私のパソコン利用法  by リワキーノ   2002年3月26日 

この文書は今から10年前に小春ページに投稿しようと思って記しながら、途中で中断したものです。
11月7日付けの編集長の巻頭投稿、


”読者の皆さんご存知の通り、「小春のホームページ」開設が1998年、正にWindows98の登場と共に
スタートした訳です。日本でのインターネット元年はこれより少々遡って1992年、今年で丁度祝20周
年!”

を読み、懐かしさに駆られたのと、編集長のおかげで今の私の仕事の安定があることを皆さんに知っ
ていただきたく、この未完の原稿を投稿させてもらいました。


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私がパソコンを利用するようになってもう丸8年になります。
きっかけは妹尾君の強烈な勧めからでした。
10年前に私がワープロ機を購入して文書を作成したり顧客の名簿などを作っているのを知った妹尾
君が、将来のことを考えるのなら絶対に今パソコンに切りかえるべきだ、と熱心に勧めてくれたことか
ら私は8年前にパソコンを購入したのでした。
そして今思うのは、あの時妹尾君が強引に勧誘してくれなかったら4年前に断行した私の組織からの
独立はこうもうまくは行かなかっただろうということです。
4歳のときからの幼な馴染みである妹尾君にはずいぶんいろんな面でお世話になってきたのですが、
彼のいざないの結果が、私の人生の分かれ目となるときに大きく貢献してくれたことを私は一生忘れ
ないでしょう。

パソコンについて妹尾君との会話でいつも出てくる話題が、いかに多くの人がパソコンの素晴らしさを
理解していないか、というものです。
私もずいぶん多くの人達にパソコンの素晴らしさを説いてきたのですが、ほとんどの人が「ほー」と話し
を聞いて感心はするもの、実際に「じゃ、自分も一度アタックしてみるか」と行動に移す人はほんのわ
ずかであるというのが現状です。
中にはパソコンを使えばその仕事や趣味の世界で格段の恩恵を受けられるのに実に惜しい、という
思いにさせられる人達がたくさんいます。特に文系の人達に多い。
これはパソコンへの偏見(何かとりとめも無いようなものへの恐怖心とでも言うべきでしょうか)と、そ
の威力を知らない無知からくるものと思われ、インターネット通信もワープロも表計算・データーベース
も一緒くたにしている人がずいぶん多いことからもそれが推察されます。
一方、パソコンは持っているもののワープロや住所録、インターネットしか利用していない人も多く見か
けます。いや、それはそれで良く、インターネット通信を利用しているだけでもパソコンを買った値打ち
は大いにあると思いますが、私はデーターベースや表計算を身近なものとして利用したらもっとパソコ
ンの恩恵を受けるのではないか、と考えているのです。

私が身近なものとして利用する、と言うことは市販のデーターベースソフトや表計算ソフトをその性能
をフルに発揮させて利用するという意味ではなく、自分の希望するところに見合った性能の範囲で使
いこなすと言う意味なのです。
一般に広く利用されているマイクロソフト社の表計算ソフト「エクセル」はまだしも、同社のデーターベー
スソフト「アクセス」はその機能をフルに利用しようとすると、かなりの
手間隙をかけて取り組まないとものにできないほど、複雑な内容になっております。
しかし、そんな高度な機能を使わずとも比較的簡単に取り組める範囲でデーターベースと表計算ソフト
にアタックするだけでもそれらは十分に私達にかなりの恩恵を与えてくれると私は思うのです。
以下、このような考えから私は自分がパソコンをどういう風に利用しているかをお話して皆さんのご参
考にしていただけたらと思っております。

私は現在フリーのピアノ調律師として仕事をしておりますが、事務処理や顧客管理、納税の確定申告
もすべてパソコンで処理しております。
ピアノ調律師もお客様あっての商売ですので、その顧客管理をきちっとすることがもっとも大切な要務
なのですが、これがパソコンの力を借りるといとも簡単にかつ正確に処理できることは手書きの事務処
理作業に比べて愕然とするほどの開きがあります。

私の顧客数は千数百件という数(もちろん、調律をやらなくなった休眠顧客も入っております)で、これ
らを手書きのカードや名簿台帳などで分類や集計することは大変な労力がかかることはご理解いただ
けると思いますが(私が辞める数年前までは所属していた大手の楽器店は調律顧客の管理はすべて
手書きで行っていたのです)、私はこの手書きカードの情報をすべてパソコンに移し変えたのです。
パソコンで唯一手間隙かけることを避けられないのがこのデーター入力でして、これだけは確実に一つ
一つのデーターを打ち込んでいかなければなりません。
ちなみに、このデーター打ち込みはキーボードで行うことになり、これが多くのキーボード拒絶反応者
の大きなつまずきの石となるのでしょうが、ブラインドタッチ(キーボードを見ずにタイピングする技術)を
身につければ、むしろ手書きよりもはるかに早く、苦痛よりも楽しみながらタイピングできるようになり
ます。そしてその技術習得は誰にでもできるのです。このことについてはまた別のところでお話いたし
ます。

