俳句の基本・その3 「切れ字」

有季定型の次に俳句独特の「切れ字」について少し説明します。
切れ字といえば「や」「かな」「けり」が代表です。
いずれも作者の感嘆、詠嘆などの感動を表現するツールです。 
それぞれの特徴は、

●「や」は主に上五、中七に使われて、感動を表すとともに1句を分割する機能があります。
要は、そこで景(シーン)を切り替える機能です。

●「かな」は主に下五で使われますが、上五、下五でもよく見受けます。
「〜だなあ亅という余韻の残る詠嘆です。

●「けり」も主に下五で使われることが多いです。
「かな亅よりは上五、下五では使われないようです。
「けり」は「けりをつける」とも言われるようにきっぱりと言い切る感じがします。
「けり」は強い切れ字です。

「かな」は現在の感動
「けり」は過去の感動
と理解するといいてしょう
それでは、例句で見てみます

1、「や」
 ●しぐるるや駅に西口東口  安住敦

「しぐれてきたなあ亅と感情表現があり、ここでポーズが入ります。
一呼吸置いて、視線が一転して雨から駅のことに移ります。
間を入れて場面転換させるのが「や」の大きな機能です。
これで俳句にリズム感と広がりが生まれてきます。
「や」の力は絶大です

2、「かな」

 ●流れ行く大根の葉の早さかな

高浜虚子の名句です。
下五の「早さ亅に「かな亅が付いているので、
「大根の葉が流れていくのが、なんと早いことだろう亅
と、詠嘆してゆっくりとフェードアウトしていく、という感じです。

全体の景としては、ちぎれた大根の葉が小川を早く流れて行くなあ、ということです

ここから先は想像を広げます。
小川の上流で、お百姓のおかみさんたちがあかぎれで手を真っ赤にさせて、一生懸命収穫してきた大根の泥を落として洗っている姿や、早い流れの小川の冷たそうな澄んだ水などが想像されてきます。
俳句は読み手が自由に想像を広げて鑑賞するところに特徴があります。
私の独断では作者の言いたいことなどは無視してもいいとすら思っています。

3、「けり」

 ●赤い椿白い椿と落ちにけり

河東碧梧桐の名句です。
碧梧桐は虚子と同様に正岡子規の弟子でした。
しかし、虚子等の有季定型の俳句に飽き足らず自由律俳句を創出させた俳人でもあります。
この句は上五が6音なので、675の字余りですが立派な定型に収まってます。
「椿」が冬の季語になります。
「赤い椿と白い椿が落ちていたなあ亅
ということしか言ってませんが、まるで日本画の屏風絵のように華やかな色彩の景を感じさせてくれます。
この単純さは私の理想とする俳句です。

俳句の鑑賞の大事なことは俳句を読んで意味を追求しないことです。
あくまでそこに提示された言葉から想像することを楽しむようにするべきです。

大体以上が切れ字のことです。
更に詳しくはネット検索や入門書などを開いてください。