展望台から前鬼口にわずか戻ったところから、この谷に降りて行って大滝そばまで行く散
策路があるのですが、風邪で体調が万全でない私にはかなりの高度差を登降するこの散
策路はハード過ぎ、二人だけで行ってもらうことにしました。「時間の余裕はあまり無いの
だが・・・」という私に「大急ぎで行ってきますから」とハヤト君。
ジグザグ道を降りていく谷は深く、デジカメの望遠を最大にしてこの距離です。3度目に大
声をあげて、やっと吊り橋の上の二人は気づいてくれたくらいです。
大滝の上はかような険しい山々。左下のところに大滝の上部が見えてます。
二人が水流そばの岩盤の上を歩いていくのが見えたと思ったら綺麗な淵のそばで停滞し
、どうやらハヤト君が服を脱ぎだしているような気配がします。ははーん、エメラルド色の
淵に魅了されて中に浸かるつもりだな、と思ったら・・・
やっぱりそうでした。これはミホさんの撮った画像です。
「身体がしびれるくらい冷たかったです」と彼は言っておりましたが、そりゃそうでしょう。大
峯の稜線にはまだ雪が残っているのだから。しかし、飛び込むほど大峯の谷に魅了され
るとは、案内する大峯オタクの私にとっては嬉しいこと、この上無いことです。
こんな風に大峯の値打ちが解る人を連れてくるときほど、ガイドとして充実感を感じること
はありません。
大滝の展望所。これもミホさんのデジカメ画像です。
結局、大滝までの往復は1時間半を要しましたので、次の目的地に急がなければなりませ
ん。池原で弁当とお茶を買い、二人には車内で食べてもらって私はただひたすら車を走ら
せます。
そしてやってきました、大絶壁の地、大丹倉(おおにぐら)。
昨年6月にミホさんたち若い連中4人をここに連れてきたとき、ミホさんは是が非ともハヤ
ト君をここに連れてきたい、と思ったそうで、熊野の海岸線よりもこちらを、という彼女のた
っての願いで、この辺鄙な場所を選んだのでした。
ハヤト君が発つ岩盤と向こう側の山との間に深い谷があるのです。
足を踏み外したら一巻の終わりです。
こんなところで、ハヤト君はCMの「ファイトー!イッパーツ!」の真似をしましょう、と言うの
です。
彼が崖そばぎりぎりの所にはいつくばるので私は肝を冷やしましたぞ。
最愛の彼を念願の地に連れてこれたミホさんのいかにも満足げな表情。絵になりますね。
大丹倉から狭い山道を引き返して谷まで降りると、ほら、このように大丹倉が下から見え
ます。
「上から見るほど高さを感じませんね」とはハヤト君、ミホさんの印象です。
ここまで紀伊半島の内陸部に入れば当然、通りたくなる別天地、奥瀞峡にある北山村。
吊り橋から見る上流の方向。
お二人さん、「タイタニック」をやるんだったら向きが逆じゃない?
奥瀞峡の一番高い所から。
北山峡から本宮を目指すのに前回通ったR169は極端に狭い道が続いて対向車とすれ違
うたびにハラハラしたので、今回は玉置山を越えて十津川経由でいく道を選んだのですが
、これは大正解でした。途中、対向車も少なく、道も随所で広いところがあり、運転は楽で
した。
そして本宮町で今夜の宴会の食材や缶ビールを購入し、本宮町から約10分ほどのところ
にある湯ノ峰温泉に向かいます。
熊野にはたくさんの温泉がありますが、小栗判官の伝説の地である湯の峰温泉が一番有
名ではないかと思います。
町を流れる川の中に作られた小栗判官が湯治したと言われる「壺湯」は3人ぐらいしか入
れず、いつも順番待ちで長いこと待たなければならないのですが、今日はラッキーなこと
に待ち客がおらず、しかも先客が出てきたばかりのところに出くわせました。
早速、若い二人に入ってもらいます。
私はその間、温泉の湯がそのまま流れている川で足湯を楽しみます。
ユラユラしているのは湯ノ花。
え?グロテスクな足を載せるな、ですって?
えらい、すんまへん。
そして予定より20分遅れて午後5時20分、和歌山県大塔村の紀州松煙工房に到着。
オーナーの堀池さんが、料理の支度前に、まあ、一杯、と言われるので、みんなで乾杯。
山に囲まれた所で谷川のせせらぎの音を聞きながらの飲酒。羨ましい環境ですね、とハ
ヤト君が言いました。
そして私と堀池さんが堀池さん宅にあった銘酒「黒牛」を楽しんでいる間に、ミホさんとハ
ヤト君が鍋料理の準備をしてくれます。
やがて日が暮れてくると急に冷えてき、寄せ鍋料理は室内で頂戴しました。
料理はおいしく、翌日、起きたとき、鍋は完全に空っぽでした。
私も堀池さんも酒の進むことしきりだったそうで、堀池さんがイラク人質問題やその他、な
かなかに真面目な話がなされたそうですが、私は例のごとく、途中からバタンキューで寝て
しまったとか。
ハヤト君が寝袋をかけたり色々世話してくださったそうです。感謝。
こうして第二日も過ぎていきました。
(続く)