「オランジェリー」  小春ページ伝言版2010年2月より

駄才小寒さんが2010年2月に投稿した記事をメモ帳に残しておいたのですが、結構面白いのでここに
編集して載せました。

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4642 素敵なご婦人との会話 投稿者:駄才小寒 投稿日: 2月11日(土)11時21分18秒    編集済
(※下記のは >印 はリワキーノの投稿)
>これは私の願望なのです。この日、午前中にお仕事に行った先のご婦人が大変
>素敵な方。そしてその方との会話がこれまた素敵なので、そのことを予測して
>私は”素敵なご婦人とデート”と記した次第です。ワカリル?

いえ、ワカリマセンデシタ。
願望デートでは、こういう会話が交わされるのですか。

リワキーノ :奥様、これで調律が終りました。いかがでしょう?
素敵なご婦人:まあ、リワキーノさん、何て素敵な音でしょう。ピアノがすっかり
         生き返ったようですわ。
リワキーノ :お褒めに頂いて光栄です。
素敵なご婦人:お茶と和菓子かケーキと珈琲のどちらがよろしいかしら。
リワキーノ :どうぞお構いなく。私はこれで。
素敵なご婦人:そんなこと仰らずに。ちょっとだけ私のお相手をして下さいな。
         リワキーノさんとお話するのってとても楽しいの。あっ、ちょうど
         オランジェリーのケーキがあったわ。珈琲を入れて差し上げましょう。
リワキーノ :恐れ入ります。
素敵なご婦人:(珈琲を入れながら)リワキーノさんって、本当にお顔がお広いのね。
リワキーノ :いえ、私は顔は縦には長いですが、横にはそれほど広くはありません。
素敵なご婦人:まあ、リワキーノさんたら。おかしいこと。(ほほほ)
リワキーノ :私のHPにはけったいな友人が集っていますが、中でも陸奥にいる
        友人は「いい性格」をしておりまして。あの福岡の和尚とはまた別の
        意味でアゲアシトリなのです。先日も私が・・・・(略)
素敵なご婦人:まあ、本当に「いい性格」をしていらっしゃるわね。一度お顔を拝見
        してみたいわ。
リワキーノ :お見せするほどの顔ではありません。何しろ、高校の頃からの文藝趣味
        には年季が入ってまして、自分のことをダサイコサムなどと称している
        不遜な輩です。研究が商売なのに、商売には励まずに、今でも文学や
        音楽に現を抜かして、筆しげく談話室に通って来るのです。
素敵なご婦人:まあ、それも談話室が心地好すぎるからではありませんか。
リワキーノ :あっ、そろそろお暇をしなければ。オランジェリーのケーキは本当に
        いつも美味しいですね。
素敵なご婦人:これ、バレンタインのチョコレートです。どうぞ召し上がって。
リワキーノ :それはいけませぬ、奥様、バレンタインチョコなど。私だけ貰ったら
        談話室の皆が羨望、嫉妬、はては怨望して恨みを買ってしまいます。
素敵なご婦人:まあ、そう固いことを仰らずに、皆さんにお見せしなければよいこと。
       今度もまた面白いお友達のことをお聞きしたいわ。
リワキーノ :そうですね、見せなければ・・・。はい、もういろいろと取り揃えて
       ご用意いたします。
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4643 Re:素敵なご婦人との会話 投稿者:手打ち庵 投稿日: 2月11日(土)21時40分17秒

駄才先生

いつから作曲家を鞍替えして、脚本家になりました?
それとも、いよいよ学者も飽きてしまったので、脚本家への道を歩ま
れますか?

