カツラさんの結婚式    2010.06.27

昨年秋、カツラさんに会ったときは結婚の話なんかこれっぽっちも無かったのですが、それから半月
も経たないときだったでしょうか、突然彼女から電話があり、
「アニキ!私、結婚することになったよ!」
と言ってきたのです。
彼女は生涯、独身で通すのだろうなと半ば諦めかけていた私にとってはそれは最初、信じられない
ような朗報でした。
彼女が26才のときに私たちは知り合ったのですが、それから何十回彼女はお見合いをしてきたこと
でしょう。
その中には申し分無いような良いご縁がいくつもあったのに彼女はどうしてもその気になれない人
とは結婚できないと言って断り続けてきたのです。
彼女が30半ばになったときはこれではまずい、と私も焦りだし、最初は愛情を感じなくても一緒にな
れば自然と情愛が湧いてくるものだよ、と何度も説得するのですが、彼女は応じようとはしません。
30代も終わりという年になり、私も諦めかけていたところへのこの知らせだったのです。
どんなに私が欣喜雀躍したことでしょうか。
結婚することを知らせるのは友人では私が最初ということなので、それから私は熊野修験団、アル
バトラスクラブ、その他のカツラさんとの共通の友人にメールや電話で知らせまくったのです。
それ以来、私は病気にならないよう、ぎっくり腰をやらないよう、自動車事故を起こさないよう、細心の
注意を払って挙式の日を待ったのです。

そしてその挙式の日、6月27日、私は天王寺発午後12時3分の特急でKO-BUNさんと和歌山入りをし
ました。
JR和歌山駅に降りるのは10年ぶり、同じ熊野修験仲間ハナイさんの結婚式のときでした。
駅前には昨夜東京を出発したShibataさんがジープで迎えに来てくれてました。
これって、3人とも礼服を着てジープでホテルに乗り付けたら絶対危ない団体の集まりと思われたこ
とでしょう。
結婚式会場は駅より5分ほど走ったところにあるダイワロイネットホテル和歌山。

和歌山城のすぐ側に立っております。




ところが私はカツラさんの結婚式で自覚している以上に緊張していたのか、チェックインをすませて
ホテルの部屋に着いたときにお腹の調子が悪くなってトイレに直行。 
出すべきものはすべて出し尽くして出てきて礼服に着替える頃にはもう披露宴開始時間の10分前。 
受付に着いたのは5分前。そしたら何とカメラを忘れてきている!
えらいこっちゃ、と再び4階から17階の部屋に舞い戻ってデジカメ2つを持って受付に着いたときは
まさに午後2時。
受付を終えたハナイさんと二人して宴会場の中に。
だからいきなり写した写真が新郎新婦の入場写真となりました。




ぐるっと場内を一巡して私たちのテーブルに近づいてくるカツラさんの白無垢姿の美しいこと!

新郎新婦の席に二人がついてから来賓の祝辞が始まり、新婦側代表として述べる新宮山彦ぐるー
ぷの世話役代表玉岡さんの祝辞に聞き入る新郎新婦。


ところがこのショットを写した瞬間、デジカメのバッテリーが切れてしまったのです。予備のバッテリは
ホテルの部屋の鞄の中。
古いデジカメですが、ストロボの光量が大きいため室内の撮影では威力を発揮するはずだったのに!
とそのとき、私は大切な妹分の結婚式のときに何たる大失態!とほぞをかむ思いでしたが、気を取り
直し、すぐさまコンパクトデジカメに切り替えました。

新宮山彦ぐるーぷの玉岡さんの祝辞 
(※コンパクトデジカメはストロボの光が3メートルしか届かないので後ろの壁面なんかこんなにも不
自然な色に変わります)


次ぎにハナイさんの法螺貝の作法。

「皆様のテーブルに置かれてます座席表から新婦側の来賓は熊野修験団関係者ばかりなので、
皆様はお坊さんや尼さんばかりがやってくるのかと思われた方も多いかも知れませんが・・・」の
出だしで始まる彼の挨拶はさすが熊野修験団のホープ、ハナイ行者のものとうならせる内容で
した。


