心を癒すLPレコードの音色 
              川島道子
 
先日妹宅でLPレコードのホームコンサートがあり、楽しい
ひとときを過ごしました。
 
義弟は若いときから大の音楽好きで集めたLPレコードは
膨大な量になっています。
 
いまどき珍しいプレーヤーに懐かしく思いました。鏡のように
ほこりひとつないレコードとプレイヤーに、日ごろの手入れの
良さを感じました。
 
美しい音色の命ともいうべきカートリッジ。
針はダイヤモンドだそうです。
 
プレイヤーの下の両サイドにはスピーカーが鎮座。
高音、中音、低音と音のすべての領域をカバーする
スピーカーに義弟の音にたいするこだわりを感じます。

今なお現役のプレヤーでこれから始まり。

その前にレコード盤を専用のクリーナーで丁寧に
ほこりをふき取ります。この手入れがあってこそ良い
音色が聞けるのですね。
ベートーベンのピアノ協奏曲第五番「皇帝」
 
辻井伸行氏のコンクール優勝で今話題のヴァン・クライバーンの
ピアノ演奏。LPレコード独特のやわらかい音色が、音楽の
素晴らしさを実感させます。

ドイツのソプラノ歌手エリザベート・ シュワルツコッブの歌曲集。
かろやかで澄んだ声とその表現力に魅了されて、昔このレコードを
しばらくお借りしたことがあります。マリア・カラスとともに私の大好きな
歌手で、後に私もCDを買いました。

ここでお茶になり、美味しいケーキと義弟が入れてくださった
コーヒーで話がはずみます。ゆったりとした時間が流れます。
 
オルガン奏者パワー・ビックスによるヨーロッパの各地の
パイプオルガンをめぐりながらのオルガン演奏。義弟の
お好みと聞きました。宗教曲だそうです。

ベートーベンの交響曲集  第一番から第九番
ゲオルグ・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団


マーラーの交響曲第一番「巨人」
ブルノー・ワルター指揮コロンビア交響楽団
 
息子もマーラーが好きで、私も少しづつ馴染んでいます。
 
シューベルト交響曲「未完成」ベートーベン「田園」
ワルター指揮ニューヨークフイル、コロムビアフイル
 
フルトベングラー、トスカニーニとならんで20世紀の
三大巨匠と言われたブルノー・ワルター、私の父も愛好
したようで、戦前録音の「未完成」の音色はおぼろげに
耳に残っています。

ホロビィッツ  シューマンのピアノソナタ3番(グランドソナタ)
           スクリアビンのピアノソナタ5番
右バーンスタイン指揮は ニューヨークフィル 
  ショスタコビィッチの交響曲第5番(古典) 

ドボルザーク 弦楽四重奏「アメリカ」
ハイドン      弦楽四重奏「ひばり」
チェコの名カルテットスメタナ弦楽四重奏団
 
上ベートーベン 「弦楽四重奏曲15番」
 
スメタナ弦楽四重奏団
 
下バッハ イギリス組曲第6番イ長調
       フランス組曲第5番ト長調
       プレリュードとフーガト長調
       プレリュードとフーガト短調
 
演奏はウイルヘルム・バックハウス 
 
 
シューベルト 「冬の旅」
ドイツのバリトン歌手ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
傑出した表現力とたびたびの来日で、日本でも多くの支持を
集め一時代を画し私もファンでした。
 
フオーレ「レクイエム」
アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団
 
モーツアルト、ヴェルディとならんで三大レクイエムの
一つですね。


ショパン「前奏曲集」

マウリッツ・ポリーニは1960年のショパンコンクール

優勝後しばらく引退同然の状況のなかで研鑽を積んだことで
知られていますね。
 

「ベストクラシックス」

一流の演奏家による名曲の紹介集のようなこういうレコードが
あるとは初めて知りました。 
 
義弟はもともとバロック音楽がお好きなようですが、その膨大な
コレクションの一部を、私が無作為に紹介しました。演奏者の
顔ぶれは20世紀を代表するえりすぐりのメンバーばかりで、
クラシック愛好家にとっては垂涎のレコードだと思いました。

これだけのレコードの収集のために、義弟が参考にしたのが、
野村あらえびす氏の「紙上音楽界」(音楽の友社)でした。

表紙は傷み、書き込みのされた内容に、義弟の探究心の
深さがうかがえます。

義弟がいろいろと研究されたもう一つの手引きが野村光一氏の
「名曲に聴く」全三巻でした。その他毎月レコード芸術など
雑誌などからも情報を得て参考にされていたようで、クラシックを
手軽に楽しんできた私にはここまでの探究心はなく驚きでした。
私の知っているクラシックとは一体なんだったのだろうと考え
させられました。

夏の暑い一日、LPレコードのやわらかな音色に包まれ、
それぞれがなにかを感じ取りながら過ごした時間は至福の
ひとときでした。あの音色は当分忘れそうにありません。
 
社会の変化がこれだけ激しい時代に、やわらかくて厚みのある
落ち着いたその音色は人の心を癒す無限の力があるように思へます。
すたれそうですたれないLPレコード、これからもその魅力で存在
しつづけるのではないでしょうか。
 
 
明さん、この場をお借りしてお礼を申し上げます。そのうち
ワルターの未完成交響曲を聴かせてください。