ところで、羨むには、マイナスの意味合いだけではなく、平安の昔
からプラス志向の積極的な使い方があるようです。

「人も羨む鴛鴦夫婦」なんて言い方もありますしね。
なに、我家のことを言っているのではありませんぞ。

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うらやむ【羨む】
〔他マ五(四)〕(「心(うら)病(や)む」の意)
1 他人が自分より恵まれているのを見て、憎く思う。ねたむ。そねむ。*書紀‐推古一二年四月
(岩崎本訓)「群臣百寮、嫉妬(ウラヤミねたむこと)有ること無かれ」
2 人がすぐれているのを見て、自分もそうなりたいと願う。*古今‐仮名序「花をめで、鳥をうら
やみ、霞をあはれび」
Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)小学館 1988
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4644 Re×2:素敵なご婦人との会話 投稿者:リワキーノ 投稿日: 2月12日(日)00時39分1秒

駄才さん

手打ち庵殿の言葉を聞くまでもなく、貴兄は職業を間違えられたようですな。
脚本家の道に進んでおられたなら忸怩たる思いにもなられなかったでしょうに・・・
しかし、笑いましたぞ。
そして驚きました。
この素敵なご婦人の雰囲気を会話の内容はともかくとして、その雰囲気を何でこんなに的確
な会話体で表現できるのでしょう?
これは真面目にお尋ねしたいのですが、私がわざわざデートと断った訪問先の顧客ご婦人は
このような会話をするタイプに違いないと思われたのですか?
もう一つ、感銘を受けたのが、この素敵なご婦人と私の間で交わされる会話の言葉が大変美
しい日本語であることです。さすがは文藝趣味男と言われるだけの学者先生の手になるもの
と感銘を受けました。
今日、『美輪明宏のおしゃれ大図鑑』という本を読み出し、その美輪さんの「美しい日本語を使
うことによってあなたは美しくなれる」という文章を読んだばかりでしたのでこの駄才さんの短
い脚本には感銘を受けました。
私の気まぐれな書き込みにこのような素敵で諧謔溢れるメッセージを寄せてくださり、心から
感謝しております。
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4645 「うらやむ」について 投稿者:駄才小寒 投稿日: 2月12日(日)01時00分3秒    編集済

>ところで、羨むには、マイナスの意味合いだけではなく、平安の昔
>からプラス志向の積極的な使い方があるようです。

手打ち庵さん、御教示有難うございます。私も調べてみました。確かに
広辞苑、大辞林などは、二通りの意味を示しています。ところが、私の
愛好する新明解は、【羨む】を次のように説明しています。

 望ましい相手の状態を見て自分もそうなりたいと思う(が、そうなれ
 なくて不満に思う)。

「羨む」の語源は、「心(うら)病む」だそうですね。なぜ心を「うら」
と呼ぶかといえば、昔の人は顔など目に見えるところを面といい、目に
見えない心を「うら」と呼んだそうです。うら悲しい、うら寂しい、占い、
恨む、などは心と関係が深いとか。そこで、羨むは「心病む」ですから、
これはやはりマイナスの意味合いが強いのではないでしょうか。

古今仮名序で貫之さんが「鳥をうらやみ」で云いたいのは、鳥のように
飛びたくても飛べないので不満に思う、その心が歌になるということ
ではないでしょうか。だから私は多くの辞書が二つの意味を並列している
のは、誤りではないかと、不遜にも思うのです。新明解のように
「そうありたいと思う。が、そうなれないので不満に思う=心病む
(=羨む)」というのが、本来の意味ではないかと考えています。

ここまで書いてきて、一つの思いに取り付かれてしまいました。
それは、昔の人にとって、羨む心の状態というのは、必ずしも
不健全と考えられていたのではなかろうか、ということです。
羨みも恨みも人の心の一つの状態であると考えていたのではないか。
福沢の『学問のすゝめ』は「羨む」を、諸悪の根源と考えています。
『学問のすゝめ』は周知のように西洋思想の強い影響の下に書かれています。
もしかしたら、「怨望」に対する攻撃には、キリスト教思想の影響が
あるのではなかろうかと思うのです。
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4646 Re×3:素敵なご婦人との会話 投稿者:駄才小寒 投稿日: 2月12日(日)22時37分49秒

>これは真面目にお尋ねしたいのですが、私がわざわざデートと断った
>訪問先の顧客ご婦人はこのような会話をするタイプに違いないと思われた
>のですか?