ハナイさんの法螺貝の音の美しさは熊野修験団で知らぬ者はいません。
静寂の中を朗々と響くかれの法螺貝の音は多くの来賓者の方々に感銘を与えたと思います。聞きな
がら何とも言えぬ誇らしい気持ちになりました。

鏡割りを終えて戻ってくる新郎新婦

席に座るときも来賓のスピーチを聞くときも常にきりっとした表情を崩さないカツラさん。
その白無垢姿は、後でスピーチで私が彼女のことを形容した、武家の女という表現がまさにぴったり
でした。


デジカメの光量不足を常に気にする私は意を決してメインテーブルに肉薄し、「カツラさん、カツラさん」
と小さい声で呼びかけたら彼女は気がついてくれ、ニッコリとしてくれました。「アニキ!」と言っていて
くれるようで胸がきゅんとなりました。


それではこのあたりで出席した私たちの仲間達を紹介いたしましょう。
k.君子さんとF.順子さん

君子さんは新宮山彦ぐるーぷと熊野修験団を通じて23年間のお付き合いです。松本良さんの奥さん、
邦子さんと共に熊野修験団の奥駈修行中、女性達をサポートする役割をずっと続けてきています。
順子さんは埼玉県在住なのですが、私が先達をやった最後の奥駈修行に初参加され、それから2年
がかりで全奥駈を満行したあと、サポート隊に加わって毎回のように熊野にやってこられます。
美しい言葉遣いに慎ましい立ち居振る舞いをされる彼女のことを気品が服を着ているような存在とは
カツラさんは言います。

熊野修験団の導師、高木亮英師の奥様です。今日は高木師の代理で出席されたそうですが、物静
かで穏やかでありながら熊野修験団とそこに集う人たちに深い愛情を注いでくれるご婦人です。


松本良さんの奥様邦子さんと藤本さん。
邦子さんは小柄な体格にもかかわらず、名山と言われる多くの山を制覇してきております。奥駈だけ
でなく、今まで多くの登山を一緒してきましたが、体力、気力、技術では私なんかとてもかなわない
女性です。
藤本さんはロンドの会で紹介することが多いですが、本当は熊野修験団で知り合った方なのです。
私よりも数歳年上なのに夜間に車を走らせて登山口にやってき、わずか2時間睡眠を取っただけで
奥駈に参加し、けろっとしている超タフな御仁です。
元、伊丹空港の管制塔のお偉いさんです。

新宮山彦ぐるーぷと熊野修験をずっと支え続けてきた縁の下の力持ち的存在の山上浩一郎さんと
作家の宇江利勝さん


KO-BUNさんとShibataさんです。
カツラさんが私の妹分とすると彼らは私の弟分というところでしょうか。
奥駈途中に大普賢岳の嶮岨な下山路を女性陣たちを連れて降りるとき、彼ら二人の存在がどんな
に心強いものであったこでしょう。
何を頼んでも、任せてもきっちりとそれに応えてくれ、天性そそっかしいところのある私をいつもフォ
ローしてくれる二人です。
Shibataさんは久しぶりに取りだした礼服に大きなしわがあり、やむを得ず平服にしたそうですが、こ
ちらの方がよほどカッコイイです。
彼のスーツにネクタイ姿なんて初めて見ました。


ハナイさん。熊野修験団関係者の人望を彼ほど得ている人はいないでしょう。私が先頭先達を引退
するとき、私の独断で後継者に彼を指名したことはその後の彼の活躍ぶりを見れば決して間違って
いなかったことは誰もが認めてくれると確信しています。
小田原大乗院に彼が訪れたとき、役師の奥様は「惚れ惚れするような好青年だった」と深い感銘を
受けており、彼は我ら熊野修験団の誇りであります。大手化粧品メーカーの研究室勤務です。

松本良さん(左端)は私の心から信頼し、甘えられる私のアニキ分です。


k.悦子さんと前アルバトロスクラブ代表で海洋エッセイストのE.ヒロシさん。
悦子さんはカツラさんの姉貴分としていつも身近にいて、ほとんどの彼女の悩みや相談事を聞いて
アドバイスし励まし続けてきたのです。


新郎新婦がお色直しで退席している間に熊野修験団のみんなで記念写真。


男前の輩に取り巻かれる悦子さん。こういうのは両手に何と言うのでしょう?