私は妹尾君から進められてパソコンを購入した時から、この手書きカードの顧客情報をパソコンのデー
ターベースに打ち込む作業を開始いたしました。
勤務していた楽器店では社員も嘱託社員も毎月、当月調律実施の各担当顧客カード(ハガキ大のもの
です)を一月分まとめて預かり、そのカードを見ながら顧客にコンタクトをとるのですが、私はこのカード
をそっくりそのままデーターベースに打ち込んでいくという作業を続けたおかげで1年たったとき、自分の
すべての担当顧客情報を私のパソコンのデーターベースに収集することができたのです
しかも私は楽器店顧客カードの項目に新たに多くの項目(顧客の家族構成、顧客の趣味、ピアノを弾く
当人の年齢など)を加え、役に立つと思われるようなあらゆる情報を書きこんできました。

そして、このデーターベースに打ち込んだ情報をもとに顧客に対応するとき、私はパソコンの威力を心
底思い知ったのです。
私の「顧客管理」データーベースは現在のところ、一つのカードが名前、住所、電話番号から始まってグ
ランドピアノかアップライトピアノかの分類、メーカー名、モデル名、製造番号、納入年月日等々の50数
項目で成り立っているのですが、50数項目を持ったカードが千数百件あるのですから、これを手書きの
カードや台帳で管理していたのでは労力の問題だけではなく、常にアップデートしている全体の状況を
正確かつ迅速に把握するということ自体が無理なことはどなたにでもご理解いただけるでしょう。

これがパソコンのデーターベースを利用するとどうでしょう。
まず、特定の月の調律実施予定の顧客だけを集計したいときは、絞込み検索ツールを使って「次期予
定月」項目で「11.02」という絞込みキーワードを書きこみ、ボタンを押せば一瞬にして平成11年2月の
該当カードだけが画面に表示されるのです。この画面表示はボタンを連続して二つ押すだけで個別の
カード画面と一覧表示画面とに切り替わります。
そして個別のカード画面のさまざまな情報を見ながら顧客へ電話をして実施日の予定をとりつけたり、
顧客の事情で延期になる場合は、「次期予定月」欄に顧客希望の月を書きつけたりし、一覧表示画
面では移動時間の効率を図るために同じ市町村に住むお客をなるべく固めて同じ日に予約をとりつ
けるようなこともはかれるわけです。
電話で対応しているときにデーターに変更が生じたとき、例えば今月予定がずっと先の10月となった
場合、時期予定月項目に「11.10」と書きかえるだけで、次に10月になってその月の絞込みをやった
ときに、この変更されたカードは必ず画面に現れてくるというわけで、紛失してしまう可能性があった
り、書きこんでも確認するのをうっかり失念してしまうといった手書きのメモや手帳にはとても望めな
い確実さと必然性があるのです。

キーワードでの絞込み検索はどの項目でもできます。
例えば、兵庫県西宮市甲子園町に住む顧客からピアノの先生を紹介して欲しいという依頼が来たとし
ましょう。
その時は西宮市在住のピアノ教師という絞込み検索をやるわけですが、住所項目を「西宮市」、顧客
分類項目を「レスナー」と限定してボタンを押すとたちどころに西宮市在住のピアノ教師カード群が表
示され、依頼者にもっとも近い町の先生を探し出すということができるのです。

また、顧客からの依頼の中では、長期にわたって心にかけなければならないものがあります。
例えば、ピアノの先生が生徒のために、あるいは一般の客がお友達や親戚のために中古ピアノを探し
ているとします。弾くのに差し障りなければどんなピアノでもよい、とにかく廉価なものをという場合はす
ぐさま、業者仲間を通じて探すことは簡単なのですが、値段は少々高くてもよいし、時間がかかっても
よいからとにかく音色の良いピアノをという場合はなかなか即座に探し出すことは難しいのです。
こんな場合、その顧客の依頼事項項目に「良質中古ピアノ」と記入しておけば、忘れたころにそのよう
な掘り出し物が出たとき(必ず出てくるのです)、依頼項目で絞込み検索すればお知らせするべき顧客
名が即座に出てくるのです。記憶や手書きのメモに頼っていたのではこうはいきません。

また、顧客の趣味を知っておくのとそうでないのとでは、接客対応も全然違ってくるわけで、千数百
件の顧客の趣味を覚えておくことは不可能に近いですが、顧客と接したその都度データーとして入力
しておけば訪問直前にそれが確認できるのですから、すべてのお客にその人の持つ趣味の話題を
持ち出すことが可能なのです。
これを手書きカードでもやっている営業マンなんかを見かけますが、限られたスペースしかないハガ
キ大のカードや手帳では書ける内容にも限度があり、その点、パソコンのデーターベースは無限に近
い書きこみ領域を持っていますので断然有利です。
極端な例ですが、私はある顧客と芸術に関するかなり充実した会話をしたとき、そのあらましをA4判
3ページ分の量をデーターベースに書き込んだことがあります。

