阿蘇山・根子岳遭難記憶 2015.10.25
Capt.Senooが根子岳に登山に行って遭難したときの記録です。
尾根から40メートルを滑落して重傷を負ったもの、助かったのは奇跡としか言い様のないものを感じます。
そして私がもっとも感銘を受けたのが、身体を移動するのも精一杯の状態の中で救命を求めるために彼
が取った冷静な行動でした。
以下、熊本県警の報告書と彼の手記を動画を参照にご覧ください。
https://youtu.be/K__1Stctl5E
警察の記録文書
【遭難】阿蘇、根子岳:行方不明の男性(67)救助記録
<根子岳>
熊本県阿蘇郡高森町にある、阿蘇五岳のひとつ。
最高点、天狗峰の標高は1433メートル。
25日午後4時40分頃、
男性と一緒に登山をしていた友人が「福岡に住む60代の男性が遭難した」と通報。
警察、消防が午後10時15分頃まで男性を捜索するも発見に至らず。
2015年10月25日、
熊本県、阿蘇山の根子岳(1433メートル)で行方不明となっていた福岡市の無職男性(67)について、
26日午前9時半頃に発見。
2015年10月26日
【遭難】阿蘇、根子岳:行方不明の男性(67)救助
26日は午前7時頃から約40人、ヘリ2機の態勢で捜索し、
午前9時半頃、登山道から約50メートル下に滑落している男性を発見、救助。
男性は負傷しているものの意識あり。
Capt.Senooの手記
10月25日ドローン空撮終え午後2時頃、同行二人との約束合流地点に向かう。
通常登山路行けば良いものをショートカットして急峻なガレ場通過中に突然身体左サイドに衝撃、空中を
舞った感じ受けるも意識消滅。
どれ程経過したか定かでないが気付いたら、岩だらけの谷底に居る。
頭部と右手に裂傷、血が噴き出して止まらないから移動は無理だと悟る。
しか~し、同行者に連絡・連絡しようとしたら、、、何?圏外の表示!?
空撮モニターしたスマホは絶景写真送付多々でバッテリー切れ寸前。
仲間も心配の筈、何か窮余策を考えろ!と己を叱咤激励する。
誰がためにドローン!?意識朦朧と格闘しつつ機体の電池とスマホを接続し電力移動。
スマホ再起動して通話、やっぱり圏外。でもお不動様のご加護、LINEが動作した!
「熊本県警に救助ヘリ要請頼む、民間は駄目!遭難地点は・・・」送信!
やったぜ!
既読確認したら再び圏外で交信断絶、そのまま寝入ってしまった。
10月終盤山中は痺れる寒さ、眼が覚め天仰げば銀色の月光ソナタ、世界で一つ。
そんな紅葉の織りなすシーンに癒されるが、次何やれば良い?と自問。
既に仲間から県警への連絡でレスキュー隊は動き出してる時刻・・・
木立が茂るここから場所移動せねば救助隊には発見困難と思われ、上空の開けた処まで何とか這って
行かねばと這うようにして移動。
夜明けは零度近く、日帰り軽装で防寒はお粗末、震えつつもドローンのカバーを身にまとってその時を待つ。
音が聞こえる、微かにヘリのサウンドが、次第に近くにやって来るが、上空から紅葉山中に埋もれた遭難
者発見は至難の技だろうと推察。
近くまでヘリは接近、でも視認してくれない、ジャンパー裏返しでアピール。
見ろよ、赤に黄色に緑色、、、これって紅葉色そのもの、駄目だコリャ!
リュックの中から保冷剤の包を引っ張りだし銀色反射面をパイロットに向けて振る・振る、太陽光の反射利用
している、何とか気付いてくれ!
ヘリ接近も数度、ぐっと寄って来て「確認しました、動かないで下さい」の機上からのアナウンス。
助かったぞ!
半時ほど経過、救助用具一式備えて再びヘリ接近。
同じ頃、地上班も断崖降りて来てテキパキと段取りが始まった。
ヘリから降下隊員が地上へ、、、生まれて初めてのヘリ搭乗。
熊本県警の”ひばり号”、民間機じゃないよね!?
恥ずかしながら一路熊本の、赤十字病院まで空輸されました。
退院後日談 : 高森警察署に出向いてご挨拶。
「良かったです救助出来て、まだまだ多くの行方不明者が眠る山なんです、根子岳は」