしているという事でしたので、飼いたいといってきたのが始まりでした。

この犬の問題とは、子犬の時にもらわれていった先で酷いいじめにあって自閉症になっているということでした。
いじめにあった原因は、野良猫を進入を防ぐために犬を飼ったのに、猫を追い払うどころか、ご飯をわけあって
食べたりして役に立たない、と言う事でしたが真偽の程は判りません。

とりあえず、中型犬という事で廃材をもらってきて、犬小屋を造り、犬の来るのを待ちました。
犬を連れてきた人は、問題を抱えた、犬や猫を飼って世話をするのが生き甲斐になっていて、自分でも犬猫合わせて
20匹ほどかっています。でもまだ若いんですよ多分20代後半くらいでしょうか、、。かごに入れて犬を連れて来ましたが、
良くこれで生きているなというくらいガリガリにやせて、おどおどして、かごから出したとたん犬小屋に飛び込み隅っこに
へばりついて出てこないどころかこちらがおいでといって手を出そうものならブルブル震えて、犬小屋までが振動するよ
うな状況でした。
大変な犬をもらってしまったな、普通の犬をもらうか、買うかすればよかったな、というのがその時の偽らざる心境でした。

餌の問題は大変でした、絶対人前では食べません(これは今でも続いています)また来た当初は、何日間も食べずに
本当に困りました、缶詰、ドライフード、メーカー別、色々試しましたがたまに食べても続けて食べる事がなく、本当に
困りましたが、現在では鶏の胸肉
1枚が一日の食事です。
それとささみジャーキーなんかは好きみたいです。置いておくとなくなっていますので、、。

2ヶ月ほどたっても状況は変わらず、近ずくとおびえて逃げ回るし、体にさわろうとするとおびえて噛み付くので、今まで何
度噛み付かれて血を流したか判りません、(さすがに今では噛み付かなくはなりましたがそれでも触られるのは大嫌いで、
逃げ回ります。体に触れるのは逃げ回れない犬小屋の中、エレベーターの中、など実に限られた場所だけです。ただ嫁さ
んにはかなりなれていて、仕方無しにでしょうが触らせています。全体の様子からすると、どうも男性はダメで、女性には
良いようです。)
このままではダメだと思い無理やり散歩に連れ出す事にしましたが、これも一苦労でした。
首輪にやっとコードをつけて歩かせようとしますが人が横にいるというだけでおびえて後ずさるし横に飛び跳ねるし
散歩と
いうより引きずりまわすような状況でした。しかしわずかづつですが、散歩ができるようになって来ました。しかしこれが原因で、、、。

ハナの第一回目の家出が起きました、外の世界を知ったからでしょうか、今まではほとんどの時間犬小屋の片隅にへばり
ついて過ごしていたのが、二月のある朝起きたらいなくなっていました。庭の裏側にあったわずかな隙間からの脱走でした。
気にはなっていたんですが、逃げる事はあるまいという思いでほったらかしにしていたので、、。大濠公園、城内、など散歩
コースを探し回りましたが見つかりません、捜索範囲をひろげ犬を連れてきた方にも事情を話した所、早速捜索に加わってく
れ、自分で懸賞金付のカラーコピーのビラを作って貼りまわってくれて大捜索が10日間続きました。
ドーム周辺で見かけたという情報や夜遅く伊崎浦にいたという情報で夜遅くまで探し回る日々でした。ほとんどあきらめかけ
た頃、我が家の周辺で見かけたという情報が入り、探し回った所逃げ回っているハナを発見し、近所のお宅の庭に入った所
を追い詰めて、捕まえる事が出来ました。

