細川ガラシャゆかりの城・勝竜寺城

5月25日(日)に長岡京市で仕事があり、午後の仕事までの時間に余裕があったので勝竜寺城に
行ってきました。
6年前にこの仕事が入って初めて勝竜寺城の前の道路を走った時に城の姿に気がつき、それ以
来毎年、そのまえの道路を走りながら、細川ガラシャにゆかりのあるこの城を見学してみたいと思
っていたのです。
勝竜寺城は足利義昭の家臣として全国を流浪していた細川藤高(幽斎)が、信長によって長岡の
地を治めることを認められて、初めて城もち大名となった城なのです。

車道から見る勝竜寺城


大手門と思われる虎口跡前から


虎口跡と模擬櫓

勝竜寺城は江戸時代初期に廃城となり、空堀と土塁のみが残っていたのを1992年(平成4年)に
模擬櫓、模擬石垣などを造って勝竜寺公園となっていますが、城郭の往時の姿は絵図が無いの
で分からないそうで、遺構の様子から想像して今の城郭を創建したみたいです。

虎口跡正面


虎口跡を入ったところ。左は管理棟となっている模擬櫓


北東の方角。


細川忠興とガラシャの像です。

ガラシャはこの城で幽斎の息子忠興と婚儀を執り行い、細川氏が丹後に移封するまで忠興と2年
間ここに住んだそうです。


勝竜寺城のチラシに、ガラシャの新婚時代の城と記されてましたが、後に父の明智光秀が信長
を本能寺で討ったために謀反人の娘として丹後半島の辺鄙な地に幽閉され、父は秀吉との天王
山の戦いで敗れてこの城に逃げ込み、やがて坂本に落ち延びていく途中に土民によって殺され
るという、辛く哀しい思い出しか残らない城だったのではないでしょうか。

南西の方角に天王山


東側の模擬塀


車道から見える模擬隅櫓の裏側


模擬櫓から管理棟を振り返る


北側に面した模擬塀。ここは桜の木が並びます。


北側の堀に面した通用口


堀側から。正面は管理棟


北側に面した模擬塀と隅櫓

管理棟西側の土塁の上から


南側に面した門。

本丸内は5分もあれば一周できるくらいの規模です。
時間が無かったので管理棟の見学は省いたのですが、管理棟にはガラシャゆかりの品々の展示
パネルが設置してあるそうです。
勝竜寺城のチラシに下記の説明があります。(画像はネット上から拝借)

@細川ガラシャ消息

「そうしゅん」にあてて、瓜が届いたお礼を述べたもの。
優美な筆の運びから教養の高さがうかがわれる。

A梅鶯図・月下松図袱紗


梅の枝にとまる鶯を描いた袱紗。裏面には月下の松が描かれている。表裏ともガラシャが描き、
自ら袱紗に仕立てたもの。

B露払(細川忠興所用)


忠興のために、ガラシャが自ら織って仕立てたといわれる雨具。忠興の長男で、廃嫡された細川
忠隆の家系に伝えられた。


C九曜紋鐘

日本の釣り鐘と同じ技法で、ヨーロッパ風に作ったもの。
細川家の九曜紋をあしらっている。ガラシャをとむらうため、忠興が小倉城下の南蛮寺に納めた
ものと伝わる。


私、リワはBの露払に関する記述に深く心を奪われました。
なぜならここに記されている、廃嫡された細川忠隆の直系の子孫が、近畿修猷会「音楽を楽しむ
会」の世話役をされている永野さんの奥様、カナコさんだからです。
彼女から系図のコピーを見せてもらったことがあります。
細川忠隆は何故父親によって廃嫡されたか。
それは関ヶ原の戦いのときに大阪城の人質となるよう石田三成に迫られたガラシャが拒否して屋
敷に火を放って自害したのですが、そのときに忠隆の妻が姑のガラシャと生死をともにせず、生き
延びたことに対して忠興が激怒して息子に妻との離縁を迫ったのに対して忠隆が拒否したからだ
そうです。
忠隆は織豊時代の大教養人として有名だった祖父の細川幽斎にも非常に可愛がられたという文
武に秀でた武将だったようですが、それにもかかわらず、妻を離縁することを拒否して廃嫡に甘ん
じたことに私は細川忠隆に対して強い興味を感じます。
忠隆の妻、千代は前田利家とまつの間に生まれた娘で、末娘だったため、まつに非常に可愛がら
れたそうです。
ちなみに有名な豪姫は千代の姉にあたります。
豪姫を養女とした関白秀吉が、女でなかったら関白にさせたのに、と残念がるほどの器だったそう
ですから、その妹の千代もさぞかし才気優れた女性だったのでしょう。だからこそ、忠隆は深く愛し、
離縁を拒否したのでしょうね。
ガラシャが自害するとき、屋敷内の侍女・婦人を全員集め「わが夫が命じている通り自分だけが死
にたい」と言い、彼女たちを外へ出したそうですが(ウイキ記述)、千代だけが別行動を起こして豪
姫の嫁いだ宇喜多家に逃れたことに忠興は激怒したようです。
父、忠興はガラシャを深く愛し、息子、忠隆は千代を深く愛するという親子二代にわたる愛妻ぶりに
私は感銘を受けます。

細川忠隆については下記のウイキの記述を参照ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E5%B7%9D%E5%BF%A0%E9%9A%86