ノルウェー国王ホーコン7世

小春ページの編集長の、下記のノルウェーレポート等に刺激されてこのページを作成しました。
Capt.Senohのノルウェー旅行記


ホーコン7世
ノルウェー国王といっても現在の国王ではありません。
ノルウェーが1905年にスウェーデンから独立したとき、デンマーク王家の王子が国王として迎えら
れたのがホーコン7世です。
ノルウェーは14世紀から18世紀まではデンマークの支配下に、18世紀から20世紀はスウェーデン
との同君連合を組んでたのです。

1905年といえば日露戦争の起きた年。
その年から1957年までの52年間、ノルウェー国王として在位したのです。
日本で言えば明治時代の終わり頃から昭和の前期。

バスに一人で乗っていたら前に座っていた婦人に
「どこかでお見かけしたことがありますね」
と言われ、
「国王のホーコンです。新聞で私の写真を見られたのでしょう」

ホーコン7世は積極的に一般民衆との接見の場を設けていたが、ある男性の接見のとき、その男
性はすっかりあがってしまい、もじもじするだけだったが、
「すみません。私は王様とお話しすることになれてませんので・・・」
と言うと
「いえ。私もまだ国王になったばかりで、なれてないのですよ」
と答えたということです。

以上は亡父が購読していたリーダーズダイジェスト日本版に載っていたホーコン7世のエピソードで、
中学生のころに読んで、それ以来、この国王に大変興味を持つようになったのです。


ホーコン7世は第二次大戦勃発でナチスドイツが侵攻してきたとき、断固として戦い抜くことを決意し、
最初は英仏軍の応援を受けて互角に祖国防衛戦を戦ったのですが、フランスがドイツに敗れ、英
国にドイツ軍の攻撃が集中しだすと、ノルウェー救援どころではなくなった英国軍がノルウェーから
撤退したために、たちまち戦局は悪化しました。
国王の所在とおぼしきところを次々と空爆するドイツ空軍の追跡を逃れて、ホーコン7世と政府閣
僚たちはノルウェー国内を転々と移動し続けるのですが、やがて英国海軍の手によって英国に亡
命し、そこに臨時政府を樹立して、国外から国民に、ナチスによって樹立された傀儡政権に従うこと
なく、徹底抗戦を呼びかけるのです。
ベルギー、デンマーク、オランダ、ルクセンブルクなどの立憲君主制の国々が、次々とドイツの保護
下に入ったあとも屈指することなく、抵抗し続けたホーコン7世が戦後ノルウェーに帰国したとき、国
民は熱狂的に迎えたそうです。

今でもホーコン7世はノルウェー国民の尊崇の対象となる国王なのではないでしょうか。
第一次世界大戦で侵攻してきたドイツ軍に徹底抗戦したベルギーのアルベール1世が今でもベルギ
ー国民の崇敬の対象となっているように。