あれは確か修猷2年生の頃・・・・・リワキーノともう一人の
クラスメイトと共に京都を訪ね、カルチャーショックを受けたのを鮮明に覚えています。
お寺や神社の多いこと、それに規模の壮大なこと、東京以上に外人さんが多いこと ETC
以来私の京都への関心は一気に高まったようです。

長きにわたって都がおかれていたことは正に、全国から腕利きの技自慢が集結し、互いに
切磋琢磨し、より素晴らしい技術を身に着けていったことは容易に想像されます。
しかしながら問題はユーザーサイドなんです。
高度な技術やノウハウに着目しただけでは話はそれまで、進化は望めないのであって、
大切なのは惜しみない購入の姿勢を持ちかつ、投資をし、より高次元の技の具現化を暖
かい眼でもって見守る気の長いスポンサー精神・・・・・その存在が、雅の源といって
いいのではないでしょうか。

全国に植木屋さんという職人は沢山存在しても、本当の意味での造園師さんとなると京都
を除いてそう容易には見つからない筈です。今回の上洛で見た見事な紅葉にも、ある一定
のパターンがあるのを発見したのは大いなる成果だったような気がします。
すなはち、西日を遮るようなかたちで紅葉しやすい木々が庭のしかるべき箇所に配置され
ている法則!?とでもいいましょうか・・・・・正に、正統派造園師さんならではの教え
が脈々と伝承されている事実です。

確か、麩屋町御池下がるの京都最古の宿「俵屋」さんの話だったと記憶していますが・・・
ここの佐藤女将が、部屋のしつらえをオリジナルに戻そうと思い立ち、棟梁に相談すると
「あの床板でっしゃろ?ある思います」との返事、早速先代棟梁の頃の普請で取り外され
た床板が持ち込まれ、寸分違わずピシャッ!と納まった話、ここを贔屓にしている顧客が
そんなことまで知る由もないと思われますが、「俵屋」には300年間変わることの無い
”気”が漂っていて、毛利・徳川のお殿様はじめ米国大統領、各国の国王・元首や有名
音楽家芸術家などの定宿として続くのも、その格式が保たれているからだと思われます。

古都京都をイメージすると、皆さんのなかには「高い」「排他的」「顔と気持ちが不一致」
と、必ずしも良いイメージばかりでないことだけは確かなようですが、もう一歩踏み込ん
で付き合ってみると意外な面を発見し、虜になるかもしれませんよ。近くはスナック発祥
の地、グループ・サウンズ発祥の地・・・・・元々、新しもの好きな町なんです。

京都ゆかりの有名企業見まわしても、任天堂・ローム・島津製作所・オムロン・京セラ ETC
キラ星のごとくIT関連企業が連なっています。中でも私のお気に入り企業「堀場製作所」
ここの社是は何と「面白可笑しく・・・」
「21世紀はいままでの社会以上に個性が全体につながる社会です。おもしろおかしくが
一層重要性を増す時代といっても言い過ぎではありません」とHPにあるのですが・・・・・
「楽しめないなら一流じゃないよ、楽しめる努力をしなさい」と理解するのが正解かな?

最後に、正統派京都っ子は本気で
「今は江戸に行かれてますが、きっと御所にお戻りになりますよ」と考えているようです。