ジャズ入門の入門・・その2    怪人百面相
ビル・エバンス

前回は「ウィズ・ストリングスもの」の紹介をしましたね。

今回は、もうひとつの入り口・・・曲から入るということをお話ししましょう。
自分の良く知っている曲、好きな曲がかかると、やはり聴いてしまうものです。喫茶店や バーなんかで経験しますね。
ジャズの中にはそういう名曲やポピュラーな曲を演奏したものがたくさんあります。
しかも、演奏者によって随分違った演奏になります。それは、彼らが曲を素材に一生懸命自分の個性、オリジナリティーを出そう
としているからです。 そういう聴きづらいアドリブのパートでも、知ってる曲ならつい聴
いてしまう、というメリット もあります。
それでは、そういうよく知られた曲のジャズバージョ
ンを紹介しましょう。
なんといっても、最初は有名な「枯葉・・オータム・リーブス」です。誰でも一度は聞 いたことがあるのでは・・・いったいどれほどカ
バーがあるか分か
り ません。毎月の新譜にも必ずどれかに入っています。
では、「枯葉」の名盤といえば、 「ビル・エバンス/ポートレイト・イン・ジャズ」1959 出まし たね。女性に一番人気のあるビル・エバ
ンスです。枯葉ピアノで、 これはピアノ・トリオで演っています。

「キャノンボール・アダレイ/サムシン・エルス」1958 サックスのキャノンボールのリーダー作になっていますが、真のリ ーダーは
トランペットのマイルス・デイビスです。マイルスのミュ
ト奏法が秋の夜長にぴったり。(ミュート奏法とはお椀をかぶせて音を抑
える方法です。)

次はクラシック・ファンが楽しめるジャズを。 昔からクラシックのジャズ演奏といえば、オイゲン・キケロかバッハで有名なジャック
・ル ーシェと相場が決まっていました。しかし、現在一番人気があるの
はなんといってもヨーロピアン・ジャズ・トリオでしょう。
美しい演奏にうっとりし
ます。さらに、このトリオ にはジャズのスタンダードをいれたアルバムもたくさんあって楽しめます。
クラシック曲のアルバムとしては「哀しみのシンフォニー」、「幻
想のアダージョ」、「マドン ナの宝石」などがあります。

次に映画音楽はどうでしょうか。
これもジャズにはたくさんあります。映画音楽のオリジナルがジャズというのもたくさんあり ますね。マイルスの「死刑台のエレベ
ーター」とか、MJQの「大
洪水」なんかそうですね。 ここではソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ主演「ひまわり」を紹介
しましょう。 切なくなるようないい曲ですね。大好きです。是非、聴いてくださ
い。
「マッコイ・タイナー/プレリュード&ソナタ」1994 これには、「シェルブールの雨傘」も入っています。
もう一枚、「寺井尚子/オール・フォー・ユー」2001 寺井尚子はヴァイオリンでジャズを演る若手ですが、なかなか聴き応えがあり
ますよ。

映画音楽は大好きなのでついでにもう1曲行きましょう。 オードリー・ヘップバーン主演の「シャレード」というサスペンス映画があり
ます。 その主題曲「シャレード」。先ほどの「ひまわり」と同じヘンリー
・マンシーニの曲です。 そのジャズ版を。「サヒブ・シハブ/ジ
ャズ・パーティ」1963 「えっ、これがシャレードか」、とびっくりしますよ。

えい、ついでにもう1曲行っちゃう。映画音楽は好きだからなぁ。
ボサノバの「黒いオルフェ」です。
正確には「黒いオルフェ」という映画の挿入歌の「カーニバルの 朝」という曲です。実にいい曲です。
ORFEU NEGHO
お薦めはなんといってもこれ。「デクスター・ゴードン/ゲッティン・アラウンド」
1965
デクスター・ゴードンはテナー・サックスです。このアルバムの「黒いオルフェ」は有線で もよくかかります。あと、インスト、ボーカル
とたくさんあります

私も53種類ほどのバージョンを集めています。曲がいいからどれもいいです。
シリーズの最後はラテンの名曲「ベサメ・ムーチョ」です。
私が「好きな曲のカバーコレクション」に走るキッカケの曲です。カバーしたアルバムはた くさんありますが、アルト・サックスのアート・
ペッパーで決まり
です。
アート・ペッパーのアルバムを2種類紹介しましょう
「ジ・アート・ペッパー・カルテット」1956
アートのベサメといえばこの盤のことを言います。 「ファースト・ライブ・イン・東京」1977 私が感動するのはこちらの盤です。
なぜ、これで感動するのでしょうか。それは、次回のお楽しみに。