隠れ切支丹の地を訪ねて  2012.11.28

茨木市の山奥に隠れキリシタンの里があることをルーメイさんに話したところ、是非、行きたいと言うの
でマリーゴールドさんとトモコさんも誘って行ってきました。
JR茨木駅で待ちあわせ、私の車で隠れキリシタンの里、千堤寺に向かいます。
千堤寺の隠れキリシタンの里のことについてはウイキペディアの記述を参照してください。

この付近はかつてキリシタン大名として有名な高槻城主・高山右近の領地であった影響で、当時キリ
スト教信者となった領民が多く、キリスト教禁制後も隠れキリシタンとなり、山奥のこの地で信仰を密か
に守りつづけた人々がいた。1919年にキリシタン研究家の藤波大超が、この地が隠れキリシタンの里
であることを突き止め、それをきっかけに付近の多くの家から隠れキリシタン遺物が再発見された。


街中を抜けて北摂の山あいに入っていくと、ひなびた山里の景色と、盛りは過ぎてますが一面の自然
林の黄葉に「茨木市郊外にこんな山里があったのね!」と皆さん、嘆声をあげます。
JR茨木駅を出て30分ほどで千堤寺の表示があるところに到着。ヘアピン状に舗装された枝道が山を
登っていくのが見受けられ、40年前にここを訪れた時は、もう少し先の千堤寺口のバス停付近で車
を置いて、すぐ側の細い山道を笹をかきわけ上って行った記憶があり、こんな舗装道路があることは
知りませんでした。
その道に乗り入れ、千堤寺の里に着くと道はすべて舗装されて駐車場もあり、立て看もあり、民家も建
て替えられて新しくなっている等で、昔訪れたときからずっとイメージしていた隠れキリシタンのひっ
そりとしたたたずまいは失われていていささか残念な思いも抱きました。


茨木市立キリシタン遺物史料館

40年前に来た時は無かった建造物です。
茨木市の委託を受けて、千堤寺地区の住民がもちまわりで管理しており、女性が一人管理人室にい
ました。
「写真撮影は駄目でしょうね?」
「いえ。ご自由に撮影してください。ただ、ザビエル像だけは直接写すのはご遠慮ください」
有り難いことです。
内部の様子は動画で。



キリシタン信徒の墓石


その拓本です。

佐保カララ、上野マリヤなどの洗礼名が判るでしょう?

十字架入りおわん


十字架のキリスト像

両腕は外せてキリスト像は右側のケースの中にしまえるのです。

象牙のマリヤ像


切支丹抄物。

祈祷書だそうですが複製で、現物は東京大学に保管されていたのが現在行方不明になっているそ
うです。

マリヤ像(写真)


そしてあまりにも有名なフランシスコ・ザビエル像(画像はネットからの借用)

ほとんどの歴史教科書に載っているので日本人だったら知らない人はいないと思いますが、何と!この
絵は千堤寺の民家、東家で発見されたのです。
しかも驚くべきことに、この絵を収納した櫃は「あけずの櫃」として封印されて屋根裏に秘蔵され、大
正時代に開けられるまでは東家の当主でも代々見た者はいないそうです。
この絵は狩野派の絵師によって描かれたらしいとのこと。
その当時、宣教師によってもたらされた絵を参考にしてザビエル像を描いたのでしょうが、狩野派絵
師の模倣技術の素晴らしさを感じさせる絵です。

収納されていた櫃

「あのザビエル像がこの地で発見されたとは!」と3人の女性も驚きの声をあげ、ザビエル像(複製)
に見入ってました。
現物は神戸博物館に所蔵されています。

資料館を出たあと、昔私が通ってきた山道へ散策に出かけましたが、もうお昼を過ぎていることに気
がつき、すぐに引き返してきて畑の中で昼食をとることにしました。


そして再び、山道へ。


山道の雰囲気は動画で。


隠れキリシタンの里を見終えたあと、3人が行ったことのない高槻市の神峯山寺を目指します。
位置的には千堤寺から真東に8キロのところなのですが、東西に走る道が無く、市街まで戻って高
槻市に移動するのは渋滞に遭うので、千堤寺からさらに北上して亀岡市まで行き、そこから府道6
号線を南下という大変な迂回路を経て神峯山寺に行きました。
神峯山寺は「かぶさんじ」と読みます。
天台宗の寺で千年以上の歴史を持ち、同寺のホームページに下記の記述があるように、修験道に
も深い関わりがあり、熊野修験団の導師、高木亮英師のご子息もここで修行をしています。

「〜寺」と聞くと、天台宗や真言宗など仏教宗派を先ず連想する方もいらっしゃるでしょう。事実、神峯
山寺は天台宗寺院として千年以上の歴史を持つ古刹ですが、伽藍(がらん)やお堂は天台宗が伝わ
る以前から存在していたのです――。開山当時、神峯山一体は山岳信仰が盛んな霊場として知られ、
比叡山や葛城山に並ぶ「七高山」として多くの修験者が行き交っていました。


詳しくは下記のサイトを参照ください。
http://www.kabusan.or.jp/





盛りは過ぎてますが、まだ十分に秋色を楽しめます。


神峯山寺は昨年訪れた時も感じたのですが、紅葉絨毯が美しいです。






開山堂への階段

二つの階段があり、見た目よりもかなり高いです。

足の骨折経験をしているトモコさんとルーメイさんは上るのを見合わせました。

上から見ると結構怖いです。

開山堂






神峯山寺をあとにすると一路、香里園駅を目指します。
渋滞もなく30分ほどで香里園駅に到着。ここで3人を降ろして守口市駅近くの居酒屋まで電車で先
に行ってもらい、私は家へ車を置きに行って後を追います。
そして行楽あとの定番の食事会。

「隠れキリシタンの里も良かったし、神峯山寺も良かった」と皆さんが喜んでくれ、私も満足でした。