君子さんは奥駈サポートでいつもShibataさんには会ってますが、KO-BUNさんに会うのは何年ぶり
でしょう。


さあ、お色直しを終えた新郎新婦が登場しました。
まあ、カツラさんのウエディングドレスの美しいこと!

最初、結婚式はあげない、アニキたちが祝ってくれるのだったら蛍祭りのときのようなラフなスタイル
で熊野のどこかでやりましょう、なんて言うものですから冗談じゃない!私はカツラさんのウエディン
グドレスを見るのが夢だったのにと、悦子さんと相談し、どこでやるにしてもカツラさんのウエディング
ドレスは用意しようと決めたのでした。
幸い、新郎新婦のご両親の強い意向があったのでしょう、このように立派な結婚式を開くことになっ
たので私は本当にホッとしたものです。





カツラさんの姪御さんたち。






辛党の新郎新婦だからなのでしょうか、ウエディングケーキのカットは無く、このように積み重ねた
グラスの上にお酒を注ぎます。
新郎は蔵本の御曹司であり、カツラさんは大の日本酒党ですからね。




甥や姪御さんたちから花束贈呈を受ける新郎新婦




新郎新婦の友人たちのスピーチが始まります。
新婦側の画像だけ紹介。
前アルバトラスクラブ代表のE.ヒロシさん。
彼のスピーチの素晴らしさは定評がありますが、この日も感銘与えるスピーチでした。


多田稔子(のりこ)さん。
田辺市熊野ツーリズムビューロー会長でカツラさんの姉貴分のお一人。
彼女の努力によってカツラさん結婚の一年後の2011年5月発売の「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポ
ン」で熊野古道は三つ星を獲得。「持続可能」をキーワードに世界水準の観光地づくりを目指している
女性です。


作家の宇江利勝さん。
スピーチは大の苦手と聞いていたのになかなかに立派なスピーチでして、出版記念パーティなどに
頻繁に引っ張り出されて喋らせているうちに上手になられたのでしょう。


私はカツラさんの普段はとっても明るく、誰に対しても優しく応対する穏やかな雰囲気を漂わせてい
るのに自分の大切に思う人が他人から悪し様に言われるとき、一歩も譲らない毅然とした形相と
なり、激しく自分の大切な人をかばい、守ろうとする勇敢な姿勢に細川ガラシャや静御前のような
武家の女というイメージを抱いています、と語りました。


次々と新郎新婦と記念写真が撮られる中、私も悦子さんと一緒に撮ってもらいました。
どんなに長い年月、カツラさんとこんな風に撮ってもらうことを夢見たことでしょうか。


新婦側の友人たちの勢揃い。


花嫁による来賓への挨拶。
異例の長さでしたがカツラさんらしい率直でひたむきで誠実な人柄が自ずと伝わってくるような素晴
らしいスピーチでした。
「これからは人並みの女性となれるようスカートもはきます」の言葉にはドッと笑い声で場内が沸き
ました。
そう言えば彼女のスカート姿なんて見たこと無かったなぁ、と私も思いました。


新郎のお父様の挨拶。
40才になる男女がやっと結婚する、両家のご両親の喜びは如何ばかりでしょうか。
次から次へと縁談の話をもってきたカツラさんのお父様は感無量の想いでしょう。


この後、カツラさんはお父様に抱きつきました。


来賓を送るカツラさんたち。
実は私、この直前に挨拶したとき、カツラさんに抱きしめられたのです。
嬉しかったですねぇ。


2004年の加奈陀撫子さん、2007年の小田原のミヅホさんなど私の大切な妹分たちに続いてカツラ
さんがやっと結婚した今、感無量の想いです。
新郎新婦の末永い幸せを祈ります。