牧太郎の大きな声では言えないが…:「友人にしかられた
毎日新聞 2012年07月10日 東京夕刊
こんな記事の掲載を許すところ、まだ毎日新聞には希望がもてると思いました。

 東京・新橋の居酒屋。3月にリタイアした元官僚の友人が待っていた。
 「遅いじゃないか?」
 「スマン、一応、俺、現役だから(笑い)。毎日が日曜日? 暇だろう」
 「そうでもない。マンションの組合の理事長になったから……」
 「役付きが好きだからな。生徒会の副会長だったし」
 「会長だった○○、この間、記者会見しているのを見たよ」
 「○○? うそをつくと、小鼻を指で触るのが癖の(笑い)」
 「でも、記者さんはごまかされていたよ。パソコンをたたいてメモを取っているから、相手の表情が分
  からない……アレ、記者会見って言えるのか?」
 「パソコンが悪いんだ」
 「役所で想定問答を作ったけど“朝日の××がいるからうそはダメ”なんて……今や昔(笑い)」
 「……」
 「新聞の劣化! お前の責任じゃないよ(笑い)」
 「混むなあ。デモの流れ?」
 「6・29原発反対デモの参加者。主催者の発表が20万人、警視庁の調べが1万7000人。どっちが
  正しいの?」
 「野鳥の会のようにカウンターで調べるわけではないから」
 「それなら、新聞社が調べれば良い。こんなに違う数字を紙面化するなんて信じられない」
 「……」
 「元気だせよ! そうそう、酔わないうちに……なぜ、大新聞やテレビは週刊文春がすっぱ抜いた
  <小沢一郎妻の『離縁状』>を後追い取材しないの」
 「小沢元民主党代表は放射能が怖くて秘書と一緒に逃げ出しました、というアレ?」
 「あの手紙は本当なの? 本当なら、小沢さん、記者会見しなきゃあ。なぜ、しないの? 書かないの?」
 「俺はブログで書いている」
 「そんなこと言ってるんじゃない! 生活保護を不正受給の芸人はつるし上げるのに、新聞はなぜ、
  被災地を見捨てた政治家をそのままにするんだ!」
 「新聞は政争の道具になるといけないと判断したのだろう」
 「ウソをつけ! それならブログもやめろ!」
 「……」
 「元気のないフリをするな! 新聞は官僚いじめはするけど、政治権力には手も足も出ない? 新聞は、
  もう読まないぞ!」
 「……」(専門編集委員)