本『虚弱に生きる』 by荻原魚雷(ライター) 2026.01.31
毎日新聞「話題の本」での紹介記事です。
どうもまわりの人と比べて 「体力がない。すぐバテる。疲れもとれない。やる気も出ない。そんな悩みを抱えて
いる 人に朗報・・・・・とは言えないかもしれないが、『虚弱に生きる』(絶対に終電を逃さない女著・扶桑社・1760円)
は一読の価値あり。
1995年生まれの著者が突然、体にガタがきたと自覚したのは21歳、大学3年のときである。体力がなさすぎて
就職せず、文筆家になった。 20代半ばに膝が悪化し、歩くことさえ一苦労。はっきりとした病気ではないのに謎の
不調が続く。
「ただ生きているだけなのに身体も精神もボロボロだった」
若くても虚弱な人はいくらでもいる。疲労感には個人差がある。どんなに疲れていても、そのしんどさはなかなか
理解してもらえない。怠け者と思われるのがオチだ。
自身の不調について弱音をこぼしてばかりいるわけではない。毎日自炊し、ラジオ体操や筋トレをする。自己管
理に関してはアスリートのようにストイックなのだ。
日常生活を送るための研究と実践を怠らない。同時にして無理はしない。
何を食べ、どうすれば元気になるのか。日々の食事や運動を通して微妙な体調の変化を知る。体にたいする理解
が深まるにつれ、20代前半より今のほうがマシになった。
一日の大半をコンディション作りに費やしている。そこまでやってもしばしば病院に通うことになる。
「体力がないことは時間がないこと」
お金がなくても楽しめることはいくらでもあるが、時間がないと何もできない。体力がないと計画通りに予定が進ま
ない。
常に限られた活動時間を逆算し、体力を温存しながら仕事や家事をやりくりする。生存するだけで精いっぱいとい
う状況において、すこしでも楽しく快適に過ごすにはどうすればいいのか。
虚弱ゆえに人並みの暮らしを送ることができない。諦めの先の希望の書でもある。