真面目に尋ねられると困るのですが、特にこのようなタイプの婦人と思って
創ったわけではありません。リワキーノさんはあまりテレビを見られないから
ご存知ないかもしれませんが、このような言葉使いをする人に黒柳徹子が
います。きれいな日本語を話す人です。この人の話し方を真似てみたのです。
TVは悪い影響を与えるだけではありません。

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4647 オランジェリー 投稿者:リワキーノ 投稿日: 2月13日(月)22時31分43秒

「オランジェリーのケーキってどんなケーキなのかしら」と家内が言います。
「さあ、知らない。ただ、あまりマジにとらない方がいいかもしれないよ。何しろ、この御
仁、何食わぬ顔して人を担ぐのが上手だからね。前にも、たまげたの由来を猫の玉が下駄を
履いて外出したのでみんなが驚愕したことから、たまげた、という言葉ができた、と涼しげ
にいうものだからみんな信用しちゃってさ、萬凛ちゃんなんかお母様にも伝える始末だった
んだよ」
「ひえぇぇ!」(駄才教授に対する家内のイメージがガラガラ音を立てて崩れていく)
「そうだろう?信じられないよな。萬凛ちゃんの件ではさすがに彼も懲りたのかしばらくは
大人しくしていたんだけれど、やはり、病気というのはまた出てくるんだね。宗教の話しに
なったとき、リワキーノ・ブッタ様なんて僕に呼びかけてくるんだよ。すぐさま、「僕は人
をブッタことはありまっしぇーん」という書き出しで一矢報いようと思っていたのだけれ
ど、その頃、僕は忙しかったからつい書きそびれていたんだ。そしたらやっこさん、痺れを
切らして、自分からブッタの話しを切り出してくるんだよね。ちゃんと私が引っ掛かってく
るのを計算してブッダをわざとブッタにしたみたいなんだ。油断も隙もありゃーしないって
御仁なんだよ」
「ふ~ん。じゃ、オランジェリーもそのような餌というわけなの?」
「僕はそうにらんでいるね。ほら、ランジェリーって下着という意味だろう?」
「ランジェリー?なんであなたがランジェリーの意味を知ってるの?あなた言語攘夷主義者
でしょ?」
「そんな・・僕だってそのくらいの知識はあるさ。なにしろ僕には女性の友達がたくさんい
ることは君も知っているだろう?」
「何が女性友達がたくさんいるって言うのよ。気のいい中年のおばさん、という感覚でみん
なあなたを利用しているだけなのを未だに判ってないのね?本当におめでたいというのか、
シワヨセな人だこと。それにしてもプリーツスカートをブリーフスカートと言い間違えたあ
なたがランジェリーの意味を知っているなんて不自然だわ。どこで知ったのよ、ランジェリ
ーの意味を!」
「・・・・・・」
(ヒエエェ!やぶ蛇、とリワは冷や汗をたらたら流しながら口もパクパクするだけである)
「ま、いいわ、そんなこと。で、だから駄才先生はランジェリーに引っかけて何を言いたか
ったとあなたは推察するのよ」
「そ、そうなんだ。駄才さんはね、恐らく、”おお!ランジェリー”と私に言わせたかった
のと違うかな。ほら、シャンソンにもあるじゃない、”おお、シャンゼリゼー”って歌が。
僕が思うに、駄才さんは素敵なご婦人にホワイトデーに下着を送ったら、という誘いかけを
しているんじゃないかと思うんだ。ほら、彼って端正な風貌をして雪の祈りなんてロマンテ
ィックな曲と詞をを作る割にはむっつり○○○○というところがあるように思えない?」
「そんな下世話なことを私は知りません!しかし下着を女性に送るなんて、それは妻か恋人
以外には許されないこと。そのタブーを駄才先生が知らないというのなら、それは○○○○
にしろ、いい性格にしろ、それらを通り越して非常識人です!それにランジェリーとシャン
ゼリゼにどんな関係性があるっていうのよ!馬鹿馬鹿しくて聞いてられないわ」
(リワキーノ、しょぼんとして沈黙)
「何を落ち込んでいるのよ。それよりもあなたが得意とするインターネット検索でオランジ
ェリーを何故検索しないのよ!」
ハッとしたリワキーノは急いで検索する。そしたらこんなサイトが見つかりました。
しかし何の関連性を見いだせませんでした。
https://kotobank.jp/word/%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC-171344

やはり、私の推察が当たっているのでは・・・・