信貴山訪問   2013.05.15  by リワキーノ

仕事で藤井寺市に調律に行ったあとの午後に伺う予定だった奈良県三郷町のお客様が約束時間を
1時間半ほど遅らせて欲しいと言ってこられました。
1時間半を最初は喫茶店に入って本を読みながら過ごそうかと思ったのですが、顧客宅近くにある信
貴山にでもお参りに行ってくるかと車で信貴山に向かいました。
40年近く前に勤務先の同僚たちとの忘年会で信貴山の旅館に泊まったことがあるのですが、信貴山、
正式の呼称は信貴山真言宗 総本山 朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)を訪れたことはないのです。

信貴山という山は生駒山系が大和川のところで終わるその直前に盛り上がる小さなピークでして、人
工造築物の多い生駒山系にはあまり魅力を感じない私は、信貴山の有名な霊場にも大した期待感は
持っていなかったのですが、行ってみてビックリ!
下からは想像もつかないような複雑な地形を利用して山頂ちかくのあちこちの起伏に塔頭が建ってい
るという見事な景観をもつ広大な境内なのです。
戦国武将、松永久秀がこの地に城を築いているのですが山城としてもかなり規模の大きかったものの
ように感じる景観でした。

駐車場に車を置いて橋を渡ります。


橋の上から下を覗き込むとかなりの高度です。山頂近くにこんな傾斜の少ない(ほぼ平行)流れの谷
があるのも驚きです。




正面のピークが最高点。空鉢護法堂が頂上にあります。


この山を、「信ずべき、貴ぶべき山」として聖徳太子が命名されたことから信貴山の名になったとは
初めて知りました。

多聞天の扁額のある鳥居から入山します。正式にはこれよりまだずっと手前にある仁王門から入る
べきなのですが。




うす暗い参詣道の向こうに本堂が見えます。




本堂







本堂へ至る参詣道周囲の起伏に富んだ庭園は素晴らしいです。






銭亀善神の社の前では不妊に悩む友人女性のために祈願してきました。


本堂に着きました。


下の樹間から見た時ほどにはそう登るのにしんどさは感じません。


本堂に祭られる神仏は毘沙門天。


右手奥は玉蔵院です。ここには時間の都合上、行けませんでした。


このカップル、私がここにいた間中、ずっとこの姿勢で語り合っているのです。
歳は七十代後半といったところ。
男性の連れの女性が愛しくてならない、と言わんばかりの優しく語りかける口調が印象深かったですね。

本堂からの下り。


鐘楼。


多宝塔。高野山の多宝塔と同じかたちをしていますが、規模は小さいです。


多宝塔を過ぎてから空鉢護持堂への長いつづら折れの参道を登っていきます。
ゆるやかな坂ですが、上まで結構あります。
下りていく時に道が折れるところを数えたら15ほどありました。

ほとんどの観光客はここまで来ないので実に静寂な雰囲気です。




空鉢護持堂に到着。


南部方面の眺め。遠くに二上山、葛城山、金剛山(手前から)と重なっています。


信貴山城の石碑が護持堂から下りてきた道のそばにあります。
戦国時代に大規模な城郭工事を施したのは松永久秀(弾正)です。


信貴山城の名を有名にしたのは織田信長に叛いて信長の大軍に城を包囲されたとき、松永久秀所有の名器・平蜘蛛釜を差し出せば助命すると言われたのを断り、落城の際には平蜘蛛釜を粉々にして自らは爆死したことでしょうか。
松永弾正は斎藤道三、宇喜多直家とともに戦国三大梟雄と呼ばれています。









境内は紅葉の木も多かったので秋に来るのもいいでしょうね。


信貴山駐車場までは近鉄信貴山下駅からタクシーで10分くらいです。