散り行く桜    近所の桜の風情  2016.04.07

「満足の内にこれから散り行く姿を見届けます」
小春ページ伝言板の小春ママさんのお言葉に妙な感銘を受け、「散り行く桜」の姿に深い興趣が
湧きました。

たまたまその翌日に関西の桜の名所で有名な西宮市の夙川に行く用事があったため、私はここ
で散り行く桜を見るのだろうかと思ったのですが、5日の夙川〜苦楽園の川沿いの散策コースで
はまだまだ桜は散る姿は見せてくれませんでした。


この日はブーケの会の集まり。
病み上がりの私は音楽会の記録は一切取らず。
会が終わったあと、辰巳先輩のお気に入りのHTさんと3人だけで苦楽園口の飲み屋で一杯。


翌6日に、あるコンサートに行くのに同志社香里高校前のバス停をバスが1分早く行ってしまっ
たので15分待つ羽目に。
そこでバス停近くの桜を動画で写し回ったのでした。

枝振り、たたずまいのどれをとっても夙川の桜に遜色を感じるものではない風情があります。

そしてコンサートを終えて夕方に帰ってきたときのバス停近辺の桜は散り具合を一段と強めて
おりました。
河川の花筏の量の増加がそれをよく表しています。


そして今日の7日。
グランドピアノ2台の仕事を終えて疲れて帰宅した私がダイニングルームの食卓にどかっと腰
掛けてビールを飲むとき、窓の外に桜の美しい光景が広がります。
早くから開花したこの桜は近所の桜の中でももっとも花の命を保つ樹でして、今日も散り際間
近の美しさを保っております。
しばし呆然とグラスを重ねる私のそばに家内が鶏肉と椎茸を焼いた皿にマグロのお造り、もず
くの酢物を出してくれます。

これらの肴をビールから日本酒へと移り食しながらの窓辺からの花見は素晴らしい情趣を私に
与えてくれました。

「百人一首には桜を歌った歌が少ないわね」と家内がつぶやきます。
家内ほど百人一首には関心が無い私は、そうなのかと思い、すぐさまスマホで調べてみたところ、
何と桜を歌った歌はわずか6首。
100分の6ですから一割にも満たない。驚きました。その少なさを感じ取っていた家内にも感銘
を受けました。
ちなみにその6首は下記のとおり。
66首の大僧正行尊の歌は大峰山中で歌われた歌です。

09 花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに  小野小町
33 久方の光のどけき春の日に しづこころなく花の散るらむ         紀友則
61 いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな       伊勢大輔
66 もろともにあはれとも思へ山桜 花よりほかに知る人もなし        大僧正行尊
73 高砂の尾上の桜咲きにけり 外山の霞立たずもあらなむ         前中納言匡房
96 花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり        入道前太政大臣


春の嵐に翻弄される桜の樹の激しい揺れに私は窓を開けて霧雨が身体を打つのも気にかけず、
目の前の桜の姿に見入ったのでした。


私も小春ママさんと同じく、深い満足のうちに散り行く桜を見届けたのです。