この騒動の後はしばらくは、何事も無く、約1年ほど経過しました。すこしづつですがハナも社会復帰できてきて散歩も普通に
出来るようになりました。そしてようやく嫁さんにはコード無しで散歩が出来るようになった頃、ハナの第二回目の脱走があり
ました。もうコード無しで散歩も出来るからというので、散歩の途中、桶井川の河原であそばせようとコードを離してやった所、
しばらく遊んでいたと思ったら、干潮で浅くなっている川の中をわたって、私がとうせんぼをしている、土手の上にある道に上
る階段の対岸にある階段を駆け上がって草ヶ江小学校の方へ走っていってしまいました。コードを離してしまったことへの後
悔しきりです。すぐに自宅にとってかえって自転車に乗り、探し回りましたが見つかりませんでした。近所の八百屋のおばさん
に、事情を話してTEL番号を渡して、再度捜索していた所、TELが掛かってきて、八百屋のパートの奥さんがハナを連れ帰っ
てきてくれたよとのこと、すぐに八百屋に向かいました。なんと唐人町のバス停の近所でコードを引きずって歩いている犬を見
かけたら、ハナだったので連れてきたよとのことです、おとなしくコードを持たせたよとのことでした。
この脱走劇は約1時間で決着しました。
最後の脱走劇から1年半後に今回の脱走事件ですから、飼主も犬も全く成長してないのでしょうね、、、。

私の趣味の一つに山登りがあります、そこで山に行くときはほとんどといって良いくらいハナを同行しています。それでハナは
久住山に2回、大船山に2回、黒岳に1回の登山暦があります法華院温泉にも3回泊まっています(部屋の外につないでいた
らおとなしくしていました)。もっともコードをつないでの登山ですからハナにしてみればいい迷惑かもしれません。最後の黒岳
は嫁さんも一緒だったのでコード無しでしたがちゃんとついてきました。背振には少なくとも12
~3回は登っていると思います。
嫁さんと一緒のときは殆んどコードなしです。それから考えると私とハナの関係と、嫁さんとハナの関係には随分開きがあるの
でしょうね、、、。

ハナの恋愛について、、。ハナには好きで好きでたまらないオス犬がいます。先ほど登場した八百屋さんの飼い犬の太郎です。
太郎は秋田犬の血を引く雑種でハナの4倍くらいの大きさの犬です。太郎をコードで連れて散歩に行くと私でもハナのコードを
離しても大丈夫です。絶対太郎の側を離れないので、、。太郎に引っ付きまくり、じゃれまくりで傍で見ていておかしいほどです。
それに太郎がよそのメス犬にちょっかいを出すと、猛烈にやきもちを妬いて、太郎にぶつかったり、其のメス犬にほえ掛かったり、
一騒動です。太郎は外では俺は女なんか知らん、興味は無いという風な態度ですが、二匹だけの時には大きな体でじゃれあ
っていますし、散歩の途中我が家の前を通るとくんくん鳴いて塀際にすりより
離れ様とはしないのでそれなりに好きなんでしょう。
ハナが家の近所で見えなくなると必ず太郎の所にいます。
八百屋さんの家の奥に塀があってハナだと潜り抜けられるくらいの穴があいています。ハナは勝手にここから八百屋さん宅に
侵入して太郎と遊んでいます。八百屋さんが店を開けている時は、表から入っていきますが、休みのときの侵入口です。
先日、八百屋さん夫妻が休みで出かけて留守のとき、散歩の途中に穴から入り込んでしまって、呼んでも呼んでもでてきません、
仕方が無いので其のまま家に帰ってきました。2〜3時間後に八百屋さんから電話がありハナを迎えに行きました。八百屋さん
夫妻が帰って来て玄関を開けたところ、2頭ならんで座って出迎えたそうです。太郎の餌はドライフードなんですがハナは太郎と
一緒だと家では絶対食べないドライフードを食べるし、太郎が手渡しで何かを食べると、ハナも同じように手から食べるそうです。
飼主の私からは一度もそんな事をした事も無いのに。

太郎はもう9歳くらいでだいぶ弱ってきたとのこと、出来ればハナとの子供が欲しいと八百屋さんは希望しているのですが、あま
りにも体のおおきさが違いすぎて、獣医にも相談したのですが無理みたいです。

余談ですが、ハナは洋犬には全く興味を示しません、和犬にはほとんど興味を示してにおいをかぎに行きます。
これは他の犬ではどうでしょうか?

