“Blue Canary” 投稿者:怪盗ルパンX・P  投稿日: 8月25日(水)21時35分36秒

艦の出入港は、通常早朝行います。特に薄暮時は、他の艦船や障害物の識別がし難いため
極力避けます。早朝、夏の思い出、サン・ディエゴを後にして、練習艦隊は南下します。

エンスンX・Pのグループは航海科です。ブリッジ(艦橋)での実習です。操艦するのは当直士官、
その補佐をするのが副直士官で、艦位を測定したり、変針点等のリコメンドを行います。操舵
員は当直海曹の役目です。CPO(海曹長)は、艦内放送等全般の補佐を行います。ブリッジの
両翼には当直海士が赤外線暗視装置のついた双眼鏡で見張りをし、行きかう船の動向を報
告します。艦長は、余程のことがなければ士官室でブリッジに興じます。コントラクト・ブリッジは、
艦上での数少ない娯楽のひとつです。

当直実習は、夜の当直時間のみ行います。0800から1630までは、課業時間と云って、司令部
が作成した、訓練項目を履修します。1630から翌朝0600まで当直勤務に就くのです。
それが隔日義務付けられるのです。

Duty Offの者は自由に過ごします。艦内売店の酒保(しゅほ)には、アイスクリームやツマミ等
の日用雑貨が揃っています。缶ビール、タバコは、日本の領海を出ると税抜き価格になります。
艦内各部の点検や人員の確認のための巡検が終わると、後甲板で映画の上映が始まります。
缶ビールとつまみを両手に抱え、ぞろぞろ集まってきます。
“寅さん”と”志麻ちゃん”が一番人気です。

“寅さん”には、みんな腹抱えてげらげら笑っていますが、”志麻ちゃん”が眉間にしわ寄せ切な
そうな顔でいやいやを始めますと、一同しーんと、静まりかえり、お隣さんの生唾ごっくんが聞こ
えるのです。みんなで観る映画ってホント面白いのでございます。

品のない話が続いて恐縮ですが、ついでに、艦は、重畳性をもたせるため、ボイラーを左右に1
缶づつ計2缶もってます。魚雷等で被弾しても1缶で航行できるようにです。
通常航海では、ボイラーは1缶しか焚きません。隔月で運用しますので片方のボイラーは運転し
てないのです。 機関当直実習で仲良くなったボイラー室のCPO 「映写会しますが、観に来ま
せんか」と、お誘いしてくれるのです。
ブリッジでのお話をと思っていたのですが、艦上部のブリッジから艦低部ボイラー室まで降りて、
話も落ちて・・・、やらしい8mmフィルムのモーター音がボイラー室に響き渡るのでございます。

“Blue  Blue  Blue  Blue  Canary”♪

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