『国連に訴えた高校生』論議

6月29日
山田太郎様              FROM:リワキーノ
 6月27日の「青年バー」の集い、大変楽しく有意義な一時を過ごさせていただきました。有り難うございます。
 ボリビアという国がどこにあるかも全然知らず、少年時代に抱いた美しい記念切手を出す国というイメージしか無いのですが、今回の参加で、日本人によく似た風貌、ヘリコプターが3機しかない南米の最貧国ということを知ったことに興味を持ち、ボリビアについて調べてみました。
 日本の3倍の面積を持ちながら人口は700万人、住民は先住民が55%、先住民と白人の混血33%、白人13%(1993年統計)平均寿命が男50.9歳、女55.4歳は日本(男76.6歳、女83歳)に比べて25歳以上(女性は28歳以上!)の低い数値であり、南米の最貧国であることが実感されます。
 同じ20世紀末に一緒に存在しながら、この両国の悲惨な格差を皆さん、どう思われるでしょうか。私や春道先生、安部敏夫さん、小田さん、佐藤和夫さんらはボリビアでは死の直前のような状況なのですよ。
 鈴原さんのメールに

>去年メキシコにいた時に、日本では大した金額じゃないのが
>向こうの庶民にとってはえらい大金になるということに愕然と
>しました。いわゆる先進国とそうでない国との間の経済構造
>の中で生きている自分をまざまざと思い知らされました。

とありましたが、海外滞在の豊富な経験を持たれる鈴原さんでさえ、このような有様ですから、国内の繁栄しか知らない私達日本人は自国の繁栄が世界レベルで見たとき、異常なものであるという認識を持つ必要があると思います。
 最近、日本の高校生が自校の制服廃止を国連に訴えて、「君たちは幸せだ!」と国連からたしなめられたそうですが、私は制服廃止を主張することは個人の自由でいっこうにかまわないと思いますけれど、その国連と世界情勢への認識不足が外国の人達には異様に映ったことと思いました。
 大なり小なり、私達日本人にはこの高校生のような甘さがあるのではないでしょうか。
 ボリビアは1820年にペルーと共に対スペイン独立戦争を起こし、1825年にペルーからも分離独立したのですが、政権交代が頻繁で現在に至るまで政情は不安定だそうです。
 キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラはボリビアの革命運動を支持、ゲリラ戦を指導中に当時の軍事政権に逮捕され、処刑されており、チェ・ゲバラの遺体は現在もボリビアに眠っているとのこと。
 このようなボリビアの状況を知らずに軽い気持ちで参加し、アルバトロスクラブの仲間内だけで盛り上がっていたことを恥じ入りました。
 次回の青年バーの集いには前もって勉強をして参加することにいたします。
 文化的憧れからどうしても中国、韓国に目が向いてしまう私ですが、それはもう私の趣味的なものとしてご勘弁いただくことをお願いし、青年バーを通じて、もっと知らない国々のことをいろいろ学んでいきたいと思っております。
 それにしても、山田さん、ダ・ヴィンチ神父をはじめとするガラテア教会の方々のボランティア精神には本当に頭が下がります。
 山田さんなど、終始受付に縛り付けで、ろくすっぽお祭りを楽しむ暇も無かったのです。
 山田さんのお手伝いをされていた西野さん、西川さん、本当にお疲れ様でした。
                                   リワキーノ

山田氏のPCは未だ不調中。なぜにこぜに。転送します。坂上。
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7月1日
リワキーノさん FROM:山田太郎
 土曜日はどうもありがとうございました。
来ていただいてとても嬉しかったです。

> 最近、日本の高校生が自校の制服廃止を国連に訴えて、「君たちは幸せだ!」と国連
>からたしなめられたそうですが、私は制服廃止を主張することは個人の自由でいっこう>にかまわないと思いますけれど、その国連と世界情勢への認識不足が外国の人達には異>様に映ったことと思いました。
> 大なり小なり、私達日本人にはこの高校生のような甘さがあるのではないでしょうか。

 高校生たちが本当に言いたかったのは「制服廃止」ではなく、「制服」に象徴される、「何のための教育か?」「誰のための教育か?」という根本的な問題だったのではないでしょうか?
 「甘え」ではなく、問題を一般化する能力に欠けていただけかもしれません。
 同時に「ボリビアは経済的に貧しくて、平均寿命が短いからかわいそう」という判断も、少々納得しかねる意見だと感じます。(また、「リワキーノさん批判」かな?)

> 山田さんなど、終始受付に縛り付けで、ろくすっぽお祭りを楽しむ暇も無かったのです。
> 山田さんのお手伝いをされていた西野さん、西川さん、本当にお疲れ様でした。

 私は、結構楽しんでいましたよ!西川さん、西野さんには頭が下がりましたが。
                                   
7月2日
山田太郎様
坂上しのぶ様 FROM:リワキーノ

 7月1日、2日と同じメールを転送いただき、ビビッております。
 決して、返事を出すのにためらっているのではありません。ただ、私、今、それどころじゃない状況なのです。必ず、お返事いたします。乞う、しばしのご猶予を。
テン夜ワン夜物語のリワキーノより。

7月2日
リワキーノさん、山田さん、アルバトロスの皆さん FROM:鈴原花子
>同時に「ボリビアは経済的に貧しくて、平均寿命が短いからかわいそう」という判断も、>少々納得しかねる意見だと感じます。
>(また、「リワキーノさん批判」かな?)

 人をかわいそうという場合、自分はどういう立場にたって言っているのか。日本は経済大国でやたら平均寿命が長いから日本人は立派っていう立場なんでしょうか。どんなにお金がなくても、どんなに小さな子供でも、人間は一人一人尊厳をもっている。
 この間のボリビアの人たちが見せてくれた踊りはなかなかセクシーだったし、楽しい踊りだった。ボリビアにはボリビアの文化があって、そこに自分たちに誇りをもって生きている人たちがいるんだってことがわかりました。それを彼らは私たちに見せてくれたわけでしょ。
 お金もっているから幸せなのか。お金は有効に使えればあるにこしたことない。そう、今ボリビアにもっとヘリコプターがあったら、人の命を救える。だから、ボリビアン・ナイトをガラテア教会が開いて、みんなが集まって、わずかながら募金したわけですよね。寿命が長ければ幸せなのか。そりゃ最後まで自分らしい生き方を貫ければ、自分の愛する人たちに囲まれて生きられれば、長生きも楽しいのかも。医療があって、救える命を救えればそれは本当にすばらしいことだと思う。
 私のちょっと知っていることで言えば、メキシコの山岳地帯のチアパスの先住民はさんざん中央から絞りとられて、やせた土地で教育の機会も少なく、医療機関もほとんどないような状態で、生き続けてきて、それに対しておかしいやんといって、自分たちをオーガナイズして、EZLNっていう組織で中央政府と交渉している。
 貧乏だからかわいそうっていう言い方には、日本のODAがお金さえ相手の政府にばらまけばいいっていうそういうやり方につながるような気がしてしまって。相手のことを理解する努力をして、その中で自分はどう思うのか、何かできることがあるのか、ないのかって考えることからしか始まらないような気がするのですが。
 私は先にボリビアン・ナイトについてメイルを書いてから、ジュンク堂に行って、藤原書店から出ているガレアーノというウルグアイ人が書いた『収奪された大地ラテンアメリカ五百年』という本を買ってきて読もうとしています。えらく分厚い本なのでちょっとびびっているのですが。なにしろ五百年だもんね。                             鈴原花子
(続く))