ハナはほとんどワンとほえる事がありません、ほんとに無口な犬です。いままでほえたのを聞いたのは4〜5回ではないでしょうか。
我が家の駐車場で車のガラスが割られ車上荒が2度ほどあったのですが。静かなものでした。先日物陰に隠れてハナが通るの
を待ち伏せして、通る瞬間に飛び出しておどかしたら、泡を食って逃げて遠くから怒ってワンと一声だけなきました、久しぶりの鳴
声でした。こんな事をするのでいなくなって心配をかけるのかもしれません。

長くなりましたが我が家のハナについて書いてみました。
我が家に来て2年10ヶ月、4歳過ぎの雑種ですが家族の一員として暮らしていっています。



8/23 2002掲載

ハナの話 part1

from 松本一喜

一昨日、女学院の学生を連れて背振山に登りました。
天気もよく、最高の登山日よりでした。
いつものように、我が家の犬のハナも連れて行きました。
最近は随分なれてきて、コード無しでもついてくるようになってるんですが、
コード無しだと、気になるにおいをかいだりすると道草ばかりするので、コードを
つけて連れて行きました。
ところが首輪がゆるかったので、途中切り株にひっかかり首輪が外れてしまい
ましたが、私が捕まえようとすると逃げ回るので、そのままにして山に登りました。

ハナは我々のすぐ後を遅れながらもついて山頂まで上がり、少し下った所で昼食
を食べましたがそこでもおとなしく待っておりました。
1時半になったので下山をはじめ尾根道を8合目位まで下り、下山道入ろうとすると
なぜだか嫌がってついてきません、迎えに行って一旦はついてきたんですが、気が
変わったのか、再び尾根道のほうに走っていってしまいました。

それからが大変です。学生たちにも手伝ってもらい、探し回りましたが何処に行った
のか全く判らなくなりました。私は急いで下ってきた道を山頂まで登り返しましたが
見つかりませんでした。3時を過ぎてしまいましたので学生たちのこともあるので一旦
下山する事にしました。背振には山頂に自衛隊のレーダー基地があるので、福岡側と
佐賀側から車道が通っています。その道を下った可能性も考えられるので、又一本道で
もし下っているなら、必ず見つかるので、学生たちに断って、一人で山道を駆け下りました
(学生たちはバスで、私は車で来てるので)車を置いてたとこまで1時間15分位で下り
ましたが、両膝はがたがたでした。車に飛び乗って急いで山頂に引き返し又、佐賀側にも
下りましたがいませんでした。また再度山頂まで引き返し車を置いて、見失ったとこまで、
名前を呼びながら歩きましたがむだでした。馬鹿な犬ですがただおらんようになったでは
済みませんので、もしかしたら朝車をとめていた所に帰ってくるかもしれないと一縷の望み
かけて、戻ってみる事にしました。

しかし私でも1時間ちょっとで下れた道ですから、まず
無理であろうと思っていましたが、
6時半くらいの時間でしたので、8時まで待ってみようと
思いました。ハナは車が好きで、
ドアを開けると飛び乗ってきますので、助手席のドアを開け
っぱなしにしておきました。
そしてこの集落には友人がおり、そのお母さんとも梅干のつけ方
や葉わさびの辛味の出し
方を習ったりして親しくしていただいているので。もし犬を見かけるような
事があったら、連
絡して欲しいとお願いに行ったりしました。

車に戻りましたが、帰ってくる気配は感じられず、山間の集落ですから暗くなるのは早く、体
くたくたに疲れているんですが、目を閉じても神経がぴりぴりして、、。
明日からどんな風に探そうか
とか、どうしようと考えながら車に座っていたら、7時半過ぎに
朝出発した道から小走りにハナ来る
ではありませんか、ただ車の所にきたもののすぐに車
に飛び乗ってはきません。おかしいなと思い
運転席のドアを開けようとしたら、やっと乗って
きました。馬鹿犬なりに恐縮してたんでしょうか。

何度も山にはつれてきていますが、其のたびに車を置く場所が違うし、逃げ出して5〜6時間
何処を
どうほっつき歩いてここまで帰ってきたのか、口が聞けたら聞いてみたいものです。
身も心もくたくたになった一日でした。帰ってから、学生たちや、友人のお母さんにTELして
無事帰って
きた事を報告し、喜んではもらいましたが、私自身は食事はのどに通らないは、
両足はパンパンになって
特に膝は痛くて痛くて、昨夜は足が熱くて寝られませんでした。
そんな事はお構いなしに、馬鹿ハナはけろっとして、このメールを打っているテーブルの下で
寝そべっています。

私にとって大変な一日の報告でした。