『 Around the World 』 投稿者:怪盗ルパンX・P 投稿日: 8月10日(火)13時46分2秒
遠洋航海中、フレッシュエンスンは右舷、左舷の2個班に分かれ航海科、機関科、CIC(作戦情報室)を3サ
イクル回ります。1ターム目は海士の、2ターム目は海曹のそして3ターム目は幹部の任務を実習するのです。
エンスンX・Pの班は、機関科です。艦の上部甲板から3Fほど下に機関室があります。水線下です。機関は
蒸気機関車に似た蒸気タービンです。でっかい釜に水を張り石炭の代わりに重油を燃やし、蒸気の圧力でピ
ストンの代わりに羽根車を回しギヤーを介し推進力となるプロペラを回転させます。当初は乗組員ともお互い
遠慮がちですが、2、3日も経つと気心も知れタメになります。
機関操縦室はガラス越しに遠隔操作で行われ空調も効いてますが、定期的に配管からの蒸気漏れ、水位
の確認あるいは補機点検のため、ボイラー室に入ります。騒音と高温多湿の中、各部を点検し、操縦室に手
先信号で状況を報告します。
“各部”は右手を胸の前に伸ばし、軽く摘んで左・中央・右と3点を山を描くように摘むような動作をします。丁度
鮨職人がガリをカウンターの客に配り置くような格好です。
“点検”は人差し指で目を指し示します。
“異常なしは”右手のひらが相手に見えるように右上方に真っ直ぐ大きく揚げます。
これで“各部・点検・異常なし”の情報が手先信号で伝達されます。
対潜訓練、陣形訓練あるいは出入港時は艦の速度がめまぐるしく変わりますが、通常航海中は18ノット(32
km/h)前後で航行します。従って夜の機関当直は何もすることなく、機関士、海曹長、海曹、海士長それにフ
レッシュエンスンの5名で自慢話や趣味の話で時間を費やします。機関科に関するお勉強のお話はあまり聞い
たりしませんでした。私の場合。
当直時間は機関科が3時間で他の部署は2時間の3直制です。従って機関科当直の場合夜間1度当直に立
つと6時間の仮眠が可能になるのです。当直は隔日毎ですので結構ハードです。最大の悲劇は現地標準時に
切り替わるときのワッチです。地球を東回りしますので1時間時計を戻します。通常0000時に調整しますので
深夜この時間帯にワッチが当たると、それも機関科当直だと4時間のワッチとなります。
講釈が長くなりましたが、日本から亜米利加合衆国へ東回りに進み、日付変更線の子午線を越えると、日付
が後戻りします。その結果地球の正反対が日付変更地となったのです。1時間は経度15度に相当します。日
本は東経135度、明石を太陽が通過する時を日本標準時としました。
135度÷15度/時間=9時間 Aから数えて9番目“i”を時間のすぐ後に付けると日本時間を表します。120
0iちなみに世界標準時では1200G(グリニッジのG)のように表します。経度を測るには棒を垂直に立て太陽
の陰が一番短くなる時間を計ってその地の標準時位置の経度に加減すれば求めることができます。ちなみに
60秒で経度1.5度に相当します。
更に講釈が長くなってしまいましたが、“日付変更線”と聴くと連想されるのがジューン・ベルヌの“Around the
World”です。デビッド・ニーブン、カーンティンフラス、シャーリー・マクレーンの映画はどきどきはらはら胸きゅん
ストーリーでした。TV番組「兼高かほる世界の旅」の冒険とロマンのBGMにもこの主題曲、何気心ときめく旋律
が流れていました。 最終フレーズのポエムがまたすばらしい!
“ No more will I go around the world
for I’ve found my world in you 〜 “ ♪
この決め台詞をロッサノ・ブラッツィがやったみたいにいつの日か、耳元で囁こうとたくらんでいるエンスンX・Pで
ありました。
そして後にそのチャンスが巡ってきたにもかかわらず、、、。知る由もないa・l・nでありました。
01096 『 Around the World 』 投稿者:怪盗ルパンX・P 投稿日: 8月10日(火)14時05分31秒
落丁
日付が後戻りします。
”七つの海を制覇した大英帝国は自国を太陽が一番近づく時、即ち正中する時を1200G、世界標準時としたの
です。”
その結果地球の正反対が日付変更地となったのです。