浪花教会におけるコンサート          2024.03.30

私の顧客、K.ユミさんが出演する教会でのコンサートに行ってきました。
会場の浪花教会は創立147年。今の会堂ができたのが97年前という日本基督教団の古い教会です。
淀屋橋駅から徒歩7分のところにあります。




後方の壁にはパイプオルガンが。


K.ユミさんは彼女が小学生のときから調律に行っています。
歌曲、ピアノソロ、ピアノ連弾、クラリネットとバラエティに富んだ演奏会でしたが、何と言っても素晴らしか
ったのはK.ユミさんの「リゴレット・パラフレーズ」の演奏でした。
決して私の顧客ゆえの贔屓目ではありません。
(前列右から二人目がK.ユミさん)


それまでにピアノ連弾で演奏されたハンガリー舞曲の3曲が高音の音が耳に突き刺さるような音の連続
で家内共々、浪花教会の音響の悪さに辟易していたのですが、K.ユミさんの演奏もフォルテやフォルテ
ッシモの多い激しい曲相なのに、つんざくような高音の響きは無く、しかも常に緊張感を漂わせる構成を
持った盛り上がりを何度も見せる演奏であり、ハイテクニックの技巧面だけが表に出やすいこのリストの
作品を叙情的にさえ感じさせるものがありました。

これはきっとリハーサルで他の人たちの演奏を聞いて高音が響きすぎることを察知し、高音の強打鍵を
抑え気味にし、その代わりにピアニッシモの小さな音をより小さく奏でさせるという、いわゆるダイナミック
レンジ(音の強弱の幅)を小さい方に移動させての演奏なのではと思ったのです。
K.ユミさんが意識してそうされたのかは不明ですが、恐らく響きすぎる高音を強く意識しての演奏が自
然にそのようになったのではと思いました。

私以上にハンガリー舞曲の演奏に耐えがたい思いをしていた家内の感動ぶりは凄く、演奏会後、K.ユミ
さんをつかまえて延々と自分の感じた感動を述べていました。
「リゴレット・パラフレーズ」についてはK.ユミさんの録画は無いのでYou Tubeに出ている演奏を参照ください。
https://youtu.be/cqH3a9F7gv0

他にとても印象に残ったのが女性三重唱で歌われた瀧廉太郎の「荒城の月」ですが、ピアノ伴奏は何と、
ベートーヴェンの「月光ソナタ」なのです。
勿論、編曲がなされているのでしょうが、実に合っていて女性三重唱の美しさとともに、K.ユミさんの叙
情的なピアノ伴奏にも聴き惚れました。

このところ、立て続けに私の顧客たちが出演する演奏会が続いていますが、いずれのときも私の顧客が
際だった演奏をされるのを見て、調律師冥利に尽きる思いです。