以上述べたような対応が顧客に与える印象はかなり好ましいものがあるようでして、私はたいした技
術者ではないのですが、独立のときに組織にいたときの96パーセントの顧客が私についてきてくださ
いました。

パソコンで素晴らしいのは、いったん入力したデーターは直接に、あるいは色々編集して他のソフトへ
の転用がきくことで、データーベースのデーターは表計算やワープロ文書に取り込んだり、電子メール
で他者に送信することができるのです。(ただ、私の顧客データーは膨大過ぎて(2.7メガバイト)、私
の契約しているプロバイダーの電子メールでは送受信できませんが)

私は顧客に毎年年賀状と、月ごとに調律予定該当顧客に案内状とを出しているのですが、これもすべ
てパソコンにまかせており、タックシール宛名書きでは何か無味乾燥に感じるので、宛名書きソフト・筆
まめにデーターベースのデータを読み取らせ、見栄えのよい字体の宛名書きで印刷しております。これ
もいったん入力したデータはどこにでも転用が利く一つの例です。
パソコンの力を借りても1400枚の宛名書きは大変な作業で、ハガキフィーダーで40枚ごと印刷をやっ
ていてもまる4時間かかりますが、これが手書きだったら気の遠くなるような労力と時間を要したことで
しょうし、アルバイトの手を借りなければとてもやっていけなかったでしょう。
よく市会議員とか府会議員とかが、あきらかにアルバイトを雇って書かせたと思われる年賀状をよこす
のを見かけますが、名前を誤記したり、書きなぐったような悪筆のものを目にするとき、パソコンの効能
を教えるものが周囲にいないのか、とその政治家の人脈の貧弱さをつい想像してしまいます。

データーベースソフトを私は仕事だけでなく、趣味の分野でも大いに役立たせております。
山登りの記録、蔵書の分類、私の好きな漢詩の分類などです。
登山記録は山域名、山名、標高、天気、登山口、下山口、所要時間、山中泊の有無、山中泊の場合は
テント・山小屋の違い、同行者、登山口にたどり着くのに要した時間、危険地域、水場の状況などの項
目分けをして登山から戻ってきた都度、記入しております。
私は紀伊半島を南北に平行して縦断する大峯山系と台高山系という二つの山域に深いこだわりを持っ
ており、同じ山を何度も登ったり、違う方向からのアプローチを試みたりしますので、これらの情報がと
ても役に立つのです。
15年間のデーター蓄積のおかげで(パソコンが無かった時はノートに記録しておりました)、大峯や台
高独自の悪天の日と好天の日の偏り(たとへば5月3日は悪天の確率が高く、6月第一週や10月10日、
11月3日が晴天の確率が高い)があることなどがある程度わかるのです。
私の大峯における登山は、晴天の確率70パーセントということもデータの絞込み検索で即座に判る
のです。

蔵書の分類については、
※ここで私の原稿は終わっているのですが、蔵書の分類については画像でもって説明させてもらい
ます。

アクセス・データーベースの「蔵書目録」一覧表画面


各本がどの本箱、どの文庫本ケースに収納されているかを一目でわかるように作製したものです。
「保管ボックス」欄の「文-18」は文庫本ケース(20冊前後収納)のNo.18、「ドア右-3」は書斎入り口ドア
右側の本箱、「ピアノ横-3」はピアノ右横の本箱、「S1-2」はスチール本箱No.1の上から2段目、「S
1-2上」は2段目の本の上に横置き、「S1-2前」は本の前に横置き、と言う具合に本を収納している
場所を示す記号です。
「共通項」は”韓国”もしくは”ドイツ”関係というように特定のジャンルの本を絞り込み検索するときの
キーワードとして記しています。
2000冊を越える私の蔵書で一冊の本を探し出すのは容易なことではなく、このデーターベースは大
変役に立ちました。
しかし、本の出し入れの際にキチッと元に戻すのは難しく、現在は一番本の出し入れが多いスチール
1と2の本箱はデーターベース通りの場所に本が無い場合が多いです。

画像は2007年に撮影のもの。

スチール1(左)、スチール2(右)の本箱
2007年の時点で既にスチール1の2段目には取りだして元の文庫本ケースに戻していない文庫本が
そのまま、平積みされています。


「文-18」や「新_2」(新書)などの文庫本ケース。39ケースの重さにスチール本箱は耐えてくれます。


「ピアノ横」と「ドア右」に「玄関」(部屋の外)の本箱
「ドア右」の一番上の屋根の部分を見て下さい。あの上にも文庫本ケースを3段積んだのですが、ご覧
のように屋根がゆがんでしまったので、1段にとどめたのです。


「ドア右」の右にある「ガラス」(ガラス戸がついている)本箱


しかし、私も65歳。
私が死んだあとに、残った家族がこの本の処分に困ることは目に見えているので、そろそろ本を
手放す準備にとりかかるつもりです。
一部を除いたら全部処分する予定ですが、Amazon.co.jp で出品するとそこそこの値段がつくもの
もあるのでぼちぼちとやっていこうと思ってます。
また読みたくなったら図書館に行けば借りれるのですから何の支障もきたしません。