登山路の無い尾根を行く 神仙平から七面山へ  7年前の山行記録  2004年11月3日

このルートからの七面山登山を思い立ったのはインターネットで見つけた下記の神仙平の画像を見た
のがきっかけでした。

背後に連なる奥駈尾根を奥駈で縦走するとき、いつも眼下に見ていた景色でしたが、そこが神仙平
と呼ばれ、このような桃源郷の雰囲気を持っていることを知り、この神仙平を経て奥駈尾根に登りた
いという願望に支配されたのです。
早速、KO-BUNさんにこのことを知らせると、彼は二つ返事で「行きましょう!」と言ってくれたのです。
道無き登山路を行くことには無性に魅了される大峯狂いの私たちの神仙平行きはかくして実現した
のでした。
今から7年前の11月のことでした。
大峯有数の長い川、舟の川を源流までさかのぼっていったところが神仙平であり、そこから大峯奥駈
尾根に至り、下りはしっかりした登山路がある七面山まで行って下山するということに決めました。

七面山は下記の地形図の右側に縦に走る奥駈尾根(大峯主稜)から西に張り出した枝尾根上にあり、
南側は300メートルの絶壁を持っていて奥駈尾根から眺めるときに実に特異な山容を見せる山です。

青色の線が林道のコース、オレンジ色がルートのないコース、黄色が登山路のあるコース。
青色に繋がる左画の細い線は自動車が通行できる林道。


カシミール3Dで奥駈尾根の楊子の森上空から撮ったカシバードの画像です。

同じく楊子の森の頂上から撮ったカシバード画像。
南側の絶壁の様子がよく判ると思います。
右側のなだらかな緑地帯を通って七面山に到達するのですが、七面山の手前はかなりの痩せた
尾根となっていて結構緊張します。

五条市大塔から舟の川沿いの林道に車を乗り入れ、夜遅くに地獄谷の入り口まで来てここで野営
します。
空には半月が。


湯豆腐とカツオのたたきで宴会です。KO-BUNさんはたたきを食べませんが。


朝の風景




左側の川を渡って林道はジグザグ道で七面山の中腹まで行きます。

朝もやの向こうに大峯奥駈尾根が。


林道沿いに瀧が。


やがて道はでこぼこが激しく、床をこすりそうになるので私は下車して歩きます。
人間の歩行と同じくらいのスピードでしか動けません。


奥駈尾根。弥山方面


そして前方に大きな落石。
車が通れないので七面山登山口のところまで車を駐めに行き、林道を歩きます。ここから先が地形図
で青色の線になっているところです。


大峯の林道はこんな絶壁の下を通行するところが多く、初心者ドライバーは近づかない方が賢明です。




道路が陥没。こんなところでトラバースするとは思いませんでした。




林道詰めに来ました。
ここは下の涸れ谷に降りて行けば良かったのですが、右側の山の中を登っていって先の方で谷に
降りた方が良いのではと判断して山の中に入っていったのですが、結果的には間違いでした。

最初のうちはこんな風なのどかな雰囲気だったのですが・・・・

灌木が雑然と繁り、枝やツタが這い回っていて歩きにくいことおびただしく、


岩石や倒木が障害物となって歩行がスムーズに行かないのです。


そして何よりも困ったのが、谷に降りようにも斜面が崩れたガレ場のようなところが多く、樹木をつか
みながら斜面を下っていっても谷に面したところでは、飛び降りるには高すぎる崖となっていて容易
に降りられないのです。

やっとの思いでこの斜面のガレ場の高度が少ないところを見つけ、谷に降りれたときはホッとしました。


右側の斜面に大きな崩れたガレ場がありますが、あのような状態がずっと続いていたのです。
前方には奥駈尾根が間近に迫ってきています。


大岩がゴロゴロしているところをKO-BUNさんが行きます。


振り返るとこのような景色。地獄谷という物騒な名の谷ですが、広々としていて名前とは裏腹な牧歌
的光景です。


大岩とか巨木の残骸を見ると、大雨が降ったときはかなりの勢いの水流がここを流れたのだろうな
思いました。




大岩がひしめく沢を脱けだし、小さな林にやってきました。


ここはすぐに通過。


見晴らしの良いところに出たのでしょう、KO-BUNさんが「素晴らしい!」というポーズをしております。


登ってきた沢、舟の川の源流です。


奥駈尾根が目前にせまったところまで来ました。


振り返るとこのように。傾斜がきつくなってきてます。


樹林帯にたどり着きました。


苔に覆われた倒木に岩々。
まさに大峯ならではの光景です。




しゃにむに苔一色の斜面を尾根に向かって登ります。


そしてついに奥駈尾根に到着、と思ったのですが、実は・・・


何と尾根の向こうに釈迦ヶ岳が見えるのに気付いて、我々は奥駈尾根ではなく、奥駈尾根から派生
した七面山への枝尾根にたどり着いたことが判ったのです。
樹林帯のところで右にコースを振りすぎたようで、奥駈尾根と枝尾根の分岐点となる楊子の森のやや
右側に行ってしまったようでした。


枝尾根の行方には七面山の絶壁がぼんやりと見えています。


奥駈尾根に到達できなかったのが残念なのか、KO-BUNさんは奥駈尾根まで往復してくるとのこと。
私はかなり疲労がたまっていたのでここで待つことにしました。




七面山の絶壁を写せないかと樹林の中をずっと降りて行ったのですが、どこまでも樹林は続き、遮る
ものなしの風景は見ることはできませんでした。




やがてKO-BUNさんが戻ってき、七面山に向かいます。






七面山が近づいてきました。


七面山に近づくにつれてそれまでだだっ広かった尾根が少し狭くなり、馬の鞍のような形状になって
いきます。






そしてここから尾根は徐々に痩せていくのです。


左側に仏生ヶ岳が見えます。大峯の山々のなかでも弥山とならぶ巨大な山塊の山です。


根っ子の這い回る痩せ尾根に着きました。


右側は樹木が生えてますが切り立ったような絶壁なのです。


過去に何回もここに来ていて通過するのが平気だったのに、長いこと大峯の険しい山から遠ざかって
いたため、高度感に慣れず、かなり怖い思いをしました。


七面山の頂上に着いたときは本当にホッとしました。


七面山から南西の方向に続く枝尾根。


その途中に私たちが七面山の馬の鞍と呼ぶ、草地があります。
七面山と1624mピークの間に広がる窪地でして、奥駈尾根から見るとまるで芝生の庭のような景色なのです。


奥駈尾根から撮ったカシバード画像で↓記号をしているところです。


馬の鞍から見る七面山と遠くに仏生ヶ岳が。
残念ながらここからは七面山の300メートルの絶壁は見えません。


仏生ヶ岳のずっと右側に釈迦ヶ岳がそびえています。


馬の鞍は釈迦ヶ岳から仏生ヶ岳への奥駈尾根の最良の展望台とでもいうべきところです。








下山は七面山から西に派生する尾根に沿って昔からある登山コースを下っていきます。


七面山からの下山コースはしっかりした山道だから楽勝、と思っていたのですが、高度感に慣れて
いない今の私には途中の根っ子の這い回る切り立った痩せ尾根の通過はかなり緊張感を強いられ、
場所によってはしゃがんで通過したくらいびびりました。過去に3回来たときはまったくそんな思いを
したことが無かっただけにショックでした。
KO-BUNさんは平気のようでした。
画像ではあまり実感できないかも知れませんが右側はかなりスパッと切れ落ちた深い崖なのです。


右側には奥駈尾根が。


やっと山腹を降りてくる普通の登山路になったとき、初めて緊張感から解きほぐされることができま
した。




悪路のジグザグ林道もタイヤがパンクすることなく無事下まで降りられ、川を渡ってあとは平坦な林
道を国道まで走るだけです。


ただ、今回の山行で期待外れだったのはこの山行を思い立つきっかけとなったインターネットで見つ
けた神仙平の画像の景色をどこからも見ることができなかったことで、どうもあのサイトの画像は谷か
らではなく、どこかの山から撮ったものではないかと思いました。

下記はカシバード画像で撮ったものですが、これは七面山と対面する山からのものです。
右から降りてくる手前の尾根の上から撮るとインターネットで見つけた神仙平の画像が得られるのか